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バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

忍びの里の超絶カッコいい神社【甲賀:油日神社】

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日本は勢力の強い台風が過ぎ去って秋の気配かと思ったら、むしろ真夏に逆戻り的な最高気温となっているとか。
日本のみなさん、体調にはくれぐれもご注意ください。

さて。
今日は、私の夏の思い出として、一時帰国時に訪れたすごく雰囲気のある神社「油日神社(あぶらひじんじゃ)」のご紹介です。
時代劇をはじめ、テレビドラマや映画など様々な撮影ロケ地として選ばれるのも頷ける、古く味わい深い神社でした。

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油日神社について

今回ご紹介する油日神社(『あぶらひ』と読みます)があるのは、忍者の里としても有名な滋賀県の甲賀市です。
(ちなみに、この甲賀、正しくは『こうが』ではなく『こうか』と読みます)
もう一つの忍者の里として有名な伊賀(いが)はお隣の三重県ですが、甲賀と伊賀は山を隔てて隣接しています。

油日神社の公式ホームページによると、もともと油日岳を神体山としていた油日大神(現在は本社に遷座)を主祭神として、東相殿には岡象女命、西相殿には猿田彦命を祭神としてお祀りしているとのことです。

油日大神は、万有始動の根源神として諸事繁栄発展を司る大神様であり、諸願成就の神様として千数百年の昔から人々の崇敬を集めてきたといいます。
また、油(火)の神様としても民衆から崇められており、中世以降は「甲賀の総社」として地域の人々から厚く信仰されてきたそうです。

日本の伝統文化、芸術・美術に造詣の深かった随筆家、白洲正子の著書「かくれ里」の中にも登場する神社でもあります。

 

神社情報

油日神社
所在地:〒520-3413 滋賀県甲賀市甲賀町油日1042
TEL:0748-88-2106
ウェブサイト:油日神社公式ホームページ

アクセス:
(自動車)新名神 「甲賀土山IC」または「甲南IC」から約20分
   名阪 上柘植ICから約15分
(電車)JR草津線 「油日駅」下車徒歩30分
駐車場:あり(無料)
甲賀歴史民俗資料館:500円(入館希望の場合は、要事前連絡)

 

楼門と廻廊の存在感!

神社に近づくにつれて、そこはかとなく漂うただならぬ気配。
こういうのをパワースポットというのでしょうか。
そういうセンスは乏しい私でも、なんとなくゾクゾクするような「気」を感じます。

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鳥居をくぐり参道に入ると、夏の木立の中、正面に見える楼門。そして、左右に続く廻廊。
もう、その造形がカッコよすぎて、この時点でしびれてしまいました。
どうですか?この建築美!

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楼門を入って振り返るように見上げると、「蟇股(かえるまた)」という、寺社建築の特徴の一つである、梁や柱を支えるカエルが足を広げたような装飾的支柱が見えます。
その蟇股の中に鳥(鳩)の彫刻があるのですが、この彫刻があまりにもリアルであったため、本物の鳩となって飛び立っては田畑の作物を食べたいう伝承があるそうです。
(画像ではちょっとわかりにくくてすみません)

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楼門の両脇には、油日という名前にちなんで食用油の一斗缶が奉納されていました。
最近はほとんどプラスチックボトルに入った食用油しか目にしませんから、これだけでレトロ感たっぷりです。

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楼門の正面に拝殿、そしてその奥に本殿が配置されています。
いずれも国の重要文化財であり、明るい色の塗装が施されていない木肌の建築群は、古色蒼然たるたたずまいです。

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その時間、私たち以外には誰も参拝者がなく、しんとした境内にぽつんと立っていると、まるで中世の里にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。

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本殿向かって右手にある薬師堂のような建物は、神主さんのお話によると宝殿とのことでした。
後述する甲賀歴史民俗資料館ができるまでは、油日神社に伝わる神宝や社宝が納められており、また、社殿の改修造営の際には、一時的にこのお堂にご祭神が遷座なさる場所であるとのことでした。
よって、外側と内側に二重の厳重な鍵が取り付けられているとか。

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御神馬像なんかもありますが、本当に静かで、お社の裏山の杉木立から忍者が出てきてもおかしくなさそうな雰囲気です。(笑)

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甲賀歴史民俗資料館

今回の油日神社訪問は、まず、壮麗な楼門と廻廊を見てみたいというのがあったのですが、もう一つの目的は「甲賀歴史民俗資料館」を見学することでした。
先述した白洲正子の随筆「かくれ里」でも紹介された、「福太夫の面」と、「ずずい子」さまをこの目で見てみたかったのです。

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なお、こちらの歴史民俗資料館の見学を希望する場合は、事前連絡が必要です。
というのも、この神社は、通常、宮司(神主)さんが一人で管理されているので、資料館を開けて案内する間、社務所の受付をどなたか(ご家族の方など)に代わってもらう必要があるからとのことです。
ですから、突然訪問して資料館を見たいと申し出ても、社務所を空けるわけにはいかないので、資料館を案内したくてもできないのだそうです。

実は、私たちはそのことを知らず、当日お願いしたのですが、その日は、たまたま代わりの方がすぐ来てくださるということで、ご厚意により資料館を開けてくださいました。(ありがとうございました!)

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入館料を払い(500円)、中に入って早速見学させていただきます。

この資料館の目玉ともいえる、白洲正子が讃した「福太夫の面」と「ずずい子」さまは、稲講会というその年の豊作を祈る儀式で使われたと考えられているそうです。


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資料館の中は撮影禁止なので、上の画像は、公式ホームページからの引用ですが、
宮司さん曰く

「みなさん、白洲正子さんが言及された福太夫のお面とずずい子さんを楽しみに来られるんですが、『福太夫のお面が見つからない』っておっしゃるんです。実は、ずずい子さんの隣にちゃんとあるんですが、写真に載っている福太夫の面と実物があまりにも違って見えるので、最初、わからないんですね」

とのことでした。

確かに、写真は正面上から撮られているので、幾分、角ばったのっぺりとしたお顔なんですが、実際の福太夫のお面は、シュッとした端正なお顔で、随分と印象が違いました。
そういった発見や気づきができるのも、自分の目で実物を見るからこその醍醐味ですよね。
教科書や図録ではわからない美しさや素晴らしさってあるもんなんです。
だから、やっぱりできるだけこの目で確かめたい。
そう思います。

この資料館には、他にも古文書だとか薬の調合道具だとか、甲賀武士(甲賀忍者)の甲冑だとか、神仏習合時代の懸仏(かけぼとけ)だとか、興味深い品々が展示されており、宮司さん自ら丁寧に説明してくださいました。

また、県の無形民俗文化財に指定さている「奴振(やっこぶり)」は、5月1日の油日まつりの日に、5年に1度だけ奉納されるそうですが、その背景には、過疎化に伴う継承の難しさもあるようです。

 

ロケ・撮影

案内してくださった宮司さんの話によると、私たちが訪れた数日前に、「鶴瓶の家族に乾杯」という番組で、笑福亭鶴瓶さんが、アポなしでひょっこり訪れてこられたそうです。
実際のオンエアーではどこまで使われるかはわかりませんが、2019年9月30日放送予定とのことでした。
その話を聞いて、母は、放送を楽しみにしているようです。

実は、今年の6月に母は一人でこの油日神社に来ていました。
その時、駅から神社へ向かう途中で道に迷ってしまい、ある民家で道を尋ねたところ、親切にもそこの奥さんが車で神社まで送ってくださったというのです。
ただ、帰りは別の道を通って駅まで出たため、改めてお礼が言えなかったのが心残りらしく、今回、私と一緒にお礼に伺おうということになったわけです。

で、その6月に母が油日神社を参拝した時のこと。
境内に提灯などを取り付けている人たちがいたそうで、お祭りでもあるのかと母が尋ねたら、その日の夕方から行われる時代劇の撮影準備をしていると教えてくれたらしいのです。
それで、その日は資料館も一日中閉館だったとのことでした。

その日の出来事は、当時、母から伝え聞いてはいたのですが、撮影されていた時代劇のタイトルなんかはすっかり頭から抜け落ちてしまっていました。

ところが、この記事を書くにあたって、油日神社のホームページを見ていたところ、6月の母が訪れた日のロケ情報が記載されていました。
その撮影ドラマのタイトルを見ると「帰郷」。

どっかで聞いたタイトルだなと思って、その時代劇のホームページのリンクをクリックしたら、なんと、つい先日読んで印象に残っていたニュースの時代劇だったんです。

kyodonewsprwire.jp


なんでも、史上初の8K時代劇がカンヌの国際映像コンテンツ見本市「mipcom」でワールドプレミア上映されるのだとか。
主演の仲代達也さんをはじめ、けっこう豪華キャストなんですね。

www.jidaigeki.com

という話を、今日、母にしたら、
「あら、それならあの日、夕方まで待って撮影見学すればよかった」
と残念がっていました。

いやいや、俳優さんたちにはそう簡単に近づけませんからね。(笑)

 

おわりに

忍者の里、甲賀にある油日神社は、中世に造られた楼門と廻廊が極めて美しくカッコいい神社です。
また、白洲正子の「かくれ里」にも登場する、知る人ぞ知る名所。
そこだけ時間が止まったかのような境内は、時代劇の撮影や映画のロケ地としてもよく利用されています。

アクセスはけしていいとは言えないながらも、行く価値はありです。
甲賀忍者や伊賀忍者の里を尋ねることがあれば、ぜひお立ち寄りください。
同じく、「かくれ里」に登場する櫟野寺(らくやじ)も合わせて参拝することをお勧めします。

 

ではまた。