バンコクから車で数十分、お隣のサムットプラカーン県に「ムアンボーラーン(Muang Boran)」という、広大な敷地を有する博物館があります。
ここは、主に寺院や宮殿などタイ各地の有名な建築のレプリカを展示した、テーマパークのような野外ミュージアムなんです。
建築のレプリカと言えば、日本では東武ワールドスクウェアや明治村なんかが有名ですが、ここはミニチュアではなく、多少縮小されているものはあるものの、ほぼ実物に近いスケールで建てられているので見ごたえ抜群です。
『要はレプリカでしょ?』
と、あまり食指が動かないまま、今までずっと過ごしてきましたが、実際に行ってみるとなかなかよくできており、楽しくてあちこち夢中で見て回りました。
世界最大規模というだけあって、1日では回り切れないくらいたくさんの興味深い建物が点在していました。
レプリカだからと言って、侮るなかれです。
- ムアンボラーン(エンシェント・シティ)の場所
- ムアンボーラーンの入場料・施設内移動手段
- ムアンボーラーンの建築たち
- 虎王の宮殿(サーラー・カーンプリアン)
- 愛のささやき(ワット・プーミン)
- クメール様式の仏塔(プラタート・ナーラーイ・チェンウェン)
- アユタヤ王宮(サンペット・プラーサート宮殿)
- 阿羅漢堂(サーラ―・プラアラハン)
- 獅子の門がすごい(モンドップ・プラ・シー・ティット)
- 巨大魚に囲まれた須弥山(カオ・プラスメーン)
- 美しい楼閣(ホー・プラケーオ)
- その他
- 昼ご飯
- 38体の仏陀像
- おわりに
ムアンボラーン(エンシェント・シティ)の場所
ムアンボーラーン(『古代都市』という意味)は、バンコクから南へ約25キロ、車で40~50分程度のサムットプラカーン県にあります。
電車の場合は、BTSスクンビット線の終点「ケーハ駅」(Kheha / เคหะฯ)で降りて、そこからタクシーやGrab、またはソンテオ(36番)が便利です。
(駅から約4キロ)
<施設情報>
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ムアンボーラーン(古代都市屋外博物館)
เมืองโบราณ
Muang Boran (The Ancient City)
所在地:296/1 หมู่ที่ 7 ถ. สุขุมวิท ตำบล บางปูใหม่ อำเภอเมืองสมุทรปราการ สมุทรปราการ 10280
296/1 Moo 7, Sukhumvit Rd, Bang Pu Mai, Mueang Samut Prakan District, Samut Prakan 10280
TEL:02-026-8800~9, 086-324-7658
時間:09:00-18:00
URL:https://www.muangboranmuseum.com/
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ムアンボーラーンの入場料・施設内移動手段
ムアンボーラーンの入場料は、外国人700バーツ(子供350バーツ)、タイ人400バーツ(子供200バーツ)です。
外国人料金もなかなか高いですが、タイ人価格も一般的なタイ人家族にとってはわりと高めではないでしょうか。
外国人でもタイで正規に働いており労働許可証(ワークパーミット)を持っている人は、タイ人価格で入場可能です。(割り引き価格は本人のみ。労働許可証の提示が必要)
ただ、労働許可証がないという帯同のご家族や旅行者も、旅行会社が販売しているチケットを購入すれば、割引価格で入場可能です。
うまく利用すれば、かなりお得になる場合も。
kkday
Klook
「エンシェントシティ」で検索すると割引価格チケットがヒットします。
なお、園内は非常に広いので自家用車乗り入れや自転車などを借りて回るのが一般的だと思います。
(無料トラムもあるようですが、時間とルートが限定的)
それぞれの料金は以下の通りです。
【自家用車】400バーツ
【自転車】150バーツ
【電動自転車】最初の3時間250バーツ(その後1時間毎に100バーツ)
【ゴルフカート】4人乗り:最初の1時間350バーツ(その後1時間毎に100バーツ)/
6人乗り:最初の1時間500バーツ(その後1時間毎に200バーツ)
入口にあるチケット売り場はこんな感じ。
私たちは、自動車乗り入れ(400バーツ)で園内を回ることにしました。
ムアンボーラーンの建築たち
ムアンボーラーン(古代都市)に建てられている建築物は、大きく3種類存在します。
- オリジナルを解体移築したもの
- オリジナルまたは歴史的資料を元に造られたレプリカ(同スケールあるいは縮小での複製)
- 創設者レック・ウィリヤパン氏のイマジネーションで創造されたもの
ムアンボーラーンの広大な敷地内には、120を超える数の建築物が点在しています。
ここでは個人的に印象に残ったいくつかの建物だけを紹介したいと思います。(それでもほんの一部)
ちなみに、私たちは6時間くらい園内にいましたが、全部の建築物を見て回ることなんて到底できませんでした。
まあ、120ヶ所以上あるから当然なんですけど。
虎王の宮殿(サーラー・カーンプリアン)
この建物は、有料ゾーンの手前、食堂などが並んでいる無料ゾーンの一角にあります。
高床式の建物で、内部に使われている八角形の柱が印象的です。
この時は、この建物が何なのかあまり詳しく調べたりしていなかったのですが、実は、その翌週に行ったペッチャブリー旅行で、たまたまこの建物のオリジナルに出会ったのです!
ペッチャブリー市内の古刹、ワット・ヤイ・スワンナーラーム寺院にある古いお堂(講堂)「サーラー・カーンプリアン」(ศาลาการเปรียญ)を訪れた時に、どこかで見たような気がする・・・と思ったら、ムアンボーラーンのこの建物だったんです。
アユタヤー時代に、スリイェーンタラーティボーディー王(スア王=虎王)がテンモー大僧正のために下賜なされた建物だったんですね。
以下、左がムアンボーラーンのレプリカ、右がオリジナルです。




愛のささやき(ワット・プーミン)
こちらは、タイ北部ナーン県にあるワット・プーミン寺院です。
「世界に共鳴する愛のささやき」とか「ささやく人」とか呼ばれる、あの有名な壁画があるところです。
ここは、オリジナルを先に見ているので、その時の記憶と比較しながら鑑賞しました。


ここではあえて優劣をつけませんが、ムアンボーラーンの楽しみ方のひとつとして、実物を知っている人は、「あーそっくり!」とか「ちょっと違う」とか、複製の精巧さやオリジナルとの違いなどを観察してみるのもいいかも知れません。
クメール様式の仏塔(プラタート・ナーラーイ・チェンウェン)
このクメール様式の仏塔もどこかで見たことがあるなと思っていたら、サコンナコーン県のプラタート・ナーラーイ・チェンウェン(พระธาตุนารายณ์เจงเวง)でした。
ムアンボラーンのレプリカは、実物が崩壊している部分を補われていたり、全体的にピンク色だったりしたので、最初はピンと来なかったのですが、横たわるナーラーイ神や、ライオンと戦うクリシュナ神のレリーフを見て思い出しました。


アユタヤ王宮(サンペット・プラーサート宮殿)
ここは、ムアンボーラーンのイメージ画像でもよく使われる、代表的な建物です。
アユタヤ王朝時代に王族の重要儀式や賓客を迎えるために使われていた「サンペット・プラーサート宮殿」(Sanphet Prasat Palace / พระที่นั่งสรรเพชญปราสาท)を再現したもので、美しく威厳のある建物です。
1972年2月11日には、来タイしていたエリザベス女王(エリザベス2世)もラーマ9世(プミポン前国王)夫妻と共にこのムアンボーラーンを訪れておられます。
宮殿内には古美術品なもど展示されており、内装も煌びやかで非常に美しいのですが、館内の写真撮影は禁止なので、ここではお伝えできません。
(ここが唯一の写真撮影禁止場所だったような気がします)
お越しの際にはぜひ入館してご自分の目でお確かめください。
これは宮殿扉の螺鈿細工ですが、このオリジナルはバンコクの国立博物館で見ました。その話は、またいずれ機会があれば書きたいと思います。
(宮殿内部を写さなければOKと職員の方に撮影許可いただきました)
阿羅漢堂(サーラ―・プラアラハン)
『阿羅漢の東屋』という意味のサーラー・プラアラハン(ศาลาพระอรหันต์)は、レック氏のイマジネーションによって造られた建築物です。
園内を車で走っていて最初にその姿が見えたとき、思わずうわーっと声が出てしまいました。
ビルマ風(ミャンマー風)の何層にも重なった屋根が美しく、建物を繋ぐ橋の造形もかっこよくて見とれてしまいました。
各堂内には様々な仏像が安置されています。
大乗仏教の世界観だと思われます
中央の一番大きなお堂には立派な立像が安置されており、木の階段を上って上階から拝観することができます。


ここは、数ある建築物の中でも必見の建物のひとつだと思います。
記念撮影するにしても、すごく映えます。(笑)
獅子の門がすごい(モンドップ・プラ・シー・ティット)
ここは前を通過しただけですが、獅子(ライオン)が口を開けてドドーンと伏せている姿はインパクトありました。
これを見たときに、スリランカのシーギリヤロックを思い出しました。
このモンドップ・プラ・シー・ティット(มณฑปพระสี่ทิศ)も、想像により新たに造られた建築物ですが、作者(レック氏?)もシーギリヤロックにインスパイアされたんではないかと勝手に推測…。
巨大魚に囲まれた須弥山(カオ・プラスメーン)
こちらも想像上の建築物ですが、以前からインスタグラムなどで見かけて気になっていたんです。
巨大な魚に取り囲まれている島と建物、すごくインパクトがありますよね。
実はこれ、仏教の宇宙観で世界の中心にあるとされる須弥山(しゅみせん)を表しているのだそうです。
須弥山の絵は寺院の壁画などでわりとよく目にすることがあるのですが、この巨大な魚はあまり意識したことがありませんでした。
ムアン・ボーラーンのサイトによると、これはチョンブリー県のワット・ヤイ・インターラーム寺院の壁画に描かれた須弥山図(トライプーム)に発想を得て造られたのだそうです。
いつか、このワット・ヤイ・インターラムにも行ってみたくなりました。
池の中央にある島にはお堂が建っており(一部修復中)、中にはヒンドゥー教の神々でしょうか、色鮮やかな彫刻が施されていました。
ちなみに、このカオ・プラスメーンの近くには象に餌やりができる施設がありました。(20バーツ)
美しい楼閣(ホー・プラケーオ)
ここも私が気に入った建築物のひとつです。
どこかしら中国の楼閣を思わせる建物で、堂内の構造や色使いがきれいでした。
堂内にいると、タイではないどこか異国に訪れたような気分になりました。
このホー・プラケーオ(หอพระแก้ว)というのは、アユタヤ王宮の中にあった建物だと考えられています。
アユタヤ時代の木の扉に彫られた、この形の建物の彫刻を元に、再現したらしいです。
その他
その日、私たちが見学できたのは120以上ある建築物の中のほんの一部ですが、その中で印象的だったその他の建物を写真メインで紹介したいと思います。
観音菩薩像
龍神と観音菩薩(千手観音)
王族の御座船
プラ・プラーン・サームヨート遺跡(ロッブリー県)
モンドップ・プラプッタバート(サラブリー県)
ドゥシットマハープラーサート宮殿(バンコク)
ラーンサーン様式の礼拝堂と経蔵
ワット・チョンカム(ランパーン)
昼ご飯
ランチは、無料ゾーンにあるタイ食堂で食べました。
このエリアにはいくつか飲食店がありました。
パッタイとソムタム、いずれも60バーツで、観光地としてはそれほど高くはなかったです。
味もまあまあ美味しかったし、満足です。


38体の仏陀像
一応、ムアンボーラーンとは別施設扱いなのですが、すぐ隣の敷地に礼拝堂などの仏教関連施設が集まるエリアがあります。
無料エリアの食堂のお堀を挟んで向かい側です。
まず外から目につくのは煌びやかな礼拝堂(ウィハーン)。
その手前には、お釈迦さまが生まれてすぐに立ち上がり、7歩歩いて天地を指さし、お言葉を発したという「天上天下唯我独尊」の像がありました。
ナーガに護られて瞑想するお釈迦さま。
礼拝堂の後ろ側には、象と猿に説法をなさるお釈迦さまの像。
最近このブログでもおなじみの、大地の女神「プラ・メートラニー」像もありました。
また、干支にちなんだタイ各地の仏塔のミニチュアが安置されたエリアも。
自分の生まれ年の仏塔にお参りするといいそうです。
さて、礼拝堂の中に入ってみましょう。
この礼拝堂の中には、お釈迦さま(ゴータマ・ブッダ)に至る過去仏28体と未来仏が10体、合わせて38体の仏陀像が安置されています。
なかなか煌びやかで圧巻でした。
おわりに
はじめてムアンボーラーン(エンシェント・シティ)へ行ってきましたが、予想以上に楽しめました。
でも、なにせ広大過ぎる敷地に120以上に及ぶタイの著名な建築物のレプリカ(一部オリジナルや想像上の建築も含む)が点在しており、1日で全部見て回るのは到底無理でした。
あらかじめある程度行きたいスポットをしぼって見て回るのがいいと思います。
暑季の炎天下はさすがにきついですが、これから寒季(乾季)にかけてはいい季節なので、緑いっぱいの敷地をサイクリング気分で周るのもいいなと思ったり。
またいつか訪れてみたいです。
ではまた。