タイ南部のナコーンシータマラート県は、東に海(タイ湾)、西に山(カオルアン山脈)を擁する自然豊かな土地です。
そのカオルアン国立公園の麓にキリウォンという美しい山村があります。
山々の緑と清流に育まれた「タイで最も空気のきれいな村」と言われています。
その風景は、幼い頃に見たいつかの夏休みのようでした。
※Nakon Si Thammarat(นครศรีธรรมราช)のカタカナ表記は「ナコンシータマラート」「ナコンシータムマラート」「ナコーンシータムマラート」など様々ありますが、本記事では「ナコーンシータマラート」で統一します。
※キリウォン(คีรีวง)も、「キーリーウォン」という表記を目にすることもありますが、「キリウォン」で統一します。
- キリウォン村へ
- ザ・スカイ・ルーフ・ホームステイ@キリウォン
- 周辺散策
- 川沿いでごはん(クルア・カオパン)
- キリウォン2日目の朝
- 部屋移動
- 初めて食べた「ガルーダの爪」
- 吊り橋(タイの上高地!?)
- 朝市
- カオルアン(ルアン山)
キリウォン村へ
年末にナコーンシータマラート県を訪れた私は、市内観光の後、借りたバイクに乗って西へ向かっていました。
タイ南部最高峰カオルアン(ルアン山/1,780m)の麓にあるキリウォン村へは、ナコンシータマラート市内から車で30~40分ほどです。
ナコンシータマラート市内については、こちらの記事もどうぞ。
ナコーンシータマラート市内からキリウォン村までは、山間の村ということで悪路も覚悟していましたが、拍子抜けするくらい快適でした。
(村の手前で多少のアップダウンやカーブはあるものの、概ね道路は良好)
スクータータイプのバイクでも楽々向かうことができました。
ゆっくり走って40分で、村の中心にある橋に到着です。
この橋「バーン・キリウォン橋」(สะพานบ้านคีรีวง)が、キリウォン村のいわゆるランドマーク的な存在で、ここからの山の景色を眺めたり、写真を撮ったり、川のせせらぎに耳を傾けたり、河原で水遊びをしたりして過ごす人が多いです。
予約しておいた宿は、この橋のすぐ隣りという好立地。
さっそくチェックインを行います。
ザ・スカイ・ルーフ・ホームステイ@キリウォン
この宿、すごくよかったです。
キリウォン村の中心という立地もそうですし、ルーフテラスから望むカオルアンの景色がまたいいのです。
あと、朝食も美味しかったです。
ホームステイという名前になっていますが、いわゆるホストファミリー宅の1室に泊まるというような感覚ではないので、変な気を遣うことはありません。
宿泊スタイル的には、普通のホテルやゲストハウスと同じです。
もちろん、部屋にはトイレ・シャワールームも付いています。
ここの客室は、地元スーパーの屋根の上に建てられており、全部で7部屋のみ。
客室のある2階(一応ルーフトップです)に向かうには、スーパーの端にある階段からキーカードを使って上がるシステムとなっています。
なので、チェックインの時は、スーパーのレジの人に声をかけて2階に案内してもらいました。
2階のカフェ兼朝食会場スペースでチェックインを行い、部屋の鍵と階段入口のキーカードをもらいます。
今回2泊の滞在でしたが、空室の関係で1泊目と2泊目は違う部屋での予約となっていました。
まあ、部屋移動といっても数歩歩くだけの距離なので問題ありませんでしたし、結果的には、むしろ違うタイプの部屋を見ることができて良かったです。
部屋比較
1泊目に泊まったのは、agodaでは「スーペリアマウンテンビュー」というカテゴリーの部屋で、階段を上がって右手に4つ並んでいる部屋の3番目の部屋(3/4)でした。
この4つの部屋は川側ではないものの、部屋のベランダからは山と橋が見えました。
ベランダから見える山はカオルアンではありませんが、部屋の前の共用スペース(ルーフテラス)からカオルアンを望むことができるので、それほど問題はありません。
どうしても部屋からカオルアンを眺めたければ、一番奥の部屋「デラックスヒル」を予約すればいいのかも知れません。(角度的にカオルアンがきれいに見えるのかどうかは未確認)
川に対して垂直方向に建てられたこの4部屋棟は、入口側が一面ガラスになっていて明るいのはいいのですが、共用スペースから部屋の中が丸見えになってしまうので、実際には、昼でもカーテンを閉めていないとなんとなく落ち着かない感じでした。
部屋自体は清潔・快適で良かったです。
一方、2泊目に利用した「デラックスリバービュー」の部屋は、川と並行した道路側に建つ3つの部屋の一番奥でした。
こちらの3部屋は普通に壁とドアがあるので、前日のように共用スペースからの視線を気にする必要はありませんでした。
2日目の部屋(3/3)は奥の角部屋ということもあって、川側とお寺から山側にかけての両面の窓が明るく景色も良かったです。
1つ目(1/3)と、2つ目(2/3)の部屋は川側しかガラスになっていません。
(ただ、この隣りふたつの部屋がデラックスリバービューとは違うカテゴリーなのか、たまたま私がラッキーで角部屋になったのかは不明)
朝食
朝食もお粥やシュウマイ、パートンコー(揚げパン)などがセットになっていて、見た目もかわいらしく美味しかったです。
ソファーなどが置かれたテラス一角の室内でも食べられるのですが、天気が良ければルーフテラスに小さなテーブルを出してくれるので、そこで山を眺めながら食べるのも気持ちがいいです。
(小雨でも軒下にテーブルを用意してくれました)
そういえば、チェックインの時に「豚は食べられますか?」と聞かれました。
そんなところにもムスリムの多い南部に来たんだということを感じましたね。
土日や連休は予約で埋まっていることも多いのですが、キリウォン村での滞在にはおすすめの宿です。
agodaで検索・予約する
<ホテル情報>
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ザ スカイ ルーフ ホームステイ アット キリウォン
The Sky Roof Homestay @ Kiriwong
所在地:51/2 หมู่ 10 ตำบลกำโลน อำเภอลานสกา นครศรีธรรมราช 80230
51/2 Moo 10, Kam Lon, Lan Saka, Nakhon Si Thammarat 80230
TEL:088-790-9109
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周辺散策
部屋に荷物を置いて一休みしたら、宿の周りを散策してみました。
この日は夕方からなんだかちょっと雲行きが怪しくなってきました。
階段を降りて行きます。
1階のスーパーの前には、ガソリンの給油機もあります。
(ガソリンスタンドを探さなくてもいいので安心)
とりあえず、徒歩で目の前にある橋へと向かいます。
急に雲が多くなってきちゃいました。
それでも、この橋の上からの景色は、なんだかとても癒されました。
私は山と川のある風景が好きです。
昔、夏休みに家族や従兄弟たちと川遊びに出かけた記憶が蘇ってくると同時に、一瞬ここがタイじゃないような錯覚に陥りました。
コロナ禍ということもあり、もうかれこれ2年近く日本には帰れていません。
日本みたいな景色を目の前にして、つい望郷の念に駆られました。
なんて感傷に浸っていたんですが、ふと『天気が下り坂になる前に夕飯を食べに行かなきゃ』と現実的なことに思い至り、橋を後にしました。
川沿いでごはん(クルア・カオパン)
向かったのは、橋の少し下流にある「クルア・カオパン」(ครัวข้าวปั้น)という食堂です。
ここは、テーブルが川沿いに設置してあるので、なかなか景色も雰囲気もいいのです。
1人ご飯なので、大好きなカオクルッカピの一皿料理。
だけだと、ちょっと寂しいので、これまた好物のエビとチャオム卵焼き入りのゲーンソム。
カオクルッカピ(ข้าวคลุกกะปิ:60THB)
ゲーンソム・クン(แกงส้มกุ้ง:150THB)
ゲーンソムは2〜3人前なのでやはりちょっと多かったです。
でもエビが大きくて美味しかったです。
で、ですね。
なぜかこの後、エビフライ(クン・チュップペーン・トート)もやって来たんですよこれが。
いや、なぜかって私が注文したからに他ならないんですが。すっかり忘れていました。
クン・チュップペーン・トート(กุ้งชุบแป้งทอด:150THB)
本当に、お腹が空いている時の注文は要注意です。
よく考えないまま、勢いで頼んでしまうんですよね。
正直、このエビフライは不要でした。
まずいとかではないんです。
ただ、衣がわりと厚めだったのもあり、すでにご飯とスープでお腹いっぱいに身には、完食するのが非常に辛かったです。
結局、ビールのあてにしながら完食したんですが。(したんかい)
はち切れそうなお腹を抱えながら、部屋に戻ってシャワーを浴びたら、急激に睡魔が襲ってきて、気がついたら寝落ちしていました。
(もうどうしようもない私。汗)
薄らぐ意識の中で、雨音が聞こえたような気がしました。
キリウォン2日目の朝
翌朝、6時過ぎまでぐっすり眠り込んでいました。
窓から山を見ると、靄が立ち込めて少し雨が降っています。
山にたなびく霞もなかなか趣きがあって美しいものです。
小雨が降ったり止んだりしていますが、止んだタイミングを見計らって、外へ散策に出かけました。
橋の上から、昨日と同じように景色を眺めます。
冷んやりとした空気が心地良く、夏山の朝の澄んだ匂いがしました。
ここがタイで1番空気のきれいな村と言われるのも納得です。
しばらくしたら、また小雨が降ってきたので、ホテルに戻りました。
ここが朝食が準備されている部屋です。
橋の眺めがいいですね。
この部屋でソファーやベランダの椅子に座って朝食を食べることができます。
写真を撮っていたら、家族連れのグループ数人が入ってきて朝食を食べ始めたので、私は少し時間をずらして食べようと、部屋の前の軒下にあるベンチに座って霧雨降る山の景色をぼーっと眺めていました。
すると、スタッフの方が「ここに食事を用意しますね」と言って、小さなテーブルをセットして、朝ごはんを運んでくれました。
あー、こういう朝食も素敵だなと、スタッフの方の心遣いに感謝です。
ここの朝ごはん、どれも美味しかったんですよ!
部屋移動
2日目の午前中は、天気がイマイチということもあって、部屋で写真の整理をしたり本を読んだりして過ごしていました。
11時頃、川側の部屋の用意ができましたと声をかけてもらったので、部屋を移動します。
(もともと山側と川側の部屋にそれぞれ1泊ずつの予約)
上にも書きましたが、案内してもらったデラックスリバービューの部屋は、角部屋だったので、正面川側と右の山側の2面がガラス仕様になっていて明るく景色も良かったです。
リバービューという名前ですが、個人的には、川側よりも寺院から北側に続く山の景色が気に入りました。
この部屋からは、斜め後方にカオルアンも見ることができたんです。
この日は、前日の部屋の冷蔵庫に入っていたサービスのクリスマスケーキをランチ代わりにいただきました。(前の部屋から持ってきた。笑)
初めて食べた「ガルーダの爪」
2日目の夜は、村の中にあるクロック・ポータオ(ครกพ่อเฒ่า)というレストランというか食堂でした。
特に何も考えずにふらっと入った店でしたが、なかなか良かったです。
私が店に入っていくと、端のテーブルでビールを飲んでいる常連らしいおじいさん2人が、厨房の方に「客が来てるぞー」と声をかけてくれました。
前日は、注文しすぎて失敗したので、いろいろ吟味してオーダーすることにしました。
せっかく南部に来ているので、タイ南部らしい料理もセレクトしながら。
まずはビールを1本。
ヤム・タクライ・クンソット(ยำตะไคร้กุ้งสด:120THB)
レモングラスとエビのヤムですね。
上品な味わいで美味しかったです。
バイリアン・パット・カイ(ใบเหลียงผัดไข่:100THB)
リアン(グネモン)という葉と卵の炒め物。
あっさりとした味付けで美味しいのです。
この2品の付け合わせに、あまり見慣れない葉っぱが添えてあるのが気になりました。
なんかトゲトゲとしたような葉が特徴的です。
店員さんに聞いてみると、バイ・レップ・クルット(ใบเล็บครุฑ)だと教えてくれました。
バイ(ใบ)=葉
レップ(เล็บ)=爪
クルット(ครุฑ)=ガルーダ
つまり、「ガルーダの爪の葉」ということです。
なんともカッコいいネーミングですね。
(後から調べたら、日本語では「タイワンモミジ」といい、観葉植物扱いのようです)
味の方は、少し独特の芳香がありますが、個人的には嫌いではありませんでした。
また、若い葉なのでしょう、思ったより固くなかったです。
そして、主食は、クアクリンという南部料理です。
クア・クリン・ガイ(คั่วกลิ้งไก่:50THB)
ひき肉を香辛料とコブミカンなどのハーブと共に水気がなくなるまで炒めた、とても辛い南部料理です。
1人用のご飯セットにしてもらいました。
辛いことには辛かったですが、しっかりした味付けで、ご飯と一緒に食べたら美味しかったです。
汗だくになりましたけど。笑
<レストラン情報>
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クロック・ポータオ
ครกพ่อเฒ่า
所在地:ซอย 4002 ตำบล กำโลน อำเภอ ลานสกา นครศรีธรรมราช 80230
Soi 4002, Kam Lon, Lan Saka District, Nakhon Si Thammarat 80230
TEL:090-409-3916
時間:10:00-22:00
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吊り橋(タイの上高地!?)
キリウォン村の橋から上流へ3キロほど行ったところに、吊り橋があります。
ここもキリウォン村の素朴な観光スポットのひとつです。
この辺りは、川幅も狭めで流れも早く、本当に日本の渓流というような雰囲気です。
雨上がりの2日目は少し水が濁っていましたが、3日目に訪れた時は水も澄んでおり、川を上る魚たちの姿が地上からも良く見えました。
苦情は受け付けかねますが、私は勝手にここを「タイの上高地」と命名しました。(笑)
吊り橋を同時に利用していいのは15人までとのことでしたが、私が訪れた時は、いつも誰もいなかったので、人数制限の心配は無用でした。
安全監視台(天候により急に増水する場合があります)
この吊り橋の近くにもいくつかカフェや宿泊施設があったので、本当にきれいな空気の中でゆっくり過ごしたい場合は、この辺りに宿を取るのもありだと思います。
ただ、村の中心部まで行くのが若干面倒ではありますが。
ちなみに、この川に多く生息し跳ねるように川を遡上している魚は、地元ではプラー・ゲ(ปลาแงะ)と呼ばれています。
一般的なタイ語では、プラー・プルワン(ปลาพลวง)というらしいです。
清流を上る魚というイメージから、マスとかアユみたいな魚をイメージしましたが、実はコイ科の魚のようです。
そうか、まさに鯉の滝登り!!
というか、日本で本当の鯉が滝を登っているのを見たことがありません。
タイで初の鯉の滝登りを見るなんて・・・。
タイではこの魚が龍になるという伝説はないんでしょうかね。(笑)
吊り橋からの帰りに、川沿いにあったドリンクスタンドでタイティーを。
この、NOBI CHA(のび茶)って、最近タイの色んなところでよく見かけますね。
朝市
宿の前の通りを上流に数十メートル歩いたところに、朝市が出ていました。
地元の人たちのための素朴な市場ですが、活気があって、こういう雰囲気が大好きです。
写真をいくつか貼っておきますので、雰囲気を感じ取ってもらえたら嬉しいです。
キリウォン村を訪れたら、ぜひ、少し早起きをして朝市も訪れてみてください。
カオルアン(ルアン山)
タイ南部最高峰のカオルアン(海抜1,835メートル)の麓にあるキリウォン村からは、当然、カオルアンの眺望が楽しめます。
ただ、私が訪れた初日と2日目までは、雨が降ったり雲が多かったので、ほとんどその姿を拝むことができませんでした。
3日目の朝、いつものように橋の近くを散策して牛の写真や川の写真を撮っていました。
(キリウォン村では、そうやってのんびり過ごすほか、特にすることがありません)
橋の真ん中にある、魚の餌が入っている発泡スチロールの箱が前から気になっていたのですが、この日はおにいさんがいたので、声をかけて一袋買ってみました。(10バーツ)
丸い餌を一振り川へ落とすと・・・。
魚がバチバチ飛び跳ねて餌の取りあい合戦が始まりました。
ある程度予想通りでしたが、実際にやってみると案外面白くて、夢中になってしまいました。
この魚の名前が「プラ一・ゲ」ということを教えてもらったのは、この餌売りのお兄さんでした。
餌やりを終えて引き返そうとしたら、橋の先にカオルアンがきれいに見えました。
山頂は雲がかかっていましたが、それがまた冠雪しているような姿にも思えて(そんなことはありえないのですが)、見とれてしまいました。
「これは、ルーフトップテラスから見なければ!」と、
ホテルの2階に駆け上がりました。
結局、山頂が姿を現してくれることはありませんでしたが、青空に映えるカオルアンと白い雲が非常に美しく、そんな姿を眺めながらテラスに用意してもらった朝食をいただいたのでした。
キリウォン村で2泊した甲斐がありました。
1泊だけなら、こんなに澄んだ景色も見られなかったかも知れません。
以上、まるで日本の夏休みのような雰囲気の山村、「キリウォン村」の話でした。
いつものごとく、まとまりのない内容を、長々とお読みいただきありがとうございました。
ではまた。