南イサーン、ウボンラーチャターニー県にあるメコン川の奇岩「サムパンボーク」を訪れた後、数千年前の人たちが描いたという壁面の不思議な絵を見に行きました。
断崖に描かれた大昔の壁画「パーテム国立公園」
サムパンボークを見物した後は、そのままメコン川沿いを南下するように次の目的地「パーテム国立公園」(อุทยานแห่งชาติผาแต้ม)へと向かいました。
(「パーテーム」と記載されることもあります)
※サムパンボークの記事はこちらです。
この間の道はとても気持ちがよく、まるで初夏の高原をドライブしているような気分でした。
パーテム国立公園内にある断崖には、今から3千〜4千年前に描かれた壁画があるそうでなんです。
これは楽しみです。
パーテム国立公園入口
サムパンボークから約1時間くらいでパーテム国立公園のゲートに着きました。
ここで国立公園の入場料を支払います。
自動車から降りてチケットを買いに行く必要があります。(人数分+自動車代)
チケットは自動券売機で購入する方式となっており、タイ語の他に、たしか、英語、中国語、日本語、韓国語の切り替えができたと思います。
後ろには係員が立っているので、わからなければ教えてくれます。
というより、こういう自動券売機に慣れていない人の方が多くて、ほぼ係員が付きっきりのため、かるくチケット購入渋滞になっていましたね。(笑)
チケットを買ったら、再び数分運転して公園駐車場の方へと向かいます。
チケット売り場と駐車場の間に、有名な奇岩スポット(キノコ岩)があるのですが、少し通り過ぎてしまったので、帰りに寄ることにしました。
チケット売り場から2キロくらいで駐車場に到着です。
断崖からの景色
駐車場の前にあるインフォメーションセンターで少し情報を集めながら、ここの全体像をつかみます。
この周辺の地形は、川の侵食と地殻変動による河岸段丘となっており、駐車場のある場所からメコン川が流れる下の河原まではかなりの高低差があり、その谷の崖(段丘崖)の部分に古代の人たちが描いた点在しているようです。
そして、比較的鮮明に残った絵が集まっている場所を、4つのエリアに分けています。
崖を降りて歩いていかなければ、それらの絵を鑑賞することはできません。
一旦下に下りて行けばそこそこ平坦な道も続いていますが、スタートはわりと急こう配な階段や足場の悪い箇所もあるので、体力に自信がない方は無理をしない方がいいと思います。
全部見て回ろうとするとかなり疲れます。(私はけっこうバテました)
崖を降りる前に、まずは上からの景色を楽しみます。(川向こうはラオス!)
断崖のギリギリまで行くことができますが、柵も手すりもないので、ふざけたりせず、気を付けて歩きましょう。
よくわかんないスケルトン魚!?【1の壁画】
いよいよ、壁画鑑賞の散策スタートです。
まずは急な階段を降りていきます。
100メートルほど階段を降りたら、そこからは比較的平坦な道となりました。(といっても多少のアップダウンはあります)
200百メートルほど進むと、第1の古代壁画スポットに到着。
歩道の脇には、少し高くなったステージ状の展望台(鑑賞台)のようなものがあるので、そこから眺めてみます。
うーん。
なんでしょうか。
魚の骨格?化石の魚みたいな絵が4、5匹描かれています。
説明書きを読むと、やはり魚らしいです。
レントゲン魚とか書いてありました。
パーテム壁画のメインスポット!【2の壁画】
第1壁画スポットから300メートルほど進んだところに、第2の壁画スポットがありました。
ここは、はっきりと「あ、絵が描いてある!」とわかるものがたくさん集まっていました。
おそらく、4つの壁画グループの中ではメインのスポットであると言えるでしょう。
説明書きによると、象やカメ、淡水エイ、魚たち、魚を獲る道具、手形(手の平)などだそうです。
一番左がゾウさんでしょうね。
もしかして、この中央下にあるのが淡水エイ?
この手形なんて、手を置いて上からスプレーしたんじゃないのって感じですよね?笑
何のため?謎の手形!【3の壁画】
第2の壁画スポットから第3の壁画スポットまでは、800メートル以上ありました。
第2の壁画から先は訪れる人がぐっと減るような気がします。
実際、お子さんや年配の方がいる家族連れなんかの多くは、第2の壁画までで引き返されていました。
私たちは最終的に全部回ったのですが、正直言って、トレッキングや散策が好きな方以外は、第2の壁画スポットまでだけでもそこそこ満足できるんじゃないかと思いました。
それはさておき、先に進んでみましょう。
道幅は所々せまくなったり、ちょっとした勾配があったりしますが、それほどの高低差はないのでブラブラと森林浴を楽しみます。
もう少し気温の低い時期ならもっと気持ちよかったんでしょうね。
上を見上げるとこんな断崖になっています。
この崖の上にさっきまで立っていたんですね。
そこここに落石注意なんて書いてあります。(どう注意すれば・・・)
そんな壁面を眺めながらふと思ったんですが、この辺りの岩や崖はほとんど砂岩でできているみたいなんですよね。
『砂岩なんてわりと崩れやすかったりもろかったりするイメージなのに、そんな石の表面に描かれた大昔の絵がよく何千年も残っているなあ』と、不思議に感じられたんです。
一応、湾曲した内側の壁面に描かれていますが、豪雨が降ったりしたらさすがに濡れるだろうし、風や太陽にもさらされているわけじゃないですか。
実際に、こんな感じで岩の表面がはがれている箇所をたくさん目にするにつけ、
「3000年、4000年も残るってすごくないか?」
「どんな顔料や色を使ったんだろう?」
「浸食されて表面が多少削られても残るくらい、深く色が浸透していたということなんだろうか?」
なんていう疑問が沸き起こりましたが、素人の私には知る由もありません。
あまり深追いしないことにしました。
そんなことを考えているうちに、第三の壁画スポットに到着です。
ここの壁画は、けっこう高い場所に描かれていました。
『あんな場所になぜわざわざ描いたんだろう?』
『どうやって登ったんだろう?』
なんて、ここでも謎は尽きません。
説明書きによると、ここには大昔の人たちの生活が描かれているそうです。
稲のような作物や、武器か何かの道具を持った人、動物なんかが登場するらしいのですが、私がかろうじて判断できたのは、牛とか鹿みたいな動物と数本の線で描かれた草みたいなもの(稲?)、そして無数の手形くらいでした。
この真ん中に点在しているのが稲(?)で、左下のがおそらく鹿(?)なんですよね?
もしかして、鹿みたいなやつの左が人?
だとしたら、かなり雑・・・。笑
あとは、ちょっとよくわからないわからない何か。
しかし、この場所で何よりも異彩を放っていたのは、やっぱり人の手形だったと思います。
ベタベタと付けられたような手形は、何かのおまじないなんでしょうか?
デザインなんでしょうか?
ひとつ付けたら楽しくなって止まらなくなったんじゃないかと、個人的には思っています。(笑)
スカートをはいた女性の絵を見るために!【4の壁画】
第3のスポットで壁画を鑑賞した時点で、正直言うと、わりとお腹いっぱいになっていたんですよね。
『これだけ壁画を見たらもう十分じゃない?』
『今後のスケジュールのために、体力も温存しておかなきゃなんないし』
という心の囁きの一方で、
『せっかくここまで来たんだから、今さら引き返すのはなんとなく悔しい』
『ポスターや案内板でよく見かける、スカートをはいた女性のような絵も、どうせなら見ておきたい』
という気持ちもあって、結局、半ば意地で第4のスポットまで行ってみることにしたんです。
第3のスポットからは、また800メートル以上歩きます。
この行程は上り坂や下り坂もあり、かなり汗が噴き出しました。
途中まで誰にも出会いませんでしたが、第4スポットの手前100メートルくらいの場所にある東屋(あずまや)風の休憩所で2人のタイ人カップルの姿を目にしました。
東屋の隣を見ると、車が停まっています。
え?( ・∇・)
ここまで自動車で来られるんです!
あまり歩きたくない方は、この第4スポットの手前までは車で来ることをお勧めします。
このカップルと少し立ち話したんですが、汗だくになっている私たちの様子から何かを悟ったのか、「壁画はまた今度にするわ」と言って立ち去って行きました。
えっ!何しに来たの!?
人それぞれだなあと思いつつ、あと100メートルほど先の第4スポットまで向かいます。
この第4スポットは、今までの3つのスポットとは違って歩道が狭かったり足場が悪い箇所もあり、最後は低い岩の天井に腰をかがめて進まなければならないので、十分気をつけましょう。
私が見たかったスカートレディの絵は、意外にも至近距離にありました。
イメージではまた上の方を見上げる感じなんだろうと思っていましたが、目と鼻の先にありました。
普通に触っちゃったりできる場所です。
保護柵も何もありません。
もちろん触っちゃダメなんですけど、3〜4千年前の貴重な絵がこんな扱いでいいの?
これ、レプリカか何か?
もうよくわからなくなってきました。
まあ、見たかった絵が見られたので、ありがたく目に焼き付けて、写真に納めさせていただきました。
なんともかわいらしいフォルムです。
でも説明看板によると、このスカートのようなものをはいた人物が、女性なのか男性なのかはわからないそうです。
なぜなら胸がないから。らしいです。(笑)
1周トレッキング達成!
晴れて第4のスポットも鑑賞できたので、駐車場まで戻ることにしましたが、ここから駐車場までが思ったより遠かったです。
距離的には1.5キロほどなんですが、今までとは違い断層上部のブッシュ地帯を歩くので日差しがきつく体力を消耗しました。
最初に景色を眺めていた崖の上部と駐車場が見えてきた時は、心からほっとしました。
全長4キロ足らず(約2時間ほど)ではありますが、タイ暑季のパーテムトレッキングには覚悟が必要です。笑
インフォメーションセンターまで戻ってきた私たちは、カフェに直行して水を購入。
今見てきた絵が全部集約してあるカウンターの壁画を眺めつつ、『疲れたくない人はこれで十分じゃ?』なんて思いながら、冷たい水を飲み干しました。
奇岩!巨大キノコ岩(Sao Chaliang)
駐車場の一角にある食堂で昼ごはんを食べたあと、私たちは、来るときに通り過ぎてしまった観光スポットへ向かいました。
ここは、サオ・チャリアン(เสาเฉลียง)と呼ばれる奇岩スポットです。
1億年以上前に堆積して形成された砂岩が地殻変動によって隆起し、その後、雨・風・日光の浸食によって現在のキノコのような姿となったと考えられています。
高いもので7メートル、低いものでも5メートルあるそうです。
事前に写真でみた時は、なんとなく奥まった場所にあるイメージを想像していたのですが、実際は道路脇すぐの場所にあり、駐車場もトイレも完備された休憩スペースみたいになっていました。
絶好の写真スポットなので、パーテム観光の際はぜひお立ち寄りください。
巨岩の割れ目(Lan Hin Taek)
キノコ岩(サオ・チャリアン)の裏手の坂を少し上って行くと、そこにはもう一つの観光スポットがあります。
ラーンヒンテーク(ลานหินแตก)
ここは、巨大な岩盤に長い亀裂が入っています。
写真ではあまり伝わらないのですが、幅1〜1.5メートルほどの割れ目が続いており、けっこう深いので、落ちたら惨事となります。
ジャンプして飛び越えるのは、ちょっとスリリング。
スマホやカメラを落としたら洒落になりませんので、注意しましょう。
まあ、岩が割れているだけと言えばだけなので、写真を撮って数分滞在すれば十分かもしれません。
(地質学、地球科学なんかが好きな方には興味深いスポットなんでしょうね)
パーテム国立公園情報
ウボンラーチャターニー県のパーテム国立公園は、多彩な観光スポットがあります。
ハイキングやトレッキング好きな方は、古代の壁画を見ながら約4キロの断崖遊歩道一周の散策にもチャレンジしてみてください。(暑季の日中は水分補給と適度な休憩を)
※遊歩道一周は、サクサク歩いて1時間半ほど、ゆっくり見て歩くと2時間から2時間半くらい。
体力に自信のない方、時間のない方は、第2の壁画スポットくらいまででも十分楽しめます。
※第2壁画までなら、往復で40~50分くらい見ておけば大丈夫かと。
また、パーテムの駐車場から少し歩いた断崖からは、眼下にメコン川と対岸のラオスまで見渡せる広大な景色も望めますし、キノコ岩などの奇岩スポットには、車ですぐ目の前まで行くことが可能です。
<観光地情報>
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パーテム国立公園(パーテーム)
อุทยานแห่งชาติผาแต้ม
Pha Taem National Park
所在地:ตำบล ห้วยไผ่ อำเภอ โขงเจียม อุบลราชธานี 34220
Huai Phai, Khong Chiam District, Ubon Ratchathani 34220
TEL:045-249-780
時間:06:00-18:00
駐車場:あり
入場料:外国人大人400B、子供200B(タイ人大人40B、子供20B)
URL:http://park.dnp.go.th/visitor/nationparkshow.php?PTA_CODE=1073
E-mail:phataem_np@hotmail.com
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以上、ウボンラーチャターニー県の大自然観光スポットをご紹介しました。
ではまた。