前日の世界遺産アユタヤとナコンパトム県の日帰り旅行に続き、この日はバンコクから南に進路をとり、ペッチャブリー県と王室の避暑地としても有名なホアヒンのあるプラチュアップキリカン県へと行ってきました。
今回の目的は、現王朝であるチャクリー王朝(またはラッタナコーシン王朝とも呼ぶ)の歴代王、ラーマ4世(モンクット王)とラーマ5世(チュラーロンコーン王)とラーマ6世(ワチラウット王)にゆかりのある離宮を巡りながら、ビーチ沿いでランチを食べ、ホアヒン駅を見に行くことでした。
幻想的な光差し込む絶景洞窟『カオルアン洞窟』にも立ち寄りました。
※Hua Hin(หัวหิน)の日本語表記は「ホアヒン」と「フアヒン」との2つが見られますが、この記事では「ホアヒン」に統一しています。
ホテル出発
6時半。
この日も朝一でホテルの朝食をすませてもらい、予約してあったバンに乗り込みます。
前日と同じくモントリー社の運転手つきのバンをチャーター手配しています。
夕べの疲れが出ていないかと心配しましたが、みんな元気そうで安心しました。
年配のグループなので、朝早いのはそれほど苦ではなさそうです。
むしろ、引率係の私が一番眠そうにしていました。(笑)
日曜日の朝、渋滞もなく順調にバンコクを南下してペッチャブリー県へと向かいます。
プラナコーンキーリー歴史公園(カオワン)
อุทยานประวัติศาสตร์พระนครคีรี (เขาวัง):Phra Nakhon Khiri (Khao Wang)
8時40分。
ペッチャブリー市内にあるプラナコーンキーリー歴史公園に到着です。
プラナコンキリ歴史公園と表記されることもありますが、そもそもタイ人の間では「カオワン(เขาวัง)」と呼ばれることが多いです。
เขา [khǎo] カオ=「山」+วัง [waŋ] ワン=「宮殿」で、「宮殿の山」というような意味ですね。
まあ、日本でいうと品川の「御殿山」みたいな感じです。(いや、違う?)
小高い山の上には、ラーマ4世が1859年に建てたヨーロッパと中国建築を融合させたスタイルの離宮や仏塔が残っています。
ラーマ4世と言えば、別名モンクット王とも呼ばれ、映画「王様と私」の王様としても有名です。
西洋の文化をタイに取り入れはじめた時代の王様です。
日本でいうと、ちょうど江戸時代の終わり、幕末の頃ですね。
ペリー来航から桜田門外の変、鳥羽伏見の戦いといった時代です。
麓からゆっくり歩いて山を登ることもできるのですが、ここは文明の利器に頼ってケーブルカーで一気に山頂付近まで上ることにします。
外国人は、歴史公園の入場料150バーツとケーブルカーの往復料金50バーツで、合計200バーツ支払います。
タイ人は、入場料20バーツとケーブルカー代50バーツで、合計70バーツとなります。
ちなみに、タイの労働許可証やタイの運転免許証を持っている外国人でも、タイ人価格が適用されることはなく、みんな外国人料金を徴収されます。(確認済)
軍政になってからの国立公園系の入場料は、タイ在住者・旅行者問わず、外国人は一律外国人料金を徴収するという方針が徹底されています。
この日は少し靄がかかっていたので、遠くの風景ははっきりと望めませんでしたが、青空に浮かぶ白い宮殿や仏塔はいつ見ても美しいです。
日差しがきついのと坂なので、ゆっくりゆっくり見学を進めます。
カオルアン洞窟
ถ้ำเขาหลวง:Khao Luang Cave
10時15分。
10時にプラナコーンキーリー歴史公園を後にして、15分くらいでカオルアン洞窟の駐車場に到着しました。
ここ、いつも誘導されるがままに手前の駐車場で車を停めて、そこからソンテオ(往復15バーツ)に乗り換えて洞窟の入り口まで行くんですが、ソンテオに乗る距離なんてほんの300~400メートル程度なんですよね。
まあ、確かに坂っちゃ坂なんですけど、歩けなくはない距離です。
しかも、洞窟の入り口の広場にも10台くらい停車できる駐車場があるんですよね。
毎回、最初からここまで車で来てはいけないのか、聞こう聞こうと思いながら、いつも忘れてしまいます。
まあ、15バーツくらい、いいんですけど、時間もロスだし、なんとなく・・・。
そんなことはさておき、カオルアン洞窟です。
この洞窟は、まず入り口から急な階段を、ビルでいうと4階分くらいの高さを、下に降りて行かなければなりません。
一応手すりはついていますが、帰りの上りは若者でも息が切れるほどですから、「無理せず、パスする人は車で待機していていいですよ」と事前にアナウンスしたのですが、なんと全員行くというではありませんか。
全員還暦を越えた平均年齢72歳のグループとは思えません。^^;
みんな頑張ったおかげで、全員、洞窟に差し込む光の柱の美しい光景を目にすることができました。
ここの洞窟は本当に神秘的で美しいので、ペッチャブリー方面に旅行される方は、ぜひ立ち寄ってもらいたい場所でもあります。
※カオルアン洞窟の駐車場の件、やっぱり気になったので、この記事の投稿直前に、ペッチャブリー県の観光局に問い合わせてみました!!
回答は、「カオルアン洞窟入口の駐車場まで直接車で行っていただいてけっこうです。ただ、現在、入口付近の駐車場広場は整備工事中なので、駐車スペースが13台分しかありません。よって、上まで行って駐車スペースがないと、また引き返さなければならないという手間があるので、現場では下の駐車場からのソンテオ移動を案内しているようです。入口付近の駐車場工事が完了したら、ソンテオ移動も含めて、改めてオペレーションを整備していきたいと思います」とのことでした。
まあ、私の想像ですけど、ソンテオ業者たちが自分たちの都合のいいように下の駐車場を案内している実態を、観光局もなんとなく知っていて、今は黙認しているような印象でした。(笑)
ラーマ5世の雨季の離宮(バーンプーン宮殿)
พระรามราชนิเวศน์ (วังบ้านปืน):Phra Ram Ratchaniwet (Ban Puen Palace)
11時。
カオルアン洞窟から15分くらいの場所にあるタイ陸軍の敷地へやってきました。
この敷地内にラーマ5世が雨季を過ごすために命じて造らせた宮殿「プラ・ラーム・ラーチャニウェート」があるからです。
通称『バーンプーン宮殿』と呼ばれるこの離宮は、1910年にラーマ5世がドイツ人建築家に設計させた西洋建築の宮殿です。
しかし、完成を待たずしてラーマ5世は崩御され、実際の完成はラーマ6世の時代となりました。
ラーマ5世と言えば、幼少の頃にイギリス人家庭教師アンナ(『王様と私』)から西洋文化を学び、即位した後は、奴隷の解放や鉄道の整備、学校教育・大学の設立など、タイの近代化を進めた名君として有名です。
日本でいうと、ちょうど明治時代と重なります。
明治維新から文明開化、郵便制度の開始、文部省の設置、東京大学設立、日清・日露戦争の時代です。
宮殿内は撮影禁止ですが、大理石がふんだんに使用されており、外の暑さが嘘のように、ひんやりとした過ごしやすい空間となっています。
ただ、もう少し丁寧に掃除をすればいいのになぁと残念に思った箇所もいくつかありました。
この後、ビーチ沿いでのランチとホアヒン駅に向かいますが、長くなったので次回に続きます。
ではまた。