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バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

私の愛するタイで最も美しい仏像:プラ・プッタ・チンナラート仏(ピサヌローク県)

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雨期明け宣言を受けて、昨夜、はりきって大量の洗濯物をタイマー予約したのに、今朝はどんより曇り空でした。よく見たら雨期明けは10月27日からでしたね。

 

さて。

タイで最も美しい言われる仏像がピサヌローク市内を流れるナーン川のほとりにあります。
ワット・プラシー・ラッタナ・マハータート・ウォーラマハーウィハーンというお寺の仏堂(วิหาร:ウィハーン)に安置されているプラ・プラッタ・チンナラート仏(チナラート仏)です。
この長~い名前のお寺ですが、地元の人の間では「ワット・ヤイ(วัดใหญ่)」という通称で親しまれています。大きい寺という意味ですね。

今回は、私にとっても思入れのあるこのワット・ヤイと大好きなチンナラート仏について書きたいと思います。

 

 

ワット・ヤイへの行き方

チンナラート仏が安置されているワット・プラシー・ラッタナ・マハータート寺院への行き方ですが、国鉄のピサヌロークの駅からは約1.5キロほどなので、ぷらぷら散歩しながら歩けなくはない距離なんですが、炎天下だとちょっときついかもしれません。

バスターミナルや飛行場からはかなり距離があるので、トゥクトゥクなどを利用するのがいいでしょう。行き先を告げる時に、お寺の長い正式名を言っても「はあ?」と聞き返されるのがオチですので、「ワット・ヤイ [wát yài]」と言いましょう。そのほうがすぐわかってくれます。

また、スコータイやターク県方面に行くバスに乗って、トップランド(TOP LAND)というデパートの前の停留所で降ろしてもらうという手もあります。

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地図をはっておきます。


プラ・プッタ・チンナラート仏(พระพุทธชินราช)について

チンナラート仏が造られたのは、スコータイ王朝第6代リタイ王時代、仏歴1900年(西暦1357年)頃と言われていますが、正確なことはわかっていません*1
日本でいうと南北朝時代のあたりですね。リタイ王の治世には多くの仏教寺院や仏像が建立されたそうです。


ピサヌロークはムアン・ソーンクウェー(เมืองสองแคว:『2つの川の町』の意味)とも呼ばれ、この時代とその後のアユタヤ王朝時代に一時的に首都となったこともある歴史的にとても重要な都市でもありました。

ちなみに、ピサヌロークはアユタヤ時代の英雄、ナレースワン大王の出身地であり、また、今年初めにタイで大ヒットした歴史ドラマ「ブッペーサンニワート(บุพเพสันนิวาส)」の主人公、メー・カーラケート(แม่การะเกด)の出身地(という設定)でもありましたね。
これは私の個人的なイメージかもしれませんが、ピサヌロークは美人の町という印象があります。

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脱線しましたね。チンナラート仏に話を戻しましょう。

チンナラート仏はスコータイ様式の青銅製の鋳造仏で、高さ約3.5m、幅約2.9m、火焔のような光背を背にして、右手の指を地面に向けた降魔印という印相を結んでいます。この降魔印というのは、タイの仏像では最もよく見られる印相だと思います。

私的にはこの仏像の伏し目がちでこちらと目が合うような合わないような慈悲深いお顔が好みです。

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金色の仏像

もともと、このチンナラート仏は、金色に輝く仏像ではありませんでした。
1603年アユタヤー朝のエーカートッサロット王の命により初めて金の塗装が施されました。その後現在に至るまで2回(ラーマ5世時代の1901年とプミポン前国王の時代の2004年)金塗装の塗り替えが行われています。

実は、2004年に行われた2回目の塗り替え前にしばらくピサヌロークに住んでいたことがあるので、今のように金ぴか(それはそれでいいのですが)ではなく、いい具合に経年変化の進んだ落ち着いた黄金色のチンナラート仏を私は知っているのです。当時はいろんな思いを胸に、よくこのワット・ヤイにお参りに来ていたのですが、その荘厳で慈悲深いお姿にどれだけ救われたかかわりません。

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今でもピサヌローク方面に行くときは必ずワット・ヤイへの参拝は欠かしませんし、バンコク生活の中でふと無性にチンナラート仏に会いたくなって、それだけのためにピサヌロークへ向かうことがあるくらい私にとっては愛してやまない仏様なんです。

 

バンコクのチンナラート仏

地域の人々はもとよりタイ全土の多くの人から敬愛されているチンナラート仏ですが、歴代の国王や王族にも愛されてきた仏像なのです。
その中でも特にチンナラート仏に魅了された方がラーマ5世だったかもしれません。

ラーマ5世は、バンコクのドゥシット宮殿の王室守護寺院として建立された、ワット・ベンジャマボーピットドゥシットワナーラーム(วัดเบญจมบพิตรดุสิตวนาราม)、別名「大理石寺院」の本尊としてピサヌロークのプラ・プッタ・チンナラート仏を安置したいとお考えになります。
しかし、チンナラート仏は今まで他の地へ移設されたことがなく、もしバンコクへ持って行ってしまったらピサヌロークの民たちが嘆き悲しむだろうとお考え直しになり、ピサヌロークのチンナラート仏と全く同じ仏像を新たに鋳造(模造)することになさいました。

※「模造」のことをタイ語で、「จำลอง [camlɔɔŋ] チャムローン」と言います。いわゆるレプリカのことですね。間違っても「ปลอม [plɔɔm] プローム」=「偽造」という言葉を使ってはいけません。笑

そうして、1901年。忠実に再現されたチンナラート仏の複製がピサヌロークから船で運ばれ、バンコクの大理石寺院の本堂に安置されたのです。

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もし、ピサヌロークまではなかなか行けないという方は、美しいチナラート仏を拝みにぜひ一度バンコクの大理石寺院へ足を運んでみてください。
そして、いつか機会があったらピサヌロークの本家(?)チナラート仏も参拝して、比べていただければと思います。
忠実に複製したとはいえ、やはり雰囲気や細かいところは違うものですから。

まとめ

タイで一番美しいとも言われるピサヌロークのチンナラート仏。その均整のとれた美しさから、タイで最もたくさん模造され各地のお寺に安置されている、仏像のお手本のような存在でもあり、タイで最も参拝者の多い仏像の一つでもあります。

ピサヌロークと言えば、スコータイ遺跡観光の陸上交通の拠点として通過することが多いと思いますが、実は歴史も情緒もある本当にいい町なんです。
近くに行かれる際は、素通りするだけではなく、ぜひ立ち寄って町歩きをしたりナーン川のほとりで食事を楽しんだりしながら、ワット・ヤイの美しい仏像に会いにいってみてください。

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ではまた。

*1:もっと古い時代のものという説や、逆にアユタヤ―時代に造られたものであるなど諸説あり