バンコクを流れるチャオプラヤー川の西岸、ワット・アルン(暁の寺)から少し上流にあるバーンコークノーイ運河。
その運河の河口付近に「王室御座船博物館」なるタイの国立博物館があります。
かつて旅行でタイに来ていた時代から、ガイドブック等でその存在を知りつつも、今までずっとスルーしていたスポットでした。
今回、初めてその豪華絢爛なタイ伝統の船を見学に行ってきましたので紹介します。
- 王室御座船(ロイヤルバージ)とは
- 王室御座船博物館へのアクセス
- 博物館見学
- ①アスラワーユパック船(เรืออสุรวายุภักษ์):護衛船
- ②アナンタナーカラート御座船(เรือพระที่นั่งอนันตนาคราช):御座船
- ③アネーカチャートプチョン御座船(เรือพระที่นั่งอเนกชาติภุชงค์):御座船
- ④クルットヘーンヘット船(เรือครุฑเหินเห็จ):護衛船
- ⑤スパンナホン御座船(เรือพระที่นั่งสุพรรณหงส์):御座船
- ⑥ナーラーイソンスバン ラーマ9世御座船(เรือพระที่นั่งนารายณ์ทรงสุบรรณ รัชกาลที่ 9):御座船
- ⑦グラビープラープムアンマーン船(เรือกระบี่ปราบเมืองมาร):護衛船
- ⑧エーカチャイヘーンハーウ(เรือเอกไชยเหินหาว):護衛船
- 王室御座船博物館情報
王室御座船(ロイヤルバージ)とは
王室御座船は、タイ国王の即位や生誕記念、国際会議開催などの重要な王室行事や国家行事の際に、チャオプラヤー川での水上パレードに使用される、王族とその護衛用の船のことです。
王室御座船博物館 | 【公式】タイ国政府観光庁 (thailandtravel.or.jp)
王室御座船国立博物館 - Wikipedia
使用されるのは数年に一度の水上パレードの時なので、実際にチャオプラヤー川を御座船が走る姿はほとんどお目にかかれないのです。
記憶に新しいところでは、
2019年に行われた現国王ラーマ10世の即位記念行事でのパレード。
あと、2006年の前国王ラーマ9世(プミポン国王)の在位60周年記念行事でのパレード、そして2003年のAPEC開催時のパレードあたりが私の記憶に残っています。
実際のパレードでは52隻の船が使用され、その中でも重要な8隻(王族用の御座船4隻とエスコート船4隻)が、王室御座船博物館で保管・展示されているそうです。
王室御座船博物館へのアクセス
今年の1月のある日。(いつも時系列がバラバラですみません)
よく下調べもせず車で博物館へ向かった私たち。
Googleマップで案内されたのはアルンアマリン橋のたもとにある海軍の施設でした。
しかし、その海軍の施設の中には一般車両は入って行けません。
どうやら、車では博物館まで行けないもよう。
軍施設の守衛さんに尋ねると、50メートルほど戻った場所にある細いソイ(路地)から徒歩で行くしかないと。
仕方なく橋の下に路上駐車して、歩いて向かうことに。
これがそのソイの入口です。(少し行き過ぎて戻りながら撮った写真です)
※タクシーで来られる方も、おそらくこの場所で降りて、その後は徒歩になると思います。(時期により軍施設内を通してくれることもあるかも知れません)
※電車の最寄り駅は、MRTブルーラインの「バーン クン ノン」(Bang Khun Non / บางขุนนนท์)ですが、駅から徒歩だと2キロ程度あります。
※チャオプラヤー・エクスプレスの「プラ ピンクラーオ船着場」(Phra Pinklao Bridge Pier / ท่าเรือพระปิ่นเกล้า)からは徒歩10分程度です。
それでは、路地を歩いて行ってみましょう。
車が1台通れるかどうかというような細い路地。
その先はさらに細くなって、車さえ入れ込めないような生活感漂う裏路地に。
本当にあってる?と心配になりますが、所々に博物館への矢印看板が掲げてあるので、かろうじて引き返さずに済みました。
あの看板がなかったら、絶対に先には進まないような路地です。
だって、仮にも国立の博物館へ続く道がこんな細い路地だとは、普通思わないじゃないですか。
ほんの350メートルほどの道のりが長く思えました。
そして、ようやく到着。
これが国立博物館の入口!?
って戸惑うくらい、生活感あふれる路地の横に掲げられた看板、そしてどこかの町工場の通用門みたいな雰囲気。
まあ、こういうのもありですよね。(笑)
このおじさんの家と鳥籠のすぐ前が入口でした。
博物館見学
入口で入場料を払います。
外国人は100バーツで、確かタイ人は20バーツだったような。
もし博物館の中で写真撮影を行う場合は、別途100バーツを支払います。
動画撮影をする場合は、200バーツです。
首にかけるカードを渡してもらえるので、これをつけている人は写真撮影可能ということになります。
(ちなみに、撮影をしない場合も、特にスマホやカメラを預けておく必要はありませんでした)
運河に直結した巨大なドックに、豪華絢爛な御座船が8隻並んでいます。
このうちの4隻が王族用で、4隻がエスコート用の船です。
どれも緻密な装飾が施されており、美しさに圧倒されます。
以下、写真メインで簡単な説明だけ付けておきます。
(博物館の手前から並び順に紹介)
①アスラワーユパック船(เรืออสุรวายุภักษ์):護衛船
入口を入ってすぐのところにあるエスコート船。
船首像は、上半身がヤック(鬼)で下半身が鳥の彫刻です。(半鬼半鳥?)
②アナンタナーカラート御座船(เรือพระที่นั่งอนันตนาคราช):御座船
船首像は、パヤーアナンタナーカラート(พญาอนันตนาคราช)という7頭のナーガの像です。
この形の御座船が最初に造られたのはラーマ4世時代で、現在の船体はラーマ6世時代に新しく造り直されたものです。
③アネーカチャートプチョン御座船(เรือพระที่นั่งอเนกชาติภุชงค์):御座船
船首には、小さなナーガ像がたくさん彫られています。
ラーマ5世時代に完成した御座船です。
人の顔をしたナーガがほのぼのとした可愛らしさがあって好きです。
④クルットヘーンヘット船(เรือครุฑเหินเห็จ):護衛船
船首像は神鳥「ガルーダ」(ヴィシュヌ神の乗り物)で、ナーガを両手に掴んでいます。
ラーマ1世時代に造られましたが第二次世界大戦で爆撃にあい、1968年に造り直されました。
⑤スパンナホン御座船(เรือพระที่นั่งสุพรรณหงส์):御座船
王室御座船の中でも最も重要な船のひとつで、船首像はブラフマー神の乗り物でもある神鳥「ホン」です。
スパンナホンという船はアユタヤー時代には既に登場しており、現在の船体はラーマ6世の時代に完成しました。
スパンナホン号は、国王の専用船です。
全体的なフォルムも個々の装飾も荘厳美麗で、さすが玉座を擁するに相応しい威厳が感じられます。
⑥ナーラーイソンスバン ラーマ9世御座船(เรือพระที่นั่งนารายณ์ทรงสุบรรณ รัชกาลที่ 9):御座船
船首像は、神鳥ガルーダに乗るヴィシュヌ神(ナーラーイ神)です。
ナーラーイソンスバン号は、ラーマ9世(プミポン前国王)により建造され、スパンナホン号と共に最も重要な御座船のひとつです。
勇壮で絢爛豪華な意匠です。
⑦グラビープラープムアンマーン船(เรือกระบี่ปราบเมืองมาร):護衛船
グラビープラープムアンマーン=「魔界討伐の猿」という船名からもわかるように、船首像は、仮面劇ラーマキエン物語(ラーマヤナ)に登場する白猿の将軍ハヌマーンをモチーフにしているようです。
1967年に古い船首部分を修復して新しく造り直されたエスコート船です。
⑧エーカチャイヘーンハーウ(เรือเอกไชยเหินหาว):護衛船
船首は高く反り上がっており、ワニ模様の彫刻が施されています。
ラーマ1世の時代に造られたエスコート船ですが、第二次世界大戦で被弾したため、船首と船尾部分だけ切り取って、1965年に新しく造り直されました。
その他にも、博物館内には古い船体の一部なども展示されており、緻密で精巧な技に感嘆しました。
以下、適当に切り取った写真を並べておきます。
いずれも選りすぐりのトップクラスの職人が従事したのだとは思いますが、随所にタイ人の方々の本気を感じました。
王室御座船博物館情報
<施設情報>
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王室御座船国立博物館
พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติ เรือพระราชพิธี
Royal Barge National Museum
所在地:80 1 ถ. อรุณอมรินทร์ แขวง อรุณอมรินทร์ เขตบางกอกน้อย กรุงเทพมหานคร 10700
80 1 Arun Amarin Rd, Arun Amarin, Bangkok Noi, Bangkok 10700
TEL: 02-424-0004
時間:09:00-17:00
料金:入場料=100THB、静止画撮影=100THB、動画撮影=200THB
URL:http://www.virtualmuseum.finearts.go.th/royalbarges/360/boat_1.html
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以上、チャオプラヤー川西岸にある王室御座船博物館の紹介でした。
ご興味ある方はぜひお出かけください。
ではまた。