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バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

サイアムスクエアに残った唯一のレトロ映画館「スカラ」で映画を観よう

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ここ数日、立て続けにサイアムにある「スカラ(SCALA)」劇場で映画を観てきたまなおです、こんにちは。

 

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 サイアムスクエアのレトロ映画館

去年の11月だったか、たまたまつけたテレビで、サイアムにある「スカラ」劇場のドキュメンタリー番組をやっていました。

十数年前から、ここタイでもデパートやスーパーなどに併設された大型のシネマコンプレックスが台頭し、近代的でシステム化された映画館が主流となっています。
チケットだって自動券売機はもちろんのこと、あらかじめスマートフォンで予約できるのも当たり前の時代です。

そんな中、スカラ映画館のチケットカウンターでは、おばちゃんが紙にプリントした座席表(埋まった席はペンで消し込み済み)を見せてくれて、空いている席を指さすとチケットに座席番号を赤ペンで書き込んで渡してくれるというアナログ加減!
もう、わくわくしてしまいますよね。笑

赤い椅子に掛けられた白いカバーもすべて従業員による手洗い。
看板だって簡単なものなら自分たちで作っちゃう。
映写機を扱うのも黄色いジャケットを着たもぎりのおじさんも、ほとんどが創業当初からのベテランスタッフだとか。

 

サイアム最後の老舗映画館

この「スカラ」映画館は、半世紀にわたってサイアムスクエアの発展と共に歩んできた歴史ある映画館のひとつですが、実は、サイアムには同じ系列で同時期にオープンした老舗映画館が他にもいくつかありました。
数か月前までは。 

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 タイに住んでいる方や旅行で長期滞在したことのある方ならご存知かもしれませんが、サイアム駅のすぐ下に「リドー(LIDO)」という映画館がありましたが、残念ながら2018年5月31日で閉館してしまいました。
あと、もうひとつ「サイアム(SIAM Theatre)」という映画館もあったのですが、こちらは、2010年の赤シャツ騒動の際に放火により焼け落ちてしまい、今はその跡地に「サイアム・スクエア・ワン(Siam Square One)」という商業ビルが建っています。

よって、現在サイアム地区に残る老舗のレトロ映画館は、スカラだけになってしまいました。
時代の流れとは言え、なんともさみしいことですね。

 

「スカラ」は日本映画押しの「リドー」を引き継いでくれた?

少し前に閉館したリドーは、決して現代的でラグジュアリーな映画館ではなく、むしろ場末感漂う雰囲気でしたが、私はどこか懐かしくてあたたかい感じがして大好きでした。
ここは、珍しく日本映画贔屓に上映してくれる映画館で、タイ生活の中で100%理解できる言語で映画を観ることは私の楽しみであり貴重な息抜きの時間でもありました。

そんなリドーがなくなって意気消沈していたのですが、どうやらスカラがリドーの後を引き継いでくれているような気がします。
もともと、日本映画やタイ映画はリドー、洋画はスカラというすみ分けの傾向がありましたが、ここ最近はスカラで日本映画を上映しているのです。

ちなみに、先日の上映は『未来のミライ』『ラプラスの魔女』『万引き家族』『BNK 48 : GIRLS DON’T CRY』で、なんと4つ中3つが日本映画で、残る1つもタイ映画ながら日本文化的なものですしね。

だから、ここで私はタイ在住のみなさんにお願いしたいのです。
サイアムまでちょっとだけ足をのばしてください。そしてスカラで映画を観ていただけませんかと。
いつもガラガラなんです
このままだとスカラの閉館も時間の問題のような気がするんです。
スカラを応援してください、お願いします!(映画館関係者ではありません…)
 

スカラ劇場紹介

それではスカラ映画館の内部をちょっと紹介させていただきます。
建物も装飾にもその歴史を感じさせる古き良き映画館という雰囲気が漂っています。

入り口からホールへ続く弧をえがいた階段。
天井が高く開放的な雰囲気です。f:id:manao-life:20180830225603j:image

 

上映ホール入り口の上の壁には絵巻調のレリーフが。f:id:manao-life:20180830225629j:image

 

よく見ると日本風(外国人目線の)モチーフも。
芸者と鳥居と鯉のぼりでしょうか。f:id:manao-life:20180830222143p:image

 

幾何学模様の天井と柱の感じがモスク的でもありモダンです。f:id:manao-life:20180830225703j:image

 

古びたソファーと壁の装飾も独特…f:id:manao-life:20180830225724j:image

 

目を引くシャンデリア

ドキュメンタリー番組によると、このスカラ劇場の象徴とも言える大きなシャンデリアは、年に一度、社員総出で大掃除をするのだそうです。

その日は支配人をはじめ全員出勤がルールで、みんなが分担・協力し合ってシャンデリアのガラス玉の取り外しから洗浄、拭き上げ、そして再び取り付けるまでを行います。全員が気をつけるのはとにかくガラス玉を割らないようにすること。
なぜなら、割れてしまったら今はもう作ってもらえるところがないから。
それでも毎年いくつかは割れてしまうのだとか。(笑)

 

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ドキュメンタリーの最後にこの映画館の支配人である女性が、「今や映画は大型シネコンやスマートフォンなんかで見る時代、私たちもそういう変化を受け入れなければならないんでしょうね」というようなことを言っていたのが印象的でした。
彼女の「受け入れる」というは、きっと時代の流れに抗わず幕を閉じるということなんだろうなと感じました。

だから、このきれいなガラス玉が大掃除の度に壊れて全部なくなってしまう前に、時代の波にのまれて明かりが切れてしまう前に、できるだけ「スカラ」劇場に通いたいと思っています。

あれ、なんだかちょっと感傷的になってしまいましたかね。

ではまた。