信州・長野県の星空スポットを贅沢に巡る旅の中日は、私的に今回のメインと言っても過言ではない千畳敷カール。
駒ヶ岳ロープウェイで上がった標高2,612mの雲上世界から見る星空は、最高に美しくおごそかでした。
千畳敷カールと星空
3,000メートル級の山々が連なる日本アルプスと言えば、本格的な登山装備が必要なイメージですが、中央アルプスの絶景や高山植物のお花畑が広がる千畳敷カールへは、登山経験者でなくても、バスとロープウェイを乗り継いで気軽に訪れることができます。
(もちろん、麓から登りはじめるガチの登山者もおられます)
千畳敷カールというのは、氷河期時代の侵食によってできた地形で、切り立った山の岩肌とすり鉢状になった谷の景観が見事です。
その広大さから、畳が千畳分敷けるという意味合いで名付けられたそうです。
千畳敷カールを訪れるたくさんの人のうち、さらに上の山小屋泊やテント泊の登山者を除けば、ほとんど日帰りの方が多いのですが、実は、ロープウェイの頂上駅には併設されたホテルがあるのです。
標高2,600mを超える千畳敷カールは、下界の街明かりの影響を受けにくく空気も澄んでいるいるため、星空を鑑賞するにはうってつけの場所でもあるんですね。
そうなると、最近、星空撮影にはまっている私としては、このホテルに泊まって星空を堪能しない手はないわけです。
ただし、千畳敷駅にある「ホテル千畳敷」は、部屋数もたった16室の小さなホテルということもあり、非常に予約の取りにくい宿としても有名です。
かねてよりずっと泊まりたいと思っていたのですが、なかなかチャンスを得ず。
今回、運よく部屋を予約することができたので、念願叶って行ってきました。
予約方法などは、下の記事もぜひ参考にしてください。
路線バスとロープウェイで千畳敷カールまで
初日、しらびそ高原での星空はあいにくの雨模様で、夜明け前にほんの少しだけ顔をのぞかせた星々を鑑賞した私たち。
朝の6時にチェックアウトして山を下り、駒ケ根方面へと向かいました。
駒ヶ岳ロープウェイの麓駅「しらび平駅」までは、マイカー規制が実施されているため、自家用車で向かうことはできません。
自家用車で行く場合、一般的には、麓にある菅の台バスセンターの駐車場に車を停めて、路線バスに乗ることになります。
このバスとロープウェイ、行楽シーズンや連休には非常に込み合います。
バスセンターの駐車場は早朝には満車となり、少し出遅れると離れた臨時駐車場に停めなければなりません。
ピーク時にはバス待ち、ロープウェイ待ちで1時間・2時間は当たり前というではありませんか。
しかも、管の台のバスセンターでは、バス待ちの列に並ぶ前に、バス&ロープウェイのチケットを買う行列に並ばなければならないというおまけ付き。
オンラインチケット
私たちが訪れた8月のお盆休みは、ピークシーズンとあって、かなりの混雑が予想されました。
そこで、少しでも時間を短縮しようと、このバス&ロープウェイチケットだけは事前にオンライン予約しておきました。
駒ヶ岳ロープウェイの公式サイトでオンラインチケット購入ページを進むと、kkdayのページに飛びます。
https://www.chuo-alps.com/lp/buyticket/
ロープウェイの運賃自体は利用する時期によって価格は変わりますが、当日チケットもオンラインチケットも価格に差はないので、チケットブースで長い列に並ぶことを考えたら、オンラインチケットで購入されることをおすすめします。
(利用日当日までキャンセル料無料なので、急用や悪天候で行けなくなった場合も安心です)
※オンライチケットのQRコードは必ず画面キャプチャー保存(スクショ)しておくようにしましょう。
現地は電波が微弱なため、ネットが繋がらす乗車時にうまく表示できない可能性があるためです。
ちなみに、QRコードは、バスは降車時、ロープウェイは乗車時に提示します。
(バスは運転手さんに見せるだけ、ロープウェイは端末で読み込み)
なお、チケットは選択した利用日のみ使用可です。
往復チケットの場合の復路分は、選択した利用日を含めて3日間有効。
kkday 駒ヶ岳ロープウェイオンライチケット販売ページ
駐車場
午前8時。
混雑予想の事前情報だけでかなりお腹いっぱいになりつつ、夏休み真っ只中の連休に訪れる私たちは、戦々恐々として菅の台バスセンターへ到着。
予想通り、バスセンター内の駐車場は既に満車で、臨時駐車場へと誘導されました。
臨時駐車場は、近場から離れた場所まで、わりとたくさんあるようです。
(私たちが案内されたのは徒歩2分くらいの場所だったので、後から思えば、まだ近い場所だったもよう)
1日800円、我々は泊まりだったので1,600円の駐車料金を支払いました。
バス乗車
長蛇の列を想像していたのですが、たまたまだったのか何なのか、私たちがバスの停留所に着く直前に満席になった先のバスが出発し、なんと、私たちが次のバス待ちの先頭になりました。
普通に15分ほどバス待ちをしたらすんなりバスに乗れたので、いい意味で拍子抜け。
バスは補助席も含めて全員着席での発車となります。(立っての乗車は不可)
この時期は、さすがに補助席も全部使って満席です。
荷物は足元に置くか前に抱えることになります。
8時15分、菅の台のバスセンターを発車。
これから約30分、山道を上ってロープウェイのしらび平駅へと向かいます。
ロープウェイ乗車
8時45分、しらび平駅到着。
ロープウェイ乗り場にも、ほとんど人がいません。
夏休みの真っ只中というのになぜ?
駒ヶ岳ロープウェイは、日帰り登山者が集う早朝の始発が一番混むと言われており、確かにピークの時間を少し外れてはいるのですが、それにしてもこのスムーズな移動はなんとしたことでしょう?
(翌日、私たちが9時過ぎにに下山した時は、上りのロープウェイも路線バスも大混雑だったので、いまだに謎です)
何はともあれ、超ラッキーだということで。
ちなみに、下の画像は翌日の様子です。
ロープウェイに乗る際にオンラインチケットのQRコードを提示して機械で読み取ってもらいました。
ここでも運よく、窓に面した位置に立つことができました。
が、ガスでほとんど景色はみえませんでしたけど。笑
千畳敷カール
9時過ぎ。
ロープウェイは、発車して約7分半で千畳敷駅へと到着しました。
日本で一番高いところにある駅だそうです。
駅構内からテラスへ出ると・・・そこは天上の世界。
思わず「わー!」と声が出ました。
(だいたいの人が「わー」とか「うぉー」とか言います。笑)
なにこの絶景!!!
ある程度想像はしてたものの、実物はその何倍も感動的でした。
さっきのロープウェイのガスは雲の中を通過してきたんだなと、今さらながら理解しました。
まさに、雲上の景色なんですね。
木曽駒ケ岳をめざして
チェックイン前ではありますが、ホテルで大きな荷物を預かってもらいました。
ついでにカフェでカツサンドを食べて、登山前の腹ごしらえ。
千畳敷カール散策から八丁坂へ
ひと休憩したら、木曽駒ヶ岳を目指して出発です。
ホテル脇にある信州駒ヶ岳神社でお参りをしてから、トレッキングコース(散策コース?)に入って行きます。
天気が良くて最高です。
高山植物や山の景色を楽しみながらしばらく進むと、散策コースと登山コースとの分岐点に。
ここから先は、登山用の装備をした人でないと山へは入れないことになっています。
(私たちはロープウェイの駅で登山計画を提出済み)
八丁坂という登山道の始まりです。
木曽駒ヶ岳へ向かう場合、おそらく、この最初の上りが一番きついのではないかと思われます。
私たちは、本格的な登山経験者でもないので、無理はせず、少しずつ休みながら登って行きます。
きついことはきついのですが、何しろ見渡す限りの絶景が広がっており、景色を楽しみながら登れるので、それほど苦痛ではありませんでした。
宝剣岳の方を見上げると、岩肌をロープを使って登っている人が見えました。
こっわ!
(私たち一般の登山者は、もちろんそんなことはしませんのでご安心を)
乗越浄土から中岳へ
八丁坂を登りきると、乗越浄土という尾根に出ます。
ここからは、山の稜線がきれいに見渡せます。
宝剣山荘でソフトクリームを食べてひと休みしたら、木曽駒ヶ岳手前にある中岳へと進んで行きます。
八丁坂に比べたら、それほどきつくは感じませんでした。
中岳頂上でまた小休憩。
アクシデント
中岳を一旦下って、最後の上りを頑張れば、もう少しで木曽駒ヶ岳山頂です。
というはずだったのですが、ここでアクシデント発生。
中岳を下っている途中で、靴に違和感を覚えました。
確認したら、ソール部分が剥がれてパカパカと浮いています。
ずいぶん使用していなかったトレッキングシューズなので、劣化してしまっていたのですね。
全くもって、私の事前確認不足でした。
紐とテープで応急処置はしたものの、やはりこの状態で先に進むのはやめておくことにします。
目の前にある木曽駒ヶ岳の山頂に未練は残りますが、仕方ありませんね。
とにかく無事に千畳敷カールのホテルに戻ることだけに専念します。
癒しのライチョウタイム
自分のバカさに凹みつつ、中岳山頂へと折り返す途中で、少しラッキーなことがありました。
登山道脇の岩間に、ライチョウ(雷鳥)の親子が姿を現したのです。
ライチョウといえば、絶滅危惧種にして国の特別天然記念物。
そんな貴重な存在を、実際の目で見られるなんて!
(この辺りではわりと頻繁に見られるそうです)
この時期のライチョウは茶色っぽい羽で、時々、岩や土と同化して見失ってしまいそうになります。
途中、母ライチョウとはぐれた子ライチョウが一羽、我々のいる登山道を横切って、ぴょこぴょこ跳ねながら、目の前を歩いてきました。
そして、心配そうに待ち構えていたお母さんと無事に合流。
かわいいー!
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貴重な存在であるライチョウが、私の足元を通っていく瞬間は、こっちがフリーズしてしまいましたが、なんとも愛らしく癒しの時間でした。
剣ヶ池経由でホテルへ
乗越浄土から再び急な八丁坂を慎重に足を運びながら、遊歩道と登山道との分岐点まで戻ってきました。
そこからは、遊歩道の方へと下りながらホテルへと戻りました。
途中、剣ヶ池のあたりで写真を撮ったりしながら。
ホテル千畳敷にチェックイン
16時、預かってもらっていた荷物を受け取り、チェックインしました。
私たちの部屋は、千畳敷カールと宝剣岳が見える側で、窓からの眺めが素晴らしかったです。
これだけでも、ここに泊まった価値があります。
ロープウェイが終了する夕方近くになると、急に日帰りの登山客や観光客が減っていきます。
雄大なパノラマの絶景を、ほぼ宿泊泊客だけで独占できるのは、なんとも贅沢でした。
ちなみに、私たちが宿泊した部屋は、1~4名用の一般客室。
部屋にバストイレはありませんが(洗面台有り)、共用のトイレはウォシュレット(温水洗浄便座)だったりと、高山の施設とは思えないほど清潔で全く問題ありませんでした。
ちなみに部屋にユニットバスが付いているのは、全16部屋中で特別室の2部屋だけです。
廊下には自動販売機などもあり、給湯室に置いてあるポットは自由に熱湯を入れて部屋で利用することができます。
浴衣やバスタオルはセルフで。
山の上の宿泊施設なので、もちろん高級ホテル並みの設備というわけではありませんが、快適に過ごせる環境は揃っており、山小屋での宿泊に不安を覚える方でも安心して利用できる素敵なホテルだと思います。
お風呂&夕飯
夕食前に大浴場で疲れを癒します。
こじんまりとした浴室ですが、数人で入る分には十分。(宿泊者専用ですしね)
何より、こんな山奥でたっぷりのお湯に浸かれるのはありがたく、幸せでした。
入浴時間は、15時から21時まで。
夕飯は18時から、1階のレストランでいただきます。
ぱっと見、少し少なめかなと思いましたが、意外とお腹いっぱいになりました。
繰り返しになりますが、山の上でこんなにちゃんとした温かいご飯が食べられるのは幸せです。
美味しくいただきました。
満天の星空タイム
20時過ぎ。
いよいよ、お待ちかねの星空タイムです。
前日のしらびそ高原では夕方から雨となってしまい残念でしたが、千畳敷カールはどうでしょうか?
「しらびそ高原」「千畳敷カール」「美ヶ原高原」という、今回の星空旅行3泊。
もともと「千畳敷カールで宿泊して星空が見たい!」というのが発端だったので、どうしても期待してしまうわけです。
ドキドキ、ワクワクです。
それでは、千畳敷カールの星空を写真でご覧ください。
(まだまだ星空撮影初心者の私ですが、未熟な腕はこのすばらしい星空がカバーしてくれているので、雰囲気伝われ!)
ばんざーい!
チェックアウト&下山
翌朝、外に出て、まだ誰もいない朝の千畳敷カールや駒ケ根方面の景色を眺めました。
7時から朝ごはんを食べて、チェックアウト(9時)までゆっくり過ごします。
しだいに登山客も増えてきました。
9時過ぎのロープウェイで下山。
こんな時間に降りるのは、ホテルや山小屋で泊まったり、テント泊をした人たちくらいでしょうか。
同じロープウェイに乗り込んだのは数人のみ。
(すれ違いで上がってくるロープウェイは満員)
それぞれゆっくりと好きな方向の景色を楽しみました。
行きはガスでほとんど見えなかったのですが、なかなか良い景色でした。
麓のしらび平駅に到着すると、昨日のスムーズな移動が嘘のような混雑。
ロープウェイ乗車待ちの列が階段の下まで続いていました。
バスの降り場周辺では、整理券を持ってロープウェイ待機をしている人々もたくさん。
一方、我々はというと、下山するバスにほぼロープウェイにいた同じメンバーが乗り込み、ガラガラの席にそれぞれゆったり座れました。
この日は臨時バスが増発されていたようで、ひっきりなしに上って来る満席のバスとすれ違いました。
本当に、1日違うだけでこうも変わるんですね。わからないものです。
(昨日があまりにも空いていたのは、もしかしたら前夜に発生した地震の影響があったのかも知れません)
10時前、無事に菅の台バスセンターへと到着し、駐車してあったレンタカーで次の目的地、美ヶ原高原へと向かいます。
今回、念願の千畳敷カールでの宿泊は、美しい山々も、高山植物も、ライチョウも、星空も、全部満喫できました。
本当に大満足!
とういう感じの、千畳敷カール滞在でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
あと1夜、続きます。
ではまた。