siam manao-life

バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

「~してあげます」とは何ごとか!の誤解(ทำ ~ ให้):タイ語トラブル事例

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できるだけ荷物は持ち歩きたくないほうですが、さすがにここ最近は折りたたみ傘を携帯しているまなおです。こんにちは。早く雨季が明けてほしいです。

 

タイ語を使って仕事をしていると、ちょっとした誤解(というかたいていこちら側のタイ語の理解不足)から問題が発生することはあるものですよね。
特に、タイに来てある程度経ち、タイ語の理解度が増してそこそこ話せるようになってきた頃に起こることがほとんどです。
全くタイ語がわからなければ、英語でコミュニケーションをとるとか、通訳を使うとか、あるいはあきらめる(?)とかするんでしょうが、この時期は「自分はあるタイ語がわかる」という自信が芽生える頃なので、その(中途半端な)自信がトラブルを招くことがあります。
もっとも、そのトラブルを乗り越えることによってタイ語は上達していくものでもあります。

 

このブログでは、私が体験してきた、あるいは、私の身近で起こったタイ語トラブルについても時々紹介していきたいと思います。
「あるある~」「たしかに~」なんて共感してもらえたら嬉しいし、そんな経験はないという方でも、もしご自分の身に同じようなシチュエーションが巡って来た時にはちょっと思い出していただいて、それがトラブル回避につながればいいなとおもっています。

今回は、まず第一弾として、「してあげます」の誤解について取り上げたいと思います。

 

 

ให้(ハイ)の用法

 

タイ語の、「ให้」(hâi:ハイ)という言葉には、さまざまな用法があります。
「ให้」単独では「(ものを)あげる/わたす」という意味がありますが、その他にも
「ให้ +人+動詞」という形で「人に(動詞)させる」という使役の表現や
「動詞+ให้」という形で「(動詞)してあげる」という表現なんかもあります。

  • 「ให้ +人+動詞」
     例)ให้ลูกน้องไปเอาเอกสาร (hâi lûuknɔ́ɔŋ pao ao èekkasǎan)
     ハイ ルークノーン パイ アオ エーカサーン
     部下に書類を取りに行かせる。

  • 「動詞+ให้」
     例)ไปเอาเอกสารให้ (pai ao èekkasǎan hâi)
     パイ アオ エーカサーン ハイ
     (私が)書類を取りに行ってあげる。


というような使い方をするんですが、今回取り上げるのは、「動詞+ให้」の「~してあげる」の用法で起きたトラブルです。

 

 「~してあげる」= ให้の用法

先に書いたように、「動詞+ให้」の用法は一般に「(動詞)してあげる」という日本語に置き換える(訳す)ことが可能です。

  • ซื้อให้ (sʉ́ʉ hâi:スー ハイ)=買ってあげる
  • ทำอาหารให้ (tham ahǎan hâi:タム アハーン ハイ)=料理を作ってあげる
  • ส่งแฟกซ์ให้ (sòŋ fɛ̀ɛk hâi:ソン フェック ハイ)=FAXを送ってあげる

などです。

これらの「ให้(ハイ)」の使い方はどれも日本語の「あげる」と「~してあげる」との対比に似ているため、比較的覚えやすい表現だと思います。
タイ語をある程度学習した方にとっては使いやすく便利な表現なんですが、ただ、使用場面によっては微妙に日本語のニュアンスと異なることがあるんです。
その例を挙げていきたいと思います。

 

「修正してあげます!?」

以前勤めていた会社でのことです。
お客様に送った見積書の金額が一桁間違っているという、あってはならないミスが発生しました。(でもタイではけっこうあったりする。笑)
お客様からの指摘により事情を知った日本人の上司は、慌てて、この見積書を作成したタイ人マネージャーのAさんを呼び出しました。
Aさんも間違いに気づいて青くなっています。
そして彼女はこう言いました。

“ขอโทษค่ะ รีบแก้ให้ค่ะ” (khɔ̌ɔ thôot khâ  rîip kɛ̂ɛ hâi khâ:コー トート カ リープ ケー ハイ カ)

この一言が上司の怒りに火をつけたんです。おわかりですか?
この上司はある程度タイ語を話せる人でしたが、彼女の言葉を脳内でこう訳したのです。
「すみません。急いで修正してあげます」と。
上司にすれば、自分でこんなに重大なミスを犯しておいて『修正してあげます』とは何事か!!と思ったわけです。
「動詞+ให้」は「(動詞)してあげる」だと習っていますから。
日本語だとこのような場合、「急いで修正いたします」とか「急いで修正させていただきます」あたりの返答になるのではないでしょうか。

ただ、この場合のタイ語の「ให้(ハイ)」には日本人が感じる「~てあげます」という上から目線のニュアンスはないんです。つまり、もしこの当事者がタイ人同士だとすると、言われたほうは何ら失礼だと感じることはない言葉使いなんです。この会話における「ให้(ハイ)」はほとんど意味のないものと考えてもいいくらいのものです。
人によっては「ให้(ハイ)」をつけずに “ รีบแก้ค่ะ” (rîip kɛ̂ɛ khâ:リープ ケー カ)「急いで修正します」と言う人もいるでしょうが、同じような意味合いです。

「修正してあげますとはなんだ、修正するのは当然なんだよ!」と大目玉を食らったAさんは、その剣幕にただ慄くばかりで本当に気の毒でした。

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 「させていただく」「させてください」

タイ語にも「~させていただく/~させてください」という「ขอ(khɔ̌ɔ:コー)+動詞」という言い方があることにはあります。

  • ขอซื้อ(khɔ̌ɔ sʉ́ʉ:コー スー)=(非売品のものや個人所有のものなどを)買わせていただく
  • ขอยืม (khɔ̌ɔ yʉʉm:コー ユーム)=貸してください
  • ขออธิบายก่อน (khɔ̌ɔ athíbaai kɔ̀ɔn:コー アティバーイ コーン)=まず説明させてください

などです。
ですが、すべてが日本語と同じようなニュアンスで使われるわけではありません。これらは、許可を求めるような意味合いを含む表現なんです。
なので、今回のような状況(自分がミスした内容を『修正する』)では「ขอ(khɔ̌ɔ:コー)+動詞」という言い方はタイ語ではあまりしません。(文脈によっては使えることもあるかも知れませんが)

 

 まとめ

いかがでしょうか。みなさんの中でもこういう経験「あるある」でしょうか?
かくいう私も、同じような経験を何度もしています。
食堂で頼んだ飲み物の中にゴミが入っていたり料理の中に髪の毛が入っていたりして店員に指摘すると、返ってくる言葉はほとんどが “เปลี่ยนให้ค่ะ” (plìan hâi khâ:プリアン ハイ カ)「取り換えてあげます(直訳)」なんです。
最初は私も脳内で「~てあげます変換」をしていたので、なんとも納得のいかない言い方だなと不満だったのですが、今ではこういう場合の「ให้(ハイ)」には特に意味はなくて、むしろ少し語尾を和らげるようなニュアンスぐらいに考えられるようになりました。

ただ、レジの打ち間違いなどを指摘したときに、面倒くさそうに “ แก้ให้ค่ะ” (kɛ̂ɛ hâi khâ:ケー ハイ カ)とムスッとした顔で言われたときは、さすがに今でも気分が悪いです。もっとも、この場合は言葉ではなくその態度ですからね。

これはタイ語に限ったことではなく、当たり前のことなんですが、異なった言語間においては、ある状況ではあてはまる対訳がある状況ではあてはまらないことが多々あるので、決めつけてかからないことが肝心だと思います。
とは言え、人間、失敗はつきものですから、実際には言葉をどんどん使って経験から学んでいくしかないのかも知れません。

 

ではまた。