こんにちは、まなおです。
タイ料理好き、というよりはイサーン料理好きな方ならご存知かもしれませんが、「スアロンハイ」という牛肉料理があります。
ナンプラーやタマリンドソース、胡椒などから作ったタレに漬け込んだ牛肉を炭火で焼いた、いわゆる焼肉なんですが、その歯応えのある脂身とピリ辛のタレがビールのあてにぴったりな1品なんです。
もちろん、ご飯のおかずとしても箸が進みます。
「スアロンハイ」というのは、直訳すれば「虎が泣く」という意味になります。
スア(เสือ)=虎
ロンハイ(ร้องไห้)=泣く
不思議な名前の料理ですが、なぜこんな名前がついたのか、それにはいろんな説があるようです。
- 虎が泣くほど美味しいから
- 漬けダレや脂が炭火に垂れる様子が涙を流しているようだから
- 肉に弾力があり過ぎて虎が噛み切れないから
- 粘り気のある肉が虎の歯につまって取れなくなるから
- 牛の体の中で、唯一、骨に阻ばまれて虎がかぶりつく事ができない部位の肉で、虎が悔しがるから
などなど。
これらの説から想像されるスアロンハイのイメージは、「脂がのって美味しいんだけれど、わりと肉は硬めで噛み切るのに苦労する」といったところでしょうか。
私のスアロンハイに対する感想も大体そんな感じです。
さて。
今日、このスアロンハイの話題を書いたのは、先日デパートで買った肉がスアロンハイだったからです。
ちょっと意味がわかりませんよね。
ちゃんと説明します。
その日の私はステーキの頭になっており、食料品売り場でステーキ肉を物色していたんです。
和牛からオージービーフ、タイフレンチなどいろんな種類の肉が陳列されているのですが、まあみんなそこそこいい値段するわけです。
そんな中、ショーケースの中で異常に安い肉の塊を発見。
近寄って確かめてみると、タイ語で「スアロンハイ肉(เนื้อเสือร้องไห้)」って書かれているじゃないですか。
そして英語では「Brisket(ブリスケット)」と。
『え、スアロンハイって部位の名前なの?』と思いましたが、元々はきっと「すき焼き用」とか「シチュー用」とかそういうノリの意味合いだったのが、今ではブリスケットの通称となったんでしょうね。
ブリスケットは、本来「ヌアスワンナーオック(เนื้อส่วนหน้าอก)」と呼ばれる部分です。
ともかく、この時点で(値段が安かったからというのもありますが)私の興味は断然このブリスケット「スアロンハイ」に向いていました。
「この安い肉をいかに柔らかいステーキ肉のようにして食べるか」
試しに2切れほど買ってみることにしました。
肉を柔らかくする方法はいろいろあるようですが、今回私が選んだのは玉ねぎです。
玉ねぎをおろして、その中にブリスケットを漬け込み約2時間冷蔵庫で寝かしてみました。
次に考えたのは、低温調理。
低温でじっくり時間をかけて焼けば、肉は柔らかく仕上がるはず!と。
エアフライヤー(ノンフライヤー)の70度設定で、とりあえず2時間ほど焼いてみることにしました。
はい、その日は一日中部屋にいたので、時間だけはたっぷりありました。(笑)
冷蔵庫から玉ねぎ漬け肉を取り出し、軽く玉ねぎを払い落として塩胡椒をしてから、70度1時間に設定したエアフライアーにイン!
(ベランダ栽培で摘んだローズマリーを気持ちで添えてみました)
その間に、肉を漬けていたおろし玉ねぎに醤油、酒、みりん、はちみつを加えて煮詰めたステーキソースを作っておきました。
1時間経ったら、裏返して軽く塩胡椒して再び70度で40分ほど加熱。
40分経って肉をみてみると、もう大丈夫なような気もしましたが、低温調理ということに慣れていない私はなんとなく心配だったので、80度にしてさらに15分。
そして、仕上げに200度にして5分。(ちょっと焦げました)
こんな感じに仕上がりました。
悪くはなさそう。
オニオンソースをかけて食べてみましょう。
仕込みから4時間かけて作ったブリスケットステーキのお味はいかに!?
おろし玉ねぎから作ったタレが美味しい!
肉も脂がのっている!
でも、
やっぱり、弾力ありまくりーーーー!!!(涙)
スアロンハイは、やっぱりスアロンハイでした。
まなおも泣きました。
まあ、噛み切れないとか、飲み込めないとか、そういうレベルではなかったので、2時間の玉ねぎ漬けも2時間の低温調理も無駄ではなかったと思いたいです。
そんなわけで、比較するために、翌日残っているもう1枚のブリスケット肉をふつうに焼いてみました。
おろし玉ねぎに漬けて寝かせもせず、焼く20分ほど前に冷蔵庫から取り出して室温にした肉の筋に切れ目を入れ、塩コショウをしてにんにくのスライスを挿してから、180度に温めておいたエアフライヤーに入れて10分!
出来上がり!
すごい量の脂が下に溜まっていますが、焼き加減はなかなかいい感じ。
(ステーキではなくバーベキュー的な意味で)
早速切り分けて、前日の残りのオニオンソースも添えて食べてみました。
ふつうに美味しい!
ただ、心なしか前日のよりは歯応えがある(硬い)気がしたので、やはり前日の努力は無駄ではなかったのかも。(思い込みたいだけ?)
それでも、スルメみたいに噛みごたえがあるのもスアロンハイの美味しさのひとつだと思えば、前日のようにわざわざ合計4時間もかけて調理する必要はないというのが今回の私の結論。
やっぱり、柔らかいステーキが食べたい場合は、素直に最初から柔らかい肉を買うようにしよう。
※どなたか、スアロンハイ(ブリスケット)をめちゃくちゃ柔らかく焼く方法をご存知の方がおられたら教えてください。
(私のやり方に間違いや足りないところがあった可能性も大です)
ではまた。
参考サイト:
https://food.mthai.com/food-recipe/121217.html
https://www.thairath.co.th/scoop/world/2013945
https://th.m.wikipedia.org/wiki/เสือร้องไห้