昔々、ナーガ(蛇神/龍王)の怒りを買って国を滅ぼされ、湖の底に沈んだ王国がタイのイサーン地方にありました。
ナーガの呪いにより蛇の岩に変えられた王が眠る伝説の地、プーランカー。
そこには、数年前までは人間の目に留まることのない世界が存在したのです。
「新たな国が生まれし時、汝の呪いは解き放たれる」
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2020年の年末、ブンカーン県のプーランカー国立公園内にある「タム・ナーカー」(ナーガの洞窟)へ行ってきました。
前回のブンカーン旅行では時間の都合上行けなかった、念願の場所。
神秘的な造形の岩々とダイナミックな絶景は必見です。
※パヤオ県にあるプーランカー森林公園とは別の山です。
- ナーガ伝説(蛇岩になったウールー王)
- プーランカー国立公園へ
- 登山開始
- タム・ナーカーへ
- 2つの仏塔
- ルアンプーワン洞窟と第1のナーガの頭岩
- 下山
- ウールー神社へ
- おわりに(ナーガの呪いが解けるとき)
ナーガ伝説(蛇岩になったウールー王)
タム・ナーカーの旅行記を書く前に、この地に伝わるナーガ(パヤー・ナーク / พญานาค)の伝説を紹介しておきたいと思います。
私は、基本的に伝説はあくまで伝説としてしか認識していないのですが、その土地土地に残っている伝承や言い伝えというのは、意外と史実が形を変えて語り継がれていることが多かったり、何よりその土地の文化や信仰、風習、考え方なんかが色濃く反映されていたりするので、昔話を聞いたり読んだりするのは好きなんです。(なんだかんだ言いながら『伝説』という言葉にはわりと弱い。笑)
で、ブンカーンのこの地に伝わるナーガ伝説というのがまた(語弊があるかも知れませんが)上手くできていて、知っておくとタム・ナーカーを訪問する際のワクワク感が倍増するので、お伝えしたいと思います。
口伝により語り継がれてきた話なので、場所によって、人によって、多少内容に違いはあるのですが、ざっくりとした話は以下の通りです。
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ブンカーン県にあるブン・コーンロンという湖(ブンコンロン湖)のあたりには、かつて「ラッタパーナコーン」という栄えた王国がありました。
ラッタパーナコーンを治めていた名君「ウールー王」(พระเจ้าอือลือ)には、「ファーフン王子」(またはファールン王子)という名の、非常に聡明で容姿端麗な孫がいました。
ファーフン王子の噂は、ナーガの棲む王国「ムアン・バーダーン」まで届きます。
ある日、ナーガ王(蛇神)の娘「ナーカリンタラニー」が美しい人間の姿に変身してファーフン王子の前に現れると、2人はたちまち恋に落ちてしまいます。
ナーカリンタラニーは、ナーガであることを隠してファーフン王子と結婚しました。
婚礼の際、ナーガ王「プラヤー・ナーカラート」は愛娘と両家の親睦のために、金銀財宝をウールー王へ贈ります。
それからしばらく2人は仲睦まじく幸せに過ごしますが、種族が違うため3年経っても子宝に恵まれず、ナーカリンタラニーは落ち込み、病気がちになります。
体調不良に加え、人間界に長くいるとナーガ族の神通力が弱まることもあり、次第に本来の蛇の姿が現れるようになります。
そして、とうとうナーカリンタラニーが人間ではなくナーガであることがバレてしまいました。
ファーフン王子は妻への愛情より恐れが勝るようになり、ウールー王はナーカリンタラニーをナーガ王国ムアン・バーダーンへ追い返すことにしました。
傷心の娘を迎えにきたナーガ王プラヤー・ナカラートが、婚儀に贈った財宝の返上を求めたところ、ウールー王は「財宝はすべて形を変えて加工してしまったので、返すことはできない」と拒否します。
その返答に怒り狂ったナーガ王は、娘を連れ帰ったその日、一夜にしてラッタパーナコーンの町を壊滅させ、水の下に沈めてしまいました。
同時に、ナーガ王はウールー王を捕らえ、ナーガの姿に変えてしまいます。
そして、プーランカー(ランカー山)に追いやり、呪いをかけて岩にしてしまうのです。
新しき国が誕生するまで、何百年、何千年と岩のままこの地で眠るがよい!と…。
父王によって夫の住む町が滅ぼされたことを知ったナーカリンタラニーは、夫の安否が心配で、沈んだ町やその付近を必死で探しまわります。
しかし、ファーフン王子はどこにも見つからず、その後まもなくして、彼女は悲しみの果てに力尽きて死んでしまうのです。
そのナーカリンタラニーがナーガの姿で這い回った跡が、マオ渓谷(『恋焦がれた渓谷』というような意味)と呼ばれているそうです。
※マオ(เมา=酔う)≒ マオラック(เมารัก=恋に酔う/愛に狂う)
そして、古代の王都ラッタパーナコーンの町は、今でもブン・コーンロン湖の下に沈んでいると言い伝えられているのです。
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以上が、プーランカー及びブン・コーンロン湖周辺に伝わるナーガ伝説のあらすじです。
プーランカー国立公園へ
タム・ナーカー(ถ้ำนาคา)は、ナコンパノム県とブンカーン県にまたがるプーランカー国立公園(อุทยานแห่งชาติภูลังกา)の中にあります。
プーランカー国立公園への入場には、必ず「QueQ」というアプリでの事前予約が必要です。
この事前予約がないと、タム・ナーカーも含め、当日入場は認められませんので、ご注意ください。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
※2021年1月現在、新型コロナウィルスの感染拡大により、他県からの移動規制や国立公園入場への禁止や制限が行われる可能性があります。
出発前に最新情報をご確認ください。
登山の準備
登山というとちょっと大袈裟ですが、かといって、軽いトレッキングとも言い難いのが、このタム・ナーカー探索ツアーです。
ガイドさんと一緒に、4時間から5時間かけて山の中を歩き回ります。
一部、非常に急な梯子を昇降したり、急勾配で足場の悪い道もたくさんありますので、極端に体力のない方や、小さいお子様、足腰の弱いお年寄りには、お勧めできません。
健康な方でも、翌日(あるいは翌々日)の筋肉痛は、ある程度覚悟しておいた方がいいです。
なお、当日、準備しておいた方がいいものは以下のとおりです。
- 手袋(軍手など)
急勾配の斜面や足場の悪い箇所はロープを頼りに昇降する必要があるので、必ず手袋は用意してください。
一応、登山道の入り口でも購入は可能です。 - 歩きやすい靴
本格的な登山靴とかトレッキングシューズまでは必ずしも必要ではありませんが、ビーチサンダルはもってのほか、底の滑りやすい靴だとかなりきついです。 - 水(スポーツドリンク)
国立公園の中に入ると売店は一切ありません。必ず事前に水は準備しておきましょう。登山道の入り口には売店があります。 - 軽食
同じく山に入ると売店はありません。昼にかかるような時間帯の場合は、おにぎりなど携帯しやすい食料を用意した方がいいかも知れません。登山道入り口でカオニャオ(餅米)や焼いた豚肉、焼き鳥なども売っています。見晴らしの良い場所で食べると最高です。 - 日焼け対策
山の上には日射しを遮るものがありません。日焼け止めクリームをはじめ、帽子や長袖などの日焼け対策は必須です。 - トイレ
山の中にはほとんどトイレがありません。(頂上付近に1箇所程度)
なので、登山前にはトイレを済ませておきましょう。入り口付近にトイレがあります。
また、水分補給は重要ですが、事前の過剰摂取は控えた方がいいかも知れません。 - お金
国立公園入場料(タイ人20バーツ、外国人200バーツ)
保険(タイ人10バーツ、外国人40バーツ)
プラスチック類持ち込みデポジット(100バーツ)
ガイドさんへのチップ(任意)
※詳細は本文にて
タム・ナーカーへの入り口(行き方)
プーランカー国立公園の敷地は広大で、いくつかの入り口があるようですが、
現在、正式に認められているタム・ナーカーへの入山道は一か所だけです。
Googleマップでは、「タムナーカー第2登山口(จุดขึ้นชมถ้ำนาคา จุดที่ 2)」を指定してください。
または、「タートウィマーンティップ滝」で検索して、手前の登山道入り口まで行ってください。(実質、自動車での経路は登山道入り口までとなっています)
登山道入り口付近には、私設駐車場(10バーツ)もあります。
トイレもいくつかありますので、入山前に済ませておきましょう。
入山登録・チケット購入
テントの下にある受付で、国立公園への入場登録および入場料の支払いを行います。
現在、プーランカー国立公園の入場は完全に事前予約制となっているので、受付では予約リストと照合されます。
タイ人の友人と2人で申し込んでいたのですが、私の名前は英文字で登録しており目立ったのか、受付の女性が少し申し訳なさそうに、「外国人は200バーツとなるんですが…」と言ってきました。(タイ人は20バーツ)
それは覚悟の上というか、もともと払うつもりだったので問題はありません。
保険料
また、プーランカー国立公園は、険しい山道を歩くからでしょう、入場料以外に保険料も徴収されました。
タイ人は10バーツ、外国人は40バーツです。
入場料の外国人料金はもう慣れっこですが、保険にも外国人料金あるんだ…と思っていたら、怪我した時の補償額が違いました。
タイ人は最高30万バーツまで、外国人は40万バーツまでとのこと。
そんな説明を聞きながら、「私は40万バーツだーい!」とタイ友にふざけて言っていたら、受付のおねえさんに、「怪我しないで無事に下山してきてくださいね!」と突っ込まれました。(汗)
プラスチック類持ち込み料(ゴミ対策)
入場チケットを買い保険料を支払ったら、隣のブースで荷物チェックを行います。
正確には、プラスチック製品の持ち込みチェックです。
ペットボトルやビニール袋などの種別と個数を紙に書かれ、100バーツのデポジットを払います。(布製の巾着や小物入れなどはカウントされません)
私たちは2人まとめて1枚で100バーツでした。
下山した時にこの控えの紙のリストと持ち帰ってきたゴミの個数が一致したら100バーツは返却してもらえますので、紙はなくさないようにしましょう。
登山開始
一通りの手続きが終わるといよいよ登山の開始です。
私たちが訪問した時の印象では、予約した時間はあくまで目安でそれほど厳格に管理されてはおらず、多少早めに到着しても、ガイドさんさえ空いていれば融通は効きそうでした。
実際、私たちの予約は13時からでしたが、12時半頃にはスタートできました。
私たち2人を担当してくれるガイドさんは、ウットさん。
本日2回目の案内だそうです。
つまり朝から4~5時間かけて山を登ってきて、そしてまた私たちを連れて4~5時間ってことですよね?
す、すごいなあ・・・。
登山道入り口からわりと早い段階で、ごつごつした岩が足元にある山道となりました。
でも、まだこれくらいは平気です。
なんて思ってたら、ウットさん曰く、ここからが本当の登山開始ですよって。
看板には、タム・ナーカーまで1,200メートルと。
しばらく行くと、早くもロープのお出まし。
登る人と降りる人、譲り合いながら進んでいきます。
そのへんの木の枝に上着がかけてありました。
12月と言うことで厚着をしてきた人が、早くも汗だくになって置いて行った残骸だそうです。(短い寒季を満喫するために、気合いの入った冬着の方がたまにいらっしゃいます)
ちなみに、頂上までの間に「A」~「K」までの休憩スペースがあるそうです。
って、まだ「C」なんですね、ここ。
奇妙な模様の岩が。
どうやったらこんなのができるんでしょうね。
そして、急な傾斜の長い梯子が。
もうこれ、トレッキングとかじゃないですから!絶対。
この時点で息の切れてる人たちいっぱいです。
そんな山道を登り続けること4~50分。
ようやく視界が開けてきました。
でもまだ険しい道を上って行きます。
タム・ナーカーへ
登山開始から約1時間、ようやく最初のナーガスポットに到着しました。
ゾクッ!不思議なナーガの頭岩
プーランカーには、3つのナーガスポットがあります。
それぞれ、大蛇の頭のような巨大な岩があるのですが、ここが、ナーガの頭岩3と呼ばれる場所です。(この後、2、1と続きます)
この岩はとても不思議な岩でした。
最初、ウットさんに言われた時には、正直言って、どこが蛇の顔なのかよくわかりませんでした。
まあ、形としては何となくそれっぽいかなとも思いましたが、これくらいの岩なら他にもたくさんありそうです。
そう思っていると、ウットさんはニヤリと笑ってこう言うのです、
「じゃあ、カメラを向けてみてね」
そう言われ、スマホを構えて画面を覗いたとたん、ヒヤッとしました。
肉眼ではなぜかよくわからなかった蛇の顔が、はっきりと写っているのです!
これがその画像です。
ここではカメラで撮った画像しかお見せできないのが残念ですが、本当に肉眼で見るのとまったく印象が違うんですよ。
実際に現地へ行ける方は、ぜひ、肉眼とレンズを通した姿の違いを体感してみてくださいね。
山の上で絶景ランチ
最初のナーガ岩スポットを後にしてしばらく山を登って行くと、突然視界が開けました。
プーランカー山はテーブルマウンテンのような台形状の形をしており、その台地の上底に到達したようです。
ここまで台形の脚にあたる斜面の崖を登ってきたわけですから、そりゃあ、しんどいわけです。
でも、そんな疲れが吹き飛ぶくらい気持ちのいい景色が広がっていて、感慨ひとしおです。
なんていうか、空が近くて。(大げさ)
急に元気が出てきました。
ナーガ洞窟「タム・ナーカー」まであと100メートル!
なんだか足元が鱗模様っぽくなってきたじゃないですか!!ドキドキ。
あと一息でタム・ナーカーですが、その前に腹ごしらえをすることに。
景色のいい木陰で、遅めのランチタイムとします。
登山道入口の屋台で買った、タイ風焼きおにぎり「カオジー(ข้าวจี่)」
もち米に卵を塗って焼いたもので、醤油味があれば言うことないんですけど、この絶景の中で食べたらなんでも美味しいと思えるほど、清々しい景色でした。
食べかけの写真でごめんなさい…。
ナーガの洞窟
さくっとランチを済ませたら、いよいよ2番目のナーガスポット「タム・ナーカー」へと向かいます。
あと20メートル!
タム・ナーカーの入口に到着。
洞窟内での注意事項が書かれています。
以前の記事でもお伝えしましたが、昨年、心無い旅行者による落書きや岩を削る行為が発覚し、事態を重く見た当局は、タム・ナーカーの一時期閉鎖を命じました。
【悲報】ブンカーンの新名所「ナーガの洞窟」が無期限閉鎖!?(ถ้ำนาคา/บึงกาฬ) - siam manao-life
【続報】ブンカーン県の「ナーガの洞窟」が再開(ถ้ำนาคา/บึงกาฬ) - siam manao-life
現在は、このような違法行為及び天然財産保護への対策を講じるという条件の下、観光再開が認められており、ルールの遵守が求められています。
落書きや破損行為はもちろん、岩に手を触れることも禁止されています。
早速中へ入っていきましょう。
大蛇がうねっているような壁面。
なかなか迫力があります。
科学的には、風雨による浸食で形成された砂岩の岩盤ということなんでしょうが、その岩肌があまりにも生々しく、本当に大蛇が横たわっているかのように見えました。
そして、この巨石がナーガの頭岩2と呼ばれている岩です。
この大岩に挟まれた通路の奥は、ナーガの世界へと通じていると信じられており、結界が張られているためにこちらの人間界からはその先を見たり入ったりすることはできません。
2つの仏塔
タム・ナーカーを出て、またしばらく歩きました。
何の木でしょうか?
赤い葉が青空に映えてとてもきれいです。
この岩盤の模様も独特ですよね。
仏像が祀られた岩屋で瞑想をしながら小休止です。
(この岩屋の横にトイレがひとつありました)
天然の井戸でしょうか?
断崖に建つ仏塔へと向かいました。
隣には真っ白な大仏が鎮座しています。
仏像の前は断崖絶壁で、これ以上怖くて進めません。
この仏塔と大仏は、山の麓の村からも見えます。
参拝を済ませてから、来た道を少し引き返し、丘の上にあるもうひとつの仏塔まで歩きます。
まずは、長い階段。
140段くらいだったような…。
灌木と枯草が生えるごつごつした岩の道は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくる荒野を歩いているような気分になりました。(笑)
黄金の仏塔が青空に映えて神々しかったです。
仏像のお顔もほんわかしていていいですね。
ルアンプーワン洞窟と第1のナーガの頭岩
最後のナーガスポットへと向かいます。
ここからは、山を下っていくような感じとなります。
途中、大きな岩屋「ルアンプーワン洞窟」に立ち寄りました。
岩屋の中には、たくさんの仏像が安置されています。
その中にナーガ像があるのですが、
「ナーガの口に財布を置いてお参りすればお金が貯まる」とウットさんが言うので、
教えられるがままに真似してお祈りをしていたら、その後、周りにいたタイ人たちもみんな続いてお参りし始めました。(笑)
ご利益ありますように!
洞窟からすぐの場所に、ナーガの頭岩1がありました。
私の撮影が悪くてうまく伝えられませんが、形状と言い鱗模様と言い、大蛇の頭感がすごかったです。
みなさん、岩には触れないように近くでお祈りされていました。
下山
これで、プーランカー国立公園タム・ナーカー巡りの見どころはだいたい回ったことになります。
あとは、山道を下るだけです。
だけですなんて、下りはラクそうに思えて、実際はそうでもないんですよね。
足場の悪い急斜面を滑らないよう慎重に歩くのは、かなり疲れるものです。
膝がガクガク笑ってしまいました。
16時50分。無事に国立公園の登山入口に戻ってきました。
約4時間20分の山登りは、とても疲れたけど大満足でした。
ちょっとした探検みたいで本当に楽しかったです。
それもこれも、道中ずっと興味深い案内や昇降のアシストなど、気持ちの良いケアをしてくれたガイドのウットさんのおかげ。
特にガイド料などは徴収されないのですが、2人からお礼のチップをお渡ししました。
(プーランカー全景。山の上に小さく仏塔が見えるのわかりますか?)
ウールー神社へ
プーランカー国立公園を後にして、私たちはブン・コーンロン湖のほとりにある、とある社へと向かいました。
「サーン・プー・ウールー(ศาลปู่อือลือ)」(ウールー廟)です。
かつて、ナーガの逆鱗に触れたために蛇の岩に姿を変えられ、プーランカーの山中に閉じ込められた伝説の王、ウールー翁が祀られています。
タム・ナーカーへ行く人は、道中の無事を祈ってまずこのウールー神社をお参りするのだとか。
私たちは、順番が逆になりましたが、無事に帰ってこられたお礼をすることにしました。
これにて、プーランカー山ナーガ洞窟トリップの全行程が終了です。
おわりに(ナーガの呪いが解けるとき)
いかがでしたか?
かなりの長文になってしまいましたが、タム・ナーカーの魅力を少しはお伝えできたでしょうか。
興味を持っていただいた方は、このコロナ禍が落ち着いたら、ぜひ一度お出かけください。
そうそう。
最後に私の好きなエピソードをひとつ。
プーランカーの山頂の木陰で休憩しているとき、ふと疑問に思ったことをウットさんに質問してみたんです。
今ではタイ人の間で大人気の観光スポットとなっているタム・ナーカーですが、私の記憶が正しければ、このナーガの洞窟が話題になったのはここ数年のような気がします。
あんなに巨大で特異な岩があるのに、この地域の人は今までその存在を知らなかったのでしょうか?
そんな質問に対するウットさんの答えに、私は思わず膝を打ってしまいました。
「このあたりの村人たちは、この山のどこかに岩に変えられた大蛇が眠っているという伝説は聞いたことがあったけれども、実際に見た人はいなかったんです。それが、数年前にナーガの洞窟が発見されたのは、おそらく『新しい国(ムアン)が生まれるその時まで岩となって眠れ』というナーガ王の呪いが解けたからなんです」
ウットさんは人懐っこい顔でニカっと笑い、こう続けました。
「2011年に、ノンカーイ県から独立してこのブンカーン県が誕生しましたよね」
ではまた。