siam manao-life

バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

お釈迦様の降臨!?山から500人の僧侶が托鉢に降りてくる!【タイの観光マイナー県散策:ウタイタニー県】

※ 当ブログにはプロモーションが含まれています

スポンサーリンク

タイの観光マイナー県シリーズ、今日はウタイタニー県です。
ウタイタニー県が1年で最も熱くなる日、それはおそらくオークパンサー(出安居、雨季明け)の托鉢祭りです。
正確には、お祭りというよりは、仏教説話に基づいた「タックバート・テーウォー」という仏教行事で、500人もの僧侶が山から降りてきて托鉢をする光景は見応えがあります。

 

f:id:manao-life:20191022224030j:image

 

お釈迦様の降臨(三道宝階降下)

本題に入る前に、この伝統行事の背景となる仏教のお話を少し。

悟りを開いたお釈迦様(釈尊)は、ある時、雨季の三か月間インドラ神の住む天界(三十三天)まで、生母マーヤ妃のために説法をしに行かれました。
そして雨季の終わりである出安居(ออกพรรษา:オークパンサー)に、お釈迦様は天界から長い階段を使って再び人間界に戻ってこられました。
これを「三道宝階降下(さんどうほうかいこうげ)」あるいは「従三十三天降下」「従忉利天降下」と呼びます。


f:id:manao-life:20191022185210j:image

(天界でお釈迦様が説法され、人間界に戻ってこられる図:ワット・プラノーン・チャックシー寺院で撮影)

 

山の階段から500人の僧侶が托鉢に

この「三道宝階降下」の説話にちなんで、毎年雨季明けの日とされるオークパンサー(出安居)の時期に行われるのが、タックバート・テーウォー(ตักบาตรเทโว)です。
天界からお戻りになるお釈迦様をお迎えし、お布施・寄進をして功徳を積む(タンブン)という仏教行事です。

f:id:manao-life:20191022225000j:image



ウタイタニー県の中心部にほど近い場所にカオ・サケ―クラン(เขาสะแกกรัง)という山があります。
その山の麓に、ワット・サンカットラッタナキーリー(วัดสังกัสรัตนคีรี)という寺院があり、寺院の正面から山頂にある仏足石堂まで449段の長い階段が延びています。
その階段を天界からの階段に見立てて、釈迦像を筆頭に500人の僧侶が麓まで降りてくるのがこのお祭りのハイライトです

毎年、オークパンサーの翌日の朝9時からこの行事は行われます。
麓の会場は参拝者や見物客でいっぱい、大盛況です。
前日から当日にかけてのウタイタニのホテルは、どこも毎年満室になってしまうほどです。
ベストポジションを確保するために朝の4時5時頃から会場で場所取りをしている猛者もいるそうです。


f:id:manao-life:20191022225319j:image

f:id:manao-life:20191022225314j:image


9時すぎ
ウタイタニーのお偉いさんたちの挨拶が終わると会場には花火が打ち上げられ、托鉢が開始となります。
黄金の仏像を担ぐアユタヤ時代の衣装を身にまとった従者を筆頭に、僧侶たちの行列がゆっくりと山の階段を降りてくるのが見えます。

f:id:manao-life:20191022225244j:image


白く長い階段を鮮やかな衣を着た500人もの僧侶たちが続々と降りてくる様子は、なかなか見応えがあり、絵になります。

f:id:manao-life:20191022225750j:image


僧侶が麓まで降りてくるとそのまま托鉢が始まり、参拝者はそれぞれ持ってきたお供えを寄進します。
仏像を乗せた車を先頭に何百人もの僧侶が続きます。

f:id:manao-life:20191022225935j:image
f:id:manao-life:20191022225927j:image
f:id:manao-life:20191022225938j:image
f:id:manao-life:20191022230006j:image

一瞬、相当な混雑となるのですが、托鉢にお供えし終わった人たちは意外とあっさりと会場を後にするのと、僧侶が通り過ぎた後は手際よく次々と片付けられていくのとで、あっという間に敷地内の混雑は解消されていきました。

f:id:manao-life:20191022230010j:image
f:id:manao-life:20191022230037j:image

9時に始まった托鉢行事は、ほぼ1時間で終了。
いやー、なかなかいい経験をさせていただきました。

f:id:manao-life:20191022230059j:image

象牙の飾り卓

雨期明けのオークパンサー(出安居)に行われる仏教の伝統行事、タックバート・テーウォーは、500人もの僧侶が黄金の仏像を筆頭に大階段を下りてきて托鉢するのがメインイベントではありますが、もうひとつ特徴的な習慣があります。

オークパンサーの期間、旧市街の中心部では、自宅や商店の前に「โต๊ะหมู่งาช้าง(ト ムー ンガー チャーン)」と呼ばれる象牙の飾り卓(机)が設置されるのです。
これは、富の象徴でもある美しい象牙を飾ることで、その家がどれだけ裕福であるかを示すのだそうです。
って、つまり見栄の張り合い的なものですかね?(笑)


f:id:manao-life:20191022190705j:image

f:id:manao-life:20191022190656j:image

f:id:manao-life:20191022190743j:image

f:id:manao-life:20191022190736j:image


地元の方々の話によると、昔、ウタイタニーには象がたくさん生息していたそうです。
また、こうして表に陳列されている立派な象牙は、もちろん正式に登録されているものばかりだそうで、中には闇市場で入手した象牙を持っている人もいるけれど、そうした出所の不明な象牙は家の奥に眠っていて、表に出てくることはないとのことでした。

 

階段の上の仏足跡と布袋様のような仏像

タックバート・テーウォーの前日、449段の階段の上まで行ってみました
といっても、炎天下の中階段を歩いて上るのはきつかったので、裏道から車でサクッと上がってしまったんですが。(汗)

f:id:manao-life:20191022191048j:image
f:id:manao-life:20191022191127j:image

ここからはウタイタニーの町が遠くまで見渡せてなかなかの景色です。
階段を登り切った場所にある三角屋根の美しいお堂(มณฑป:モンドップ)の中には、仏足石(รอยพระพุทธบาทจำลอง:ローイ プラプッタバート チャムローン)が安置されており、タイ人の方が熱心にお参りされていました。


f:id:manao-life:20191022191224j:image

f:id:manao-life:20191022191217j:image


その仏足石堂の横に、タイではよく見かける布袋様のようなふくよかな仏像がありました。
この仏像、実は釈迦の十大弟子のひとり、迦旃延(かせんねん)の像なんです。
この迦旃延さんのおへそには穴が開いていて、コインを投げてうまく入ると願いが叶うそうです。
タイ人のみなさん、何回もチャレンジされていましたね。
簡単そうに見えますが、意外と難しいです。


f:id:manao-life:20191022191350j:image

f:id:manao-life:20191022191353j:image

f:id:manao-life:20191022191429j:image

f:id:manao-life:20191022191432j:image



迦旃延さんと言えば、以前このブログでも取り上げたことがあります。
バンコクのお隣の県サムットプラカーンにあるワット・サークラー寺院の正面にドドーンとそびえ立つ仏像です。

www.manao.life


あの立像は金の袋と銀の袋を手にした、なんとも言えないインパクトがあるお姿で、布袋さんのようなお姿とは雰囲気が異なりますが、調べたら同じ迦旃延さんでした。
ふくよかなのは共通していますね。
あと、よく見ると、ウタイタニーの迦旃延さんも金と銀の袋を持ってらっしゃいました


※迦旃延は、摩訶迦旃延、大迦旃延などと表記されたり、カタカナではマハー・カーティヤーヤナ、マハー・カッチャーナなどと書かれることもあります。

 

おわりに

ウタイタニー県でオークパンサー(出安居)の日からその翌日にかけて行われる伝統行事「タックバート・テーウォー」は、500人もの僧侶たちが長い階段を下りてきて托鉢をするのが見どころです。
ウタイタニーが年に一度大盛り上がりを見せるイベントのひとつでもあります。
托鉢が行われる当日の朝は非常に混雑しますが、とても印象的な光景を目にすることができてよかったです。


ではまた。