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バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

【ワット・バーン・カヌン】メートラニー(降魔成道図)が本尊の後ろにあるお寺を訪ねて(1)

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とてもニッチな話題で恐縮ですが、最近、お寺の壁画鑑賞にはまっています。
タイの寺院の壁画には、ある程度定番の形というものがあるのですが、その中でもちょっと珍しい、お釈迦さまが悪魔の誘惑を退けて悟りを開かれる場面「降魔成道図」が主仏陀像(本尊)の背面の壁に描かれているお寺を探し求めてあちこち行っております。

今日は、そんなお寺のひとつ、ノンタブリー県にあるワット・バーン・カヌン寺院を紹介したいと思います。



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メートラニーの描かれる場所

お釈迦さまが悪魔を調伏して悟りを得られる、降魔成道と切っても切れないキャラクター(失礼?)が大地の女神「プラ・メートラニー」(以下、メートラニー)です。
ひとつにまとめた長髪を絞って湧き出た水で悪魔たちを押し流す姿が描かれます。

この降魔成道図、あるいはメートラニーの絵は、バンコク近郊の寺院では、通常、主仏陀像(本尊)の対面の壁に描かれることが多く、主仏陀像の背面の壁に描かれている寺院は非常に稀です。


なんて、偉そうに書いていますが、ついこの前まではそんなこと全然知りませんでした。
というか、気にしていませんでした。

これを知ったきっかけになったのは、少し前にも記事を書いたんですが、ペッチャブリー県にある、アユタヤ時代に描かれた壁画がとてもかっこいい「ワット・コ・スッターラーム」(通称ワット・コ)を訪問したことでした。

このワット・コ寺院の壁画が、主仏陀像の背面に降魔成道図のメートラニーさまが、対面に仏教の須弥山を中心とした宇宙観(チャックラワーン)を表した三界経(トライプーム)の図が描かれていたのです。
通常は、この降魔成道図と三界経の図は反対の位置に描かれていることが多いです。

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そんなことを知ってから、なぜだか、降魔成道図とメートラニーさまが主仏陀像の背面に描かれているお寺を訪ね歩きたい衝動にかられ、ちまちま調べては足を運んでいる次第です。


 

 

ワット・バーン・カヌン寺院

で、今回訪れたのが、ノンタブリー県にあるワット・バーン・カヌン(วัดบางขนุน)というお寺です。
世界一美しいメートラニーさまと言われている壁画のあるワット・チョンプー・ウェーク(วัดชมภูเวก)寺院を訪問した続きに参拝しました。


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このお寺、もともとは、アユタヤ時代中期の1560年に創建された古い寺院らしく、1767年の第2次アユタヤ陥落の後、アユタヤからこの地に逃れてきた有力者たちが滞在していたそうです。

それで、ラーマ1世の時代にそれらの有力者たちが共同でこのお寺の改修を行ったということです。

従って、布薩堂(本堂)内部に描かれた壁画はその当時のものだと思われます。
(布薩堂外部は近年新たに修復されています)

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布薩堂の壁画

車から降りて布薩堂の周囲を1周してみたところ、どうやら扉は閉まっているようです。

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そうなんですよね。
観光客や参拝者の少ない寺院の布薩堂は、一般に開放していないことが多いのです。

ここまで来て残念!

と思っていたら、同行のタイの友人が「聞いてみる」と言って、経蔵の横のベンチで座っておられたお坊さんたちのもとへ歩いていきました。



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池の中に建つ美しい経蔵(หอไตร)




しばらくして、鍵を持った若いお坊さんと一緒に戻って来たタイ友。

「堂内の古い壁画に興味があってやって来たと正直に言ったら、開けてくれるって」と。

わが友よ、グッジョブ!


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メートラニー降魔成道図

恐縮しつつ、布薩堂内部をじっくりと拝観させていただきました。


入口を入って正面を見ると、確かに仏像の後ろにメートラニーの姿があり、鬼や悪魔が描かれた降魔成道図が描かれています。

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これが見たかったのです!

現存するタイ寺院の壁画で、降魔成道図(メートラニー)が本尊の後ろの壁に描かれているのはかなり珍しいと聞きます。


このお寺に描かれている悪魔軍団は、なんとなくラーマキエン(タイ版ラーマーヤナ)の登場キャラクターっぽい描き方でした。

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三道宝階降下の図

一方、本尊対面の壁、つまり入口の扉がある壁には、天界から人間界へと続く長い3本の階段をお釈迦さまが歩いてらっしゃる姿が描かれています。

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これは、「三道宝階降下」と言い、悟りを開かれたお釈迦さまが天界にいる生母マーヤー夫人(摩耶夫人)の元へ説法をしに行かれ、再び地上人間界へと降臨される場面です。

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壁の下部は劣化が激しく壁が剥がれ落ちていますが、もしかしたら、この下の部分に地獄も描かれていたのではないかと勝手に想像しました。(確信はまったくありません)

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側面の天人像

布薩堂側面の壁には、天人の姿が描かれていました。
大きく3段に分かれて描かれているのが見えます。

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他の壁面と同じく下部の壁画は消えていますが、本当は4段もしくは5段分くらいあったのか、それとも、お釈迦さまの前世や生涯についての絵が描かれていたのか…。

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ちなみに、一番上のギザギザで区切られた場所にも天人像が挿入されているのですが、こちらの天人たちは異国の風貌をしていました。

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この異国風の天人が描かれるのは、ワット・コの壁画でも見られ、アユタヤ時代から続く諸外国との交易の発達により外国人もたくさん住み着いていたことの表れなんでしょうね。


あと、窓の木の扉に描かれた門番の絵が美しかったです。


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寺院情報

<寺院情報>
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ワット・バーン・カヌン
วัดบางขนุน
Wat Bang Khanun
所在地:37 หมู่2 ถนนบางกรวย-จงถนอม ตำบลบางขนุน อำเภอบางกรวย นนทบุรี 11130
    37 Moo 2, Bang Kruai-Chong Thanom Rd., Bang Khanun, Bang Kruai District, Nonthaburi 11130
TEL:02-432-6214
時間:08:00-16:00
URL:https://www.facebook.com/Watbangkanun/
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今回、閉まっている布薩堂の鍵を開けて、内部を拝観させてくださったお寺のお坊さま方には感謝しかありません。

今はただ、仏像の後ろに降魔成道図(メートラニーさま)が描かれている寺院を訪ね歩いているだけですが、いつかはもう少し深掘りしてみたいなとも思ったりしています。


ご興味ある方は、お付き合いください。
興味ない方は、すみません、どんどん読み飛ばしてください。(汗)

それから、もし降魔成道図が本尊後ろの壁に描かれているお寺情報などありましたら、教えていだけると嬉しいです。


ではまた。