チャオプラヤー・スカイパークの南側、トンブリーにあるブンナーク家ゆかりの3つのお寺巡り。
前編では「ワット・ピチャイヤートカーラーム」と「ワット・アノンカーラーム」のふたつの寺院を紹介しました。
後編は、ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞「Award of Excellence(最優秀賞)」を受賞した「ワット・プラユーン」を紹介します。
丸い外壁と白亜の仏塔がみごとです。
昼間のチャオプラヤー・スカイパークとサパーンプット
ソオムデット・ヤーから徒歩数分でプラポッククラーオ橋にたどり着きます。
例のチャオプラヤー・スカイパークの南、トンブリー側の入り口となります。
夕方と朝のチャオプラヤー・スカイパークは堪能したので、昼間の様子も見たくてちょっと行ってみました。
ここがトンブリー側の入口です。
チャルーム・プラキアット森林公園(Chaloem Phrakiat Forest Park)の入口から入ると、すぐ右手にスカイパークの入口が見えます。
日中はさすがに暑いです。
日陰になる部分は、波のように上下に交差する遊歩道の一部分しかありません。
朝晩はあんなにいた人が嘘のように閑散としており、自転車でやってきた2人連れに出会っただけでした。
橋の途中まで行くも、暑さに耐えきれず、早々に引き返してきました。
出口で無料の水をいただきました。
そのまま橋の高架下をU字型に歩いて、ワット・プラユーン方面に行こうとしたんですが、途中でラマ1世橋(サパーン・プラプッタヨートファー:สะพานพระพุทธยอดฟ้า / Memorial Bridge)の入口を見てしまい、ここまで来たらせっかくだからとサパーンプットにも上がってみることにしました。
ラーマ1世の即位150年を記念して1932年に建設された橋です。
無骨な鉄のアーチが時代を物語っていてかっこいいですね。
サパーンプットにはトゥクトゥクが似合います。
なかなかタイらしい景色も撮れたので、そろそろ退散します。
橋を降りて徒歩3分ほどで、ワット・プラユーンに到着です。
下の地図は、ソムデットヤー公園からワット・プラユーン寺院までの徒歩コースです。
圧巻の仏塔ワット・プラユーン
3つ目のお寺は、ワット・プラユラウォンサーワート・ウォーラウィハーン(วัดประยุรวงศาวาสวรวิหาร)です。
通称、ワット・プラユーン(または、ワット・ルアレック)と呼ばれています。
こちらも第二級王室仏教寺院です。
このお寺には、円形の外壁を持つ白亜の仏塔があり、2013年にユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞の最優秀賞「Award of Excellence」を獲得しています。
歴史
1828年、ラーマ3世の治世に、ソムデット・チャオプラヤー・ボロムマハー・プラユラウォン(ディット・ブンナーク)によって建てられました。
こちらもまた名門貴族ブンナーク家の1人ですね。
1832年に、王室に献上しラーマ3世から「ワット・プラユラウォンサーワート」という名前を授かりました。
しかし、住民は「ワット・ルアレック(วัดรั้วเหล็ก:『鉄柵の寺』という意)」と呼んでいました。
寺の周りを鉄の柵で囲っていたからだそうです。
この鉄柵は、もともとプラユラウォン閣下が王宮の壁として献上するために英国から取り寄せたものでしたが、ラーマ3世のお気に召さなかったため、砂糖と交換に下賜していただき、寺院の外壁として使用したというエピソードがあるそうです。
その後、1855年に息子のソムデット・チャオプラヤー・ボロムマハー・シースリヤウォン(チュワン・ブンナーク)がスリランカ様式の仏塔を建立し、さらにラーマ5世の治世の1882年には、その息子のチャオプラヤー・スラウォン・ワイヤワット(ウォーン・ブンナーク)が本堂や礼拝堂ほかの大改修を行い、ラーマ5世が行幸されました。
その後も、代々ブンナーク家の一族によって修復や増築が繰り返され、一族の菩提寺的な存在になっています。
本堂
私がまず目を奪われたのは、本堂入り口の上でした。
破風に埋め込まれた芙蓉(フヨウ)の装飾が見事です。
本堂内には、1828年の本堂建立開始と同時に鋳造された仏像が安置されています。
この本尊の表面に金メッキを施したのは、日本の職人だったそうです。(外国人メッキ職人による初めての仏像だとか)
いかがですか?こちらが200年近く前の日本の腕利き職人による作品です!
後に、前国王陛下ラーマ9世がこの御本尊に「プラプット・タムウィチェータサーサダー(พระพุทธธรรมวิเชษฐศาสดา)」という名前をお授けになったそうです。
礼拝堂(ウィハーン)
本堂と並んで礼拝堂が建てられています。
礼拝堂の破風の装飾も煌びやかで美しかったです。
礼拝堂に安置されているのは、「プラプッタナーク仏(พระพุทธนาค)」というスコータイ時代の大仏で、ワット・スタットに安置されている釈迦如来像(พระสรีศากมุนี)と対になる存在のものだそうで、1831年にスコータイからこのワット・プラユーンに遷座されました。
礼拝堂の前に、どこか馴染みのある仏様がいらっしゃると思ったら、やはり地蔵菩薩像(พระกษิติครรภโพธิสัตว์)でした。
タイでは珍しいですよね。
白亜の仏塔
ワット・プラユーンで一際目を引くのが、円形の外壁に囲まれた真っ白な仏塔(พระบรมธาตุมหาเจดีย์)です。
主塔の高さは約60メートルで、土台部分の外周は162メートル、直径は約50メートルです。円形の外壁(窟)の上には18の小さな仏塔が廻らされています。
プラユーラウォンが建設をはじめ、息子のシースリヤウォン(チュワン・ブンナーク)の時代に完成しました。
主塔の先端は1871年の落雷により崩落し、その後47年間放置されていましたが、1918年に修復されました。
その後、2006年から2007年にかけての大修復の際には仏舎利や多くの仏像が発見され、2008年にはシリントーン王女殿下を招いて創建180年記念祝典行事が執り行われます。
そして、2013年にユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞の最優秀賞「Award of Excellence」を獲得することになるのです。
仏塔の前には小さな博物館があり、発見された仏像や修復の様子などが展示されています。
その博物館の扉を抜けると、仏塔の敷地内に入ることができます。
真昼の太陽が降り注ぐ地面は熱く、靴下を履いていても足の裏を火傷しそうな勢いです。(博物館に入る前に靴は脱ぎます)
仏塔の周りを拝観する場合は、天気のいい日中は避けた方がいいです。(笑)
仏塔に上ってみます。
階段を上るとテラスがあり、一周回ることができます。
仏塔内に入ってみます。
吹き抜けのようになった仏塔内ドームの天井は高く、真ん中の支柱が頂上に向かってそびえ立っており、見上げながら息をのみました。
壁には仏像が安置されています。
出口は、なぜか小さな洞穴のような形になっていました。
腰をかがめて四つん這いになりながら出ました。
胎内廻りみたいな意味合いがあったりするんでしょうか・・・。
大仏塔を降りて、周りの外壁部分にも上ってみました。
仏塔の小さな穴(洞)に黄金の仏像が安置されているのがよく見えました。
が、暑くてすぐに退散・・・・。
もう、白いから余計に反射がまぶしいです。
白亜の仏塔は青空に映え、釣鐘型の造形も美しく、見ごたえがありました。
ぜひ寺院好きのみなさんにも知ってもらいたいなと思います。
ただ、暑さ対策はお忘れなく。
カオモー公園(亀山)
ワット・プラユーンで忘れてはいけない見どころのひとつが、カオモー公園(อุทยานเขามอ)と呼ばれる、境内の一角です。
池に囲まれた人造の岩山には仏堂や仏塔、礼拝堂のレプリカなどが設えてあります。
このカオモー(เขามอ)は、別名カオタオ(เขาเต่า)つまり亀の山と呼ばれているんですが、これは、山を取り囲む池には無数の亀やすっぽんがいるからなんです。
東屋には大きな亀のオブジェまであります。
池をのぞくと、いるわいるわ、カメさんたち。
そこにパンと木の竿を持った若者が颯爽と登場。
まさか亀釣り!?
って、もちろんそんなはずはなく、おカメ様に餌をあたえるタンブン(功徳を積むこと)の一種ですね。
でもなんで木の竿なんだろう?と思ってたら、竿の先にパンをぶっ刺して水面に近づけると・・・
カメが、かぷっと!
なるほど。
パンをちぎって投げ散らかすよりも、この方がカメさんとの距離が近くなる気がしますね。
「ほら直接お食べなさい」感があっていいですね。
というか、確実に餌を与えることで水の腐食を防ぐことが目的かも?
ちょっと動画を撮らせてもらいました。
山の周りを歩いてみました。
至る所にカメさんがいます。かなり大きいのもちらほら。
山の裏手には、木の板を渡しただけの橋ようなものがあり、島の岩山へと続いていましたが、あれ、渡っていいものだったんでしょうか?
板が折れたりバランスを崩して亀池に落ちるのが恐ろしかった(緑の水はわりと臭かった)ので、やめておきましたが。
なかなか興味深い一角でした。
寺院情報
ワット・プラユラウォンサーワート・ウォーラウィハーン
(通称:ワット・プラユーン/ワット・ルアレック)
วัดประยุรวงศาวาสวรวิหาร
Wat Prayurawongsawat Worawiharn
所在地:24 Prajadhipok Rd, Wat Kanlaya, Thon Buri, Bangkok 10600
24 ถนน ประชาธิปก แขวง วัดกัลยา เขตธนบุรี กรุงเทพมหานคร 10600
TEL:02-466-1693
駐車場:あり
拝観料:無料
ウェブサイト:https://www.watprayoon.com/main.php
おわりに
今回、前編後編にわたって、ラマ1世橋並びにチャオプラヤー・スカイパークの南側、バンコク・トンブリー地区にある3つの寺院を紹介しました。
いずれも、観光という意味ではあまり知名度の高くない、ガイドブックにも詳しく載っていない寺院ではありますが、実は見所盛り沢山です。
まなお個人的にはおすすめの場所です。
機会があれば、ぜひお出かけください。
ではまた。