前回に引き続き、ペッチャブリーにあるアユタヤー時代に建てられた古いお寺を紹介します。
ペッチャブリーでアユタヤー時代の壁画が残る数少ないお寺のひとつということで訪問したのですが、布薩堂(本堂)の木の扉に描かれた見事な絵や美しい木造の講堂など、他にも見どころがたくさんの良いお寺でした。
前回紹介した、壁画が超絶カッコいいお寺「ワット・コ」の記事はこちらです。
それからもうひとつ、国道沿いにひょっこり現れる小さな山の洞窟にあるお寺にも立ち寄りましたので、よかったらお読みください。
カオヨーイ洞窟
バンコクからタイ南部に向かう幹線道路といえば、国道4号線。
この4号線を走り、ペッチャブリー県に入ってすぐのあたりにひょっこり現れる小高い山があります。
ずっと平野ばかりが広がるバンコク近郊から、ふと景色に変化が生じるこの辺りの風景が私は好きで、変わった形の山々が国道沿いにポツポツ見えてくると、チャアムやフアヒン(ホアヒン)も近いなとワクワクした気分になるのです。
今回はそんな小さな山のひとつに立ち寄ってみました。
カオヨーイ(เขาย้อย)という名前の山で、Googleマップによると洞窟とお寺があるようです。
ワット・カオヨーイ(วัดเขาย้อย)
広い駐車場に車を停めて周りを見渡すと、猿が何匹かいます。
食べ物やペットボトルなどを持っていたりするとひったくられそうなので、カメラバッグだけ肩にかけて車を降りました。
極力猿とは目を合わせないようにして、寺院の階段のほうへ向かいます。
ここは、かつてラーマ4世も僧籍の時に訪れて瞑想なさった場所だそうです。
岩山の扉に続く階段の下で靴を脱ぎ、鉄の網でできた靴箱に靴を入れて階段を上がります。
(靴箱は、猿に靴を奪われないようにロックがかけられるようになっています)
扉を開けると洞窟内の冷んやりした空気に包まれます。
正面に涅槃仏が安置されていました。
涅槃仏の裏手には、仏足石のレプリカもあり、さまざまな仏像も洞窟内に配置されています。
わりと立派な鍾乳石も。
こじんまりした洞窟ですが、足元は石のタイルが敷き詰められており、思ったより清潔に保たれているなという印象でした。
一段下の洞窟スペースに降りてみました。
『ここで地震でも起きたらたまらないな』
なんてことを想像したら、急に心細くなって足早に参拝を済ませました。
(タイではほとんど地震はありませんが)
駐車場に戻ると、空気銃?モデルガン?を持ったおじさんが立っていました。
どうやらあれで猿を追い払うようです。
<寺院情報>
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ワット・カオヨーイ(ワット・タム・カオヨーイ)
วัดเขาย้อย (วัดถ้ำเขาย้อย)
Wat Khao Yoi
所在地:73 หมู่5 ถนนสุวรรณวิถี ตำบล เขาย้อย อำเภอเขาย้อย เพชรบุรี 76140
73 Moo 5, Suwanwithi Rd., Khao Yoi, Khao Yoi District, Phetchaburi 76140
TEL:032-562-744
時間:08:30-17:00
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古い家と蓮一輪
カオヨーイ洞窟を出て、村の田舎道を少し走っていると味わいのある廃屋がありました。
なんとなくヨーロピアンスタイルと折衷しているような建物でした。
さらに村の中を進むと、用水路脇の湿地に蓮の花が1輪だけ咲いており、朝の柔らかい光を浴びてとても綺麗だったので、思わず車を停めました。
ぶっかけご飯の朝食
村の道から再び国道4号線に戻り、しばらく走ったところに、ぶっかけご飯屋さんがあったので入ってみました。
どこにでもあるような、ご飯におかずを乗せてもらうスタイルのお店です。
私たちは、おかずを3種類ほど選んでご飯とは別に盛ってもらいました。
おばあちゃんと手伝いのおねえさんだけで切り盛りしているようです。
私たちが入ったときは、他に誰もお客さんがいなかったのに、料理を選んで席につくと、次々と車が入ってきて、あっという間に料理ケースの前に人だかりができてしまいました。
おばあちゃんもてんてこ舞い。
普段、私たちがお店に入ると急にお客さんが増えるということがしばしば起こるので、この時も『またお客さん呼んじゃったね』と言い合ってました。
(単なる気のせいです)
名刹「ワット・ヤイ・スワンナーラーム」寺院
その日、朝食を食べた後向かったのは壁画がとっても素敵だった「ワット・コ」寺院なんですが、ワット・コについてはすでに前回ダラダラ長めの記事を書いているので、ここでは省略します。
よかったら、こちらからご覧ください。
ワット・コで壁画を堪能した後、壁画つながりでやってきたのが、ここペッチャブリー市内にある古刹「ワット・ヤイ・スワンナーラーム」(วัดใหญ่สุวรรณาราม)です。
なんでも、アユタヤ時代の古い壁画が残っていると聞いたので、こちらも拝見しておきたかったのです。
このワット・ヤイ・スワンナーラームは、王室仏教寺院第3級に格付けされている由緒あるお寺でもあります。
布薩堂の壁画・扉の板絵
まずは、布薩堂(本堂)を参拝しました。
布薩堂はアユタヤー時代の建築で、東側の壁に入口が2か所あり、その中央に大きな木の窓が設けられています。
窓の方が入口の扉より大きいのってすごいです。
木窓の内側には美しい門番(門神)の板絵が描かれています。
最初は、扉が開いていたのですが、堂内にいたお坊さんが、閉めて写真を撮るといいよとおっしゃってくださいました。
なんでも、数年目のタイ航空のカレンダーにこの門番の板絵が使用されたのだとか。
あと、本堂の壁にはアユタヤー時代後期の壁画が残っています。
先ほどの中央窓の板絵の周りには、降魔成道(こうまじょうどう)の絵が描かれており、大部分は経年劣化が激しくはっきりとは見えませんが、扉上には地母神であるプラ・メートラニーが髪を絞っている姿が認められます。
同じくだいぶ薄れてきてはいますが、側面の壁には神々や天人や鬼(ヤック)たちの絵が下から上まで5層に描かれており見事です。
本尊は金箔を施した漆喰仏で、その手前左側にアユタヤ時代の高僧テンモー大僧正、右にはかつての著名な住職(プック僧正)の像が安置されています。
美しいお姿の仏陀像です。
あと、テンモー(=スイカ)大僧正の前に、ちゃんとスイカがお供えしてるのが面白かったです。
僧侶の話によると、大僧正はスイカが大好物だったらしいです。
また、本尊後ろには、珍しい仏像が安置されていました。
プラプッタループ・ホックニウと呼ばれる端正なお顔の仏像なのですが、何が珍しいかお分かりでしょうか。
実はこの仏像、足の指が6本あるのです。
チーク材の美しい講堂
本堂の後ろ側に、赤い木造の建物があります。
これは、僧侶が勉強したり集会を行ったりする講堂、サーラ―・カーンプリアン(ศาลาการเปรียญ)というらしく、チーク材のタイ式建築(高床式)で、屋根は瓦になっています。
アユタヤー時代に、スリイェーンタラーティボーディー王(スア王=虎王)から下賜された建物だと言われています。
入口の階段前にある馬の装飾が可愛かったです。
堂内は広く、木の壁にも古い壁画が薄っすらと残っていました。
また、左右で対になっている八角形の柱が特徴的でした。
柱の模様はそれぞれペア毎に違うようです。
このお堂、どこかで見たことがあるような気がしていたら、先日訪れた、バンコク近郊(サムットプラカーン県)にある「ムアンボラーン」というテーマパークのような博物館でした。
ムアンボラーンは、巨大な敷地にタイ全土の著名な建築物を集めた博物館で、そこにワット・ヤイ・スワンナーラームの講堂のレプリカがあったのでした。
有名なお堂だったのですね。
これは駐車場へ戻る時に見えた建物です。
僧侶の住居や関係者用のエリアで詳細はわかりませんが、なかなか面白い造形でした。
寺院情報
<寺院情報>
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ワット・ヤイ・スワンナーラーム・ウォーラウィハーン
วัดใหญ่สุวรรณารามวรวิหาร
Wat Yai Suwannaram
所在地:ตำบล ท่าราบ อำเภอเมืองเพชรบุรี เพชรบุรี 76000
Tha Rab, Mueang Phetchaburi District, Phetchaburi 76000
TEL:083-566-0149
時間:08:00-18:00
URL:https://www.watyaisuwannaram.com/
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以上、ペッチャブリー県のお寺巡りの紹介でした。
ではまた。