タイ東部、サケーオ県の北に「ラル」(Lalu/ละลุ)と呼ばれる風雨の浸食によってできた不思議な地形の場所があります。
土の柱のような奇岩があちこちに点在し、ちょっとしたグランドキャニオンっぽい雰囲気。
ラル見物には耕運機に荷台をつけた「イーテック」という車に乗って向かうのですが、これがまた楽しいのです!
また、ラル周辺は星空がきれいに見えるスポットとしても有名で、晴れた日の夜は満点の星空に天の川がきらめきます。
先日ラルへ行ったようすをお届けしますので、よかったらお読みください。
ラルの場所・行き方
ラルは、サケーオ県タープラヤー郡タップラート地区のクローンヤーン村及びノーンパックウェン村付近にあり、サケーオ中心部からは北東に約40キロの場所にあります。
バンコクからは距離にして約270キロ、車で約4時間程度かかります。
村まで行けるバスなどの公共交通機関はないため(おそらく)、自力で運転して行くか車をチャーターするか、あるいはツアーに参加するかということになります。
ちなみに、私がラルを知るきっかけになったのは、のびタイランド(nobithailand)さんのインスタグラムでした。
いろいろ自分で手配するのは面倒だとか言葉の問題が心配という方は、のびタイランドさんのツアーに参加するのもいいかも知れませんね。
この投稿をInstagramで見る
インスタのコメントなどで時々やりとりさせていただいているものの、直接面識ないのにリンク貼り付けてしまいました。
(のびさん、不都合あったら削除しますのでお知らせください)
ラルの意味・成り立ち
「ラル」(ละลุ)というのはもともとクメール語で、タイ語では「タル」(ทะลุ)=「穴をあける」という意味となります。
その言葉の意味の通り、この辺りの地形は、長年の風雨による浸食や地殻変動により堆積した土が削られ、固い部分だけが「土の壁」あるいは「土の柱」みたいに、様々な形で残ったものです。
ですから、奇岩と書いていますが、正確には自然現象により形成された奇妙な形の土の塊ということなのかも知れません。
実際に近くで観察してみると、決して固い岩ではなくむしろ砂状で、今でも年々その姿を変えていると言われるのもわかるほど、脆そうな印象を受けました。
(参考)
鉱物資源局ウェブサイト
https://www.dmr.go.th/
サケーオ県広報室ウェブサイト
https://sakaeo.prd.go.th/th/content/category/detail/id/391/iid/4396
ラルの宿泊施設・ホームステイ
ラルの周辺の村には、大型のホテルやホステルというものはありません。
村の人たちの家に泊まるホームステイが主流です。
もちろん、村人のお宅にお邪魔して家族と同様に過ごすといったガチのホームステイもありますが、ホームステイという名は付いているものの、宿泊者の部屋は家族の生活空間とは切り離されているゲストハウス的な宿もいくつか存在します。
一般的な(外国人)観光客からすれば後者の方がハードルが低いと思いますし、私たちも部屋が母屋とは別になっている宿に泊まりました。
このような離れになっている宿は、私が確認できたところでは2軒ありました。
ソンブーン・ホームステイ
私が宿泊した宿。
広い敷地内に宿泊棟が2つあります。
ホームステイという名前は付いていますが、母屋とは完全に分かれており、チェックイン・チェックアウト時や食事を運んでくれる時以外で、宿の方と接触することはほとんどありません。
宿泊者用の部屋は、2階建ての家屋と、田んぼの中に建つ小さい家が1つ。
私は田んぼの2人用の部屋に泊まりました。
こじんまりとしつつ、トイレシャワーも付いており、明るくて快適でした。
(場所がら多少の蚊や虫は寄ってきますし、水回りの掃除が甘いところもありましたが、まあ田舎の宿なので許容範囲かと)
ちなみに、1泊朝食付きで1,200バーツでした。
2階建ての家には、2グループとか大家族で泊まれそうです。
(予約時に聞いたら、こちらはたしか1,500バーツと言っていた気がします)
ちなみに、2階建ての宿泊棟の1階には共用のキッチンもあるので自炊が可能です。(田んぼ側に泊まっていても利用可)
<宿情報>
------------------------
ソンブーン・ホームステイ
สมบูรณ์ โฮมสเตย์
TEL:081-256-6082
------------------------
私たちは、宿に直接連絡して予約を取ったのですが、アゴダにも載せているようです。
agodaで検索する
アーコム・ホームステイ
ソンブーン・ホームステイから数分離れた場所にある宿。
ここは1泊500バーツとのことです。
実は、2日目のラル見物でお世話になった「イーテック」の運転手さんが、この宿のオーナーでした。
Googleマップのレビューを見る限り、かなりローカル感を味わえそうな雰囲気です。
<宿情報>
------------------------
アーコム・ホームステイ
อาคม โฮมสเตย์
TEL:081-286-3064
------------------------
ラルでの過ごし方
ラルがあるのはタイの田舎町です。
町というか村ですね。
大きなショッピングモールもしゃれたレストランやカフェなんかもありません。
私たちを迎えてくれるのは、土埃舞う道や緑の田んぼ、ため池、無人の給油機、放牧された牛、ミニマート、駄菓子屋、小さな食堂、診療所、小高い山、青い空、水たまり、といった素朴な村の暮らしと自然です。
だから、いつもよりちょっとだけペースをゆっくりにして、チルな時間を楽しむ。
というのが正解な気がします。(私的には)
ごはん
最初の晩ご飯は、手前の村の日用雑貨屋兼食堂みたいなところでガパオライス(目玉焼き付き)を持ち帰りして宿で食べました。
事前に宿にお願いすれば、ムーカタ(タイ風焼肉鍋)を準備してくれるようだったのですが、この時は調達先の店舗が洪水で臨時休業だか何かでオーダーできませんでした。残念。
でも、買ってきたごはんとビールを飲みながら部屋でダラダラと過ごすのも悪くなかったです。
朝ご飯は、宿提供のカオトム(お粥)
部屋の前のテラスで緑の田んぼを見ながらの朝ご飯は最高!
そよぐ風がまた気持ちよかったです。
まさにチルの極み(笑)
村の食堂
何軒かある村の小さな食堂のひとつ。
このお店はわりと美味しくて、何度か利用しました。
注文料理も麺類もやっています。
カオパット(炒飯)
クイッティアオ
こんな田舎のお店でも、支払いはQRコード決済(銀行振込)ができたりするのが便利です。
昼寝
日中は田んぼの緑を眺めながら、ベッドでだらだら。
少し昼寝でもしてエネルギーチャージ。
散歩
日差しが和らいだ夕方は田舎道をのんびり散歩。
ラルの奇岩見物
ラルの奇岩群は、いくつか点在しているのですが、大きく2つのエリアに分けることができます。
「近いラル」と「遠いラル」みたいに呼ばれていました。
中には「ラル1」「ラル2」「ラル3」と3つに分けて呼んでいる人もいました。
ちなみに、イメージ画像にもよく使われている「Lalu」という看板があるのは、近い方のラル(①)になります。
こちら側がメジャーな観光スポットで、遠い方のラルはあまり行く人が多くなさそうです。
イーテック(耕運機改造車)手配
ラルの奇岩群を見物に行くには、未舗装の悪路であることと奇岩(地形)の保護という観点から、自家用車での乗り入れは禁止されており、基本的にはイーテック(E-Tak/อีแต๊ก)と呼ばれる耕運機に荷台を付けて改造した車をチャーターして行く必要があります。
料金はだいたい決まっているらしいのですが、時期や時間帯によって多少上下することがありそうです。
ちなみに、星が見たくて夜に手配した時は、1台300バーツでした。(滞在時間はけっこう適当で、写真撮影している間ずっと待ってくれていました)
なお、遠い方に行った時は1台500バーツでした。
厳密に言うと、車で向かわなければ、つまり徒歩で行くなら、イーテックを利用せずにラル見物をすることは可能です。
(実際、私たちも2日目の夕方は歩いてラルまで行きましたし)
ただ、このイーテックでの案内がこの村の貴重な収入源のひとつでもあるので、できれば利用してあげてほしいです。
というか、イーテックに乗ること自体が、何より楽しいのです。
ガタガタ揺れる荷台に座って田舎のデコボコ道を行くのは、ちょっとしたアトラクション気分です。(お尻は痛いけど)
こんな経験、日本ではなかなかできませんから、ぜひトライしてみてください。
イーテックは、泊まる宿の人にお願いすれば呼んでくれます。
もしくは、アーコム・ホームステイのオーナー兼イーテック仲間の世話役的な存在であるアーコムさんに直接電話しても手配してくれます。
(タイ正月連休とかでない限り、利用当日に予約で問題ないかと思います)
アーコム氏(คุณอาคม / Mr. Arkhom):081-286-3064
※基本タイ語
昼間のラル
昼から夕方にかけてのラルのようすです。
遠い方のラルに行くときにお世話になった、アーコムさんのイーテック。
田舎道をのんびりガタガタ向かいます。
田んぼの中に奇岩が出現。
以前はこのあたりにもっと奇岩があったのですが、ほとんど崩して農地にしてしまったのだとか。
確かに、ここで昔から住んでいる人にとってみれば、奇岩なんて見慣れたもので珍しくもなんともなかったのかも知れませんね。
写真を撮ったりタイムラプスを撮っている間、アーコムさんは2時間近く待ってくれていました。
木陰に座って、村の歴史やイーテックを利用するようになったきっかけなどの話も聞きました。
昔、ラルに向かう村の橋は木製の簡素なものだったらしいのです。
ラルが注目され始めた頃に、他県から観光客がたくさんやって来たが、どうしても車でこの橋を渡る勇気がない。
それで、橋の近くに住んでいたアーコムさんがイーテックに乗せて連れて行ってあげたのがはじまりだとか。
夕方、アーコムさんのアドバイスもあり、近い方のラルには徒歩で行ってみました。
日が傾きかけたラルもまた素敵でした。
ぐるっと一周ゆっくり歩いて回りました。
夜のラル・ラルの星空
初日、夕方に村に到着した私たちは、部屋で食事を食べた後、夜のラルを見にイーテックを手配しました。
村を走るイーテック。
街灯もない道は真っ暗です。
この時は、ラルの地形や位置関係がよくわかっていなかったので、一ヶ所でずっと写真撮影をしていました。
真っ暗だったのもあり、周りがぜんぜん見えてなかったのです。
翌日明るい時間に訪れた時に初めて、そのスポットの手前にも奥にも、たくさんの奇岩があることを知りました。
イーテックの運転手さんも一言アドバイスしてくれたらいいのにと思いましたが、まあ「よっぽどこの場所が気に入っているんだろうな」程度に思っていたのかも知れません。
後日アーコムさんに聞いたら、その彼は新人さんだったらしく、そこまで気配りができなかったのもあるでしょうね。
この夜はあいにく曇りがちの空で、満天の星というわけにはいきませんでしたが、光害の少ない真っ暗な夜空には小さなほしがたくさん見えました。
宿からも星が見えましたよ♪
翌日は、星空のタイムラプスにも挑戦。
撮影開始のタイミングがもう少し早くて構図をもう少し工夫すれば、天の川が沈んでいく様子がもっときれいに撮れたのにと悔やまれますが、ほぼ初めての星景タイムラプスにしてはまずまずの出来と自己満足。
もっとうまく撮れるようにがんばろうと決意しました。(よし!)
なお、アーコムさんによると、この辺りの村の治安は良く、今までに狂悪な事件が起こったことはないし強盗や薬物中毒者もいないとのことですが、それでも夜は本当に真っ暗だし、見知らぬ土地でもあるので、夜間の撮影には十分注意してください。
単独行動は避け、村の方と一緒に行動することを強くおすすめします。
(犬にも吠えられますしね)
2夜目は1夜目より雲は少なくてきれいな星空がよく見えました。
それでもアーコムさんに言わせると、まったく雲のない澄んだ夜空はもっと美しく、空一面に架かる天の川が肉眼ではっきり見えるそうです。
というわけで、いつかまた挑戦しに来るぞと心に誓いました。
以上、奇岩と星空の里「ラル」の話でした。
ではまた。