最近、夜の9時過ぎには猛烈に眠くなってしまうまなおです。こんばんは。
会社の日本人の発音が気になった話
勤めている会社のオフィスに日本人が私含めて3人いるのですが、入社当時から気になっていたことがあるので、今日はそのことを少し書きたいと思います。
それは、その日本人2人が話す日本語のある発音についてのことなんです。
ガ行鼻濁音
ひとつめは、1人が非常にガ行の鼻濁音を使う人ということなんです。
つまり、「が/ga/」「ぎ/gi/」「ぐ/gu/」「げ/ge/」「ご/go/」が、「(ん)が[ŋa]」「(ん)ぎ[ŋi]」「(ん)ぐ[ŋu]」「(ん)げ[ŋe]」「(ん)ご[ŋo]」のような発音になるんです。
特に「社長が」「見積りが」などの格助詞の「が」が本当にいつも見事な鼻濁音になっていて、入社当時から私的に何か耳につくというか、でも同時に感心してもいたのです。
というのも、私自身はあまり鼻濁音を使わない人間なのですが、小学校の頃にある先生から、格助詞の「が」や「しょうがっこう」「おんがく」など語中の「が」は、鼻濁音で発音するのがきれいな日本語だと教わったのをいまだに覚えているからなんです。
現在でも学校でそのように教えているのかどうかはわからないし、きれいな日本語というのも人によってその定義や基準が異なると思うのですが、確かに、テレビやラジオのアナウンサーはこの鼻濁音の発音訓練をうけるという話は聞いたことがあります。
すでにお察しかもしれませんが、このガ行鼻濁音の [ŋ] って、タイ語の「(ン)ゴー・(ン)グー」つまり「ง」の音なんですよね。
「を」の発音が「wo」
ふたつめは、もう1人の日本人が「タイ人スタッフを」「資料を」などの格助詞の「を」を「うぉ[wo]」と発音することなんです。
もしかしたら気にならない方は気にならないのかもしれませんが、私はなぜかこの職場に来てからその人の「を」が気になって仕方ありませんでした。
ある日、もう1人の日本人の同僚にこっそり「○○さんっていつも『を』を『wo』って発音するよね?」と聞いたところ、同僚もその場では「え、そう?」とピンとこなかった様子でしたが、翌日、「確かに!『wo』だった」と同意してくれました。
これって、私の気になるポイントが特殊なんでしょうか。
同僚曰く、言われるまで気にしたこともなかったそうです。
ちなみに今では [wo] にも慣れたのでそれほど違和感もありません。
私自身、ヒアリングが優れているとか音の聞き分けに自信があるわけではないのですが、なんとなく2人のこの発音は気になっていたんです。
日本の地域差による発音の違い
日本にはいくつかの方言があり、当然その地方により発音やアクセントにも違いが出るものですが、私自身も含め、鼻濁音をあまり使わない地域とよく使う地域があることを思い出しました。
なので、出身地の方言による違いについてちょっと調べてみました。
一般的に関西地方の方言ではあまり鼻濁音を使わないので、関西出身者はタイ語の「(ン)ゴー・(ン)グー」=「ง /ŋ/」の発音が苦手だという話があるようです。(関西出身の方で実際に「ง /ŋ/」の発音に苦労された方、いらっしゃいますか?)
また、ガ行鼻濁音は比較的東日本の言葉(方言)でよく使われるようで、いわゆる伝統的な東京の方言では、大ざっぱに言うと、語中の「ガ行」の音が鼻濁音となる傾向があるようですし、東北方言では語中のガ行の音 /g/ はすべて鼻濁音 /ŋ/ に変わるというルールがあるそうです。
出身地の影響がドンピシャ!
ここまで調べて、ハッとしたんですよね。
ガ行鼻濁音を話す同僚がまさに東北出身者だったんです!
どうりではっきりとした鼻濁音を発音するわけです。
そうすると、もしかして・・・と思ってさらにネットで調べてみたんです。
もう1人は、たしか静岡出身。
“静岡” “を” “wo”・・・
すると、「静岡出身の人で『を』を[wo]と発音する人が多い」といった内容の検索結果が割とたくさんヒットしました!
やっぱり!すごーい!
当たり前ですが、やはり、それぞれが使う言葉は育った地域の方言や教育の影響を強く受けているんですね。
(『を』[wo]に関しては、静岡方言の影響というよりは静岡の地域的教育の影響ではないかというふうに書いてあるものもありました)
おわりに
いずれにしても、今までなんとなくひっかかっていたものが今回の調査(というほどのものでもない、ただのネット検索)で、クリアーになったのが私的にとてもスッキリして気持ちよかったです。
また、鼻濁音に慣れている東京や東北地方の人たちのほうが本当にタイ語の「ง /ŋ/」の発音が得意なのかどうか、「を」を[wo]と発音する人はタイ語の「ว /w/」の発音が得意なんだろうかというような新たな興味もわいてきました。
「ง /ŋ/」の発音に関しては、語頭や語中の頭子音(งาน [ŋaan] や น้ำเงิน [námŋən] など)と、語末につく末子音(แกง [kɛɛŋ] など)とでは発音の難度も違うだろうし、後続音による影響もあるかもしれないし、そもそも発音はできても聞き分けができないとか、その逆もあるかもしれません。
「ว /w/」に関しては、私が特に難しいと感じる /wu/ の発音(例えば、『牛』の วัว /wua/ を /ua/ と発音してしまうなど、/u/ と混同してしまう件)についても日本人の出身地によって得意不得意があるのかどうかなども合わせて観察&考察していきたいと思うのですが、それはまたいつかの機会に。
ではまた。