タイではデルタ株の新型コロナウイルスが感染拡大を続けており、連日1日の新規感染者数が1万人を超えていますが、もうすぐ2万人にも手が届きそうな勢いです。
タイ人のワクチン接種率もまだまだ伸びていない中恐縮ではありますが、このたびアストラゼネカ(AZ)製の新型コロナワクチン接種の機会を得たので、バンコクの病院で接種してきました。
日本大使館調整のワクチン接種開始
タイでの新型コロナウイルス感染拡大と、ワクチンのタイ国内生産及び国民へのワクチン接種の大幅な遅れを受けて、日本からタイへ寄贈されたアストラゼネカのワクチン105万回分が、2021年7月21日、タイに到着しました。
そして、7月27日には、在タイ日本国大使館主催で「在タイ邦人の皆様へのワクチン接種に関して ~一日も早い接種を目指した取り組みについて~」と題したオンライン説明会が開かれ、梨田和也大使よりワクチン接種状況の説明が行われました。
その中で、タイ国内の医療施設において日本人専用のワクチン接種を始めることについても話が及びました。
近々、正式に発表があるだろうと。
また、「タイ国内のワクチンが不足している中で、日本政府が寄付したワクチンが在留日本人に優先的に接種されることはない」とした上で「日本政府によるワクチンの寄付が、結果として在留日本人専用のワクチン接種につながったということも考えられる」との説明がありました。
この梨田大使からの発表は、在タイ日本人の反応としては、概ね好印象で迎えれたような気がします。
「大使館がちゃんと動いてくれている」
「全く接種の目処が立っていない(外国人である)我々にも希望が見えてきた」
といったような感想が聞こえていたように思います。
バムルンラード病院のフライング!?
そんな日本大使館からの重大発表(事前に決まっていたのでしょうが)の数日前に、実は、ワクチン接種に関するちょっとしたニュースが一部の日本人界隈で話題となっていました。
それは、バンコクの有名私立病院、バムルンラード病院から「日本政府よりタイ政府に寄贈された新型コロナワクチン(アストラゼネカ)接種」というタイトルのメールが、当病院で受診をしたことがある日本人の元に送られていたのです。
(一部、受診をしたことがあるのに届いていなかったという方もおられるようで、詳細は分かりません)
メール本文にも、日本政府から寄贈された「105万回分の新型コロナウイルスのワクチン」を「在タイ邦人及びタイ人の皆様」への接種会場として貢献させていただきたいというように書いてありました。
私も、メールに記載されていた個別認識コードを入力して、早速申し込みフォームから予約してみました。
希望日と時間帯を選択できるようになっており、それぞれの時間帯で接種できる残り枠(人数)も表示されていたので、実質的にこれでほぼ予約完了なんだろうなと思っていました。
(一応、2日前までにSMSかメールで最終の提供可否が届くとのことでしたが)
ちなみに、私は8月1日で接種を予約しておきました。
ところが、このあと、ちょっと混乱する出来事が起こるのです。
これはバムルンラード病院のフライングだったんじゃないかという噂が立ちはじめました。
このメールが私に届いたのは、7月26日でした。
つまり、大使館のオンライ説明会が行われる1日前です。
大使館からの説明の前に、バムルンラード病院が先走って、日本人優先とも受け取られかねないワクチン接種の予約受付を、日本人向けに開始しているんです。
(一応『在タイ邦人及びタイ人』という文言にはなっており、優先という表現はありません)
いずれにしても、大使館としてはあまり面白くないでしょうね。
実際、オンライン説明会での質疑応答時には、このバムルンラード病院のフライングに関して、梨田大使からチクリと不満気な声もあがったとか。
大使館枠の接種も高齢者から
その後、7月29日に大使館から正式に発表された「タイ在住の日本人を対象として新型コロナ・ワクチン接種機会の提供」の内容というのは、8月初旬から、60歳以上の高齢者、7つの基礎疾患保有者及び12週以降の妊婦を対象に接種が開始され、それ以外の人は上述の人たちの状況を見ながら開始される(つまり現時点では未定)ということでした。
結局、大使館が調整をしてくれた日本人向けのワクチン接種枠も、対象となるのは高齢者や基礎疾患のある人や妊婦といった人たちからであり、そういう方々は、外国人であっても、すでにタイ政府主導で行われている接種会場で接種可能となっているので、「なんだ、結局、現状と変わらないじゃないか」という肩透かし感があったことは否めません。
(もちろん、特に高齢者の方々にとって、日本人専用という安心感や、日本語・日本人ネットワークを通じての周知が行き渡るといった利点が増したことは確かです)
日本大使館としても、あくまでタイ政府の方針に沿ったワクチン接種を行なっていくというのが前提でしょうから、仕方ないのかもしれませんね。
そうだとすれば、途端にバムルンラード病院で行った予約申し込みの可否(有効・無効)が気になります。
一応、私はまだ60歳以上でも規定されている基礎疾患保有者でもなく、それなのに、すでに8月上旬も上旬、8月1日に接種予約しているわけです。
仮にバムルンラード病院の先日のメールが、大使館がタイ政府と調整した日本寄贈のワクチン接種のことであるとするならば、大使館の方針(タイ政府の方針)とは一致しないわけですよね。
「予約は無効になるのかなあ」とこの時点である程度覚悟していました。
実際、7月27日(大使館のオンラインセミナーが開催された日)の午後に、友人がバムルンラード病院に問い合わせをしたら、「現在登録を停止させていただいております」という回答だったらしいのです。
問い合わせが殺到したからなのか、大使館からクレームが入ったのかは分かりませんが、ますます雲行きが怪しくなってきました。
接種可能のSMS届く
「ダメならダメでかまわない。流れに任そう」
そんな風に楽観的に考え、ほぼあきらめていたら、
なんと、2日前に病院からのSMSがちゃんと届きました。
事前に登録した日時の通り、接種が確定していたんです。
「あら?そうするとこれは一体“何枠”のワクチン接種となるのだろう?」
とも思いましたが、これも与えられた機会なんだからと、あれこれ詮索せずに受けておくことにしました。
接種当日の流れ
前日は早めに寝てできるだけ睡眠を取るようにと思いましたが、夜中に起きてしまい、その後もうつらうつらしたり覚醒したりで、横になっていた時間はそれなりに長かったですが、睡眠の質という意味ではどうなんだかよく分かりません。(遠足前夜の子供か。笑)
接種会場のバムルンラード病院へは予約時間の30分前には来て下さいとのことで、少し余裕を持って出かけました。
新館外来棟へ入って入口スタッフにワクチン接種と伝えると、そのまま入って左手に設けられた受付へと案内されました。
そこでパスポートを渡し、控えの番号札を受け取って、隣の椅子で待機。
10分ほどして番号順に4人くらいが呼ばれ、エレベーターで10階まで連れて行かれました。
10階のエレベーター前にある待合スペースで待機。
しばらくすると、順番に呼ばれ、カウンターで登録書類の作成が行われました。
タイの住所や緊急連絡先など個人情報の更新、医療ケア及びサービスに関する同意書(医療情報の開示など)へのサインを行いました。
それが済むとパスポートは返却され、それと同時に次回接種日(2回目)が書かれたカードも受け取りました。
そのまま作成してくれた書類を持って、接種ブース(この日は、同じフロアーの反対側)へと移動です。
接種ブース前の待合スペースで、「新型コロナウイルスワクチン接種同意書」などにサインをします。
ワクチン接種前のチェックシート(直近の健康状態やワクチンアレルギーの有無など)、ワクチン接種の注意事項、副反応などについての説明を読んだ上で署名を行います。
書類の記入が終わってしばらくすると、いよいよ接種です。
パーテーションで仕切られた接種ブースのひとつに案内されました。
お医者さんと看護師さんがペアで待機してくれています。
まずは体温と血圧を測り、医師の口から「アストラゼネカの接種」であること伝えられました。
私は、それほど注射嫌いではないので、わりと平常心で座っていられました。
テーブルに置いてあった招き猫の棒が気になって写真を撮っていたら、「それ持って写真撮りなよ!」的な感じで、看護師さんが私のスマホで接種中の写真や接種後の先生との記念写真などを撮ってくれました。
これ、むしろ先生自ら「撮れ撮れ」みたいに進めてくれたことですからね。
やっぱり、好きです。タイランド。
注射自体は最初チクッとしただけで特に痛みもなく余裕でした。
接種が終わると、待機場へと案内されました。
ここで約30分座って接種後の経過観察を行います。
トイレなどで座った場所から離れる場合は、必ず手をあげてスタッフを呼ばなければなりません。(私は座る前に、先にトイレに行かせてもらいました)
みなさん、前方に設置されたスクリーンの動画を眺めたりスマホをいじったりしながら時間をつぶします。
30分経つとスタッフの方が来て特に体調の異常などがないか尋ねられます。
特になければ、これでワクチン接種は終了です。
帰宅となります。
帰り際、配られていたメッセージカードに、今日対応してくださった医療スタッフの皆さんへの感謝の言葉を書いて渡しておきました。
私の場合、病院の1階受付に着いてからワクチン接種が終わるまで、ちょうど1時間でした。経過観察まで入れて1時間半。
特にストレスもなく、みなさん丁寧でスムーズな対応をしてくださいました。
本当にありがとうございます。
もちろん、費用は一切かかっていません。
最後にこんなバッチもらいました。
接種条件の拡大
8月1日付けで、日本人向けアストラゼネカワクチン接種の年齢条件の拡大(60歳以上から50歳以上へと変更など)が行われています。
実際に、サミティヴェート病院(サミティベート)からも下記のような案内が届いていました。
また、タイ外務省主導のワクチン接種についても、高齢者や基礎疾患保有者、12週間以上の妊婦が優先ではあるものの、18歳以上の全ての外国人が登録できるようになりました。
(ただし、ワクチンの種類、接種日・場所は選択不可)
詳しくは、以下の在タイ日本大使館からのお知らせをご覧ください。
1.「タイ在住の日本人を対象とした新型コロナ・ワクチン機会の提供」(協力病院及び対象年齢の拡大)
(1)サミティヴェート病院シラチャー
上記病院が、新たに協力病院に加わりました。アストラゼネカ・ワクチン接種をご希望される方は、以下の登録リンクから手続きを行ってください。ご不明な点は、同病院にお問い合わせください。(サミティヴェート病院シラチャーの登録リンク)
https://apac01.safelinks.protection.outlook.com/?url=https%3A%2F%2Fwww.samitivejhospitals.com%2Fjp%2F%25E3%2580%2590%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25A9%25E3%2583%2581%25E3%2583%25A3%25E3%2583%25BC%25E3%2580%2591%25E5%25A4%2596%25E5%259B%25BD%25E4%25BA%25BA%25E3%2581%25AE%25E6%258E%25A5%25E7%25A8%25AE%25E6%258E%25A8%25E5%25A5%25A8%25E5%2588%25B6%25E5%25BA%25A6%25E3%2581%25AB%25E3%2581%258A%25E3%2581%2591%25E3%2582%258Bsinovac-a%2F&data=04%7C01%7C%7C697e397c065641381e0908d954b285c4%7C84df9e7fe9f640afb435aaaaaaaaaaaa%7C1%7C0%7C637633947987601612%7CUnknown%7CTWFpbGZsb3d8eyJWIjoiMC4wLjAwMDAiLCJQIjoiV2luMzIiLCJBTiI6Ik1haWwiLCJXVCI6Mn0%3D%7C1000&sdata=29Mfg2cISsxuC641vXr%2BSRWvLADgrs0p2%2FKJuMV%2BjwA%3D&reserved=0
(2)50歳以上の日本人への登録・接種拡大
在タイ日本国大使館がタイ保健省と協議を重ねた結果、50歳以上のタイ在住日本人についても、登録・接種が順次始まります。既にメドパーク病院(Covid19-Vaccine-Japanese - MedPark Hospital)では登録受付を開始しています。他の協力病院についても、システムの更新等の準備・調整が整い次第、開始されます。
(メドパーク病院の登録リンク)
https://apac01.safelinks.protection.outlook.com/?url=https%3A%2F%2Fmedparkhospital.com%2Fpage%2Fcovid19-vaccine-japanese&data=04%7C01%7C%7C697e397c065641381e0908d954b285c4%7C84df9e7fe9f640afb435aaaaaaaaaaaa%7C1%7C0%7C637633947987601612%7CUnknown%7CTWFpbGZsb3d8eyJWIjoiMC4wLjAwMDAiLCJQIjoiV2luMzIiLCJBTiI6Ik1haWwiLCJXVCI6Mn0%3D%7C1000&sdata=fXACr0UklG7O3N6j%2BQWLpgpsGcam2mH3hj%2F%2FdLKUN80%3D&reserved=0
在タイ日本国大使館は、50歳未満のタイ在住日本人の登録・接種についても、引き続きタイ保健省と協議を進めてまいります。
2.全ての年齢層の外国人への登録拡大(タイ外務省の新型コロナ・ワクチン登録システム)
タイ外務省(領事局)は、8月1日(日)11時から、新型コロナ・ワクチン未接種のタイ在住の全ての外国人向けの新型コロナ・ワクチン登録システムを開設しました。接種は、60歳以上、7つの基礎疾患保有者、12週以上の妊婦が優先とされています。
この登録システムについて、在タイ日本国大使館からタイ政府に確認したところ、以下の説明がありました。
(1)タイ在住の全ての外国人(18歳以上)が、全ての都県において、このシステムで登録可能。
(2)ただし、ワクチンの種類、接種日・場所を選択することはできない。
(3)タイ外務省は、登録されたデータをタイ保健省に送付し、タイ保健省が優先順位付けを行う。その上で、タイ外務省又は病院から、接種希望者に詳細が通知される。
(タイ外務省の登録システムのリンク)
https://apac01.safelinks.protection.outlook.com/?url=https%3A%2F%2Fexpatvac.consular.go.th%2F&data=04%7C01%7C%7C697e397c065641381e0908d954b285c4%7C84df9e7fe9f640afb435aaaaaaaaaaaa%7C1%7C0%7C637633947987601612%7CUnknown%7CTWFpbGZsb3d8eyJWIjoiMC4wLjAwMDAiLCJQIjoiV2luMzIiLCJBTiI6Ik1haWwiLCJXVCI6Mn0%3D%7C1000&sdata=5Z%2BPHoitTU1Cu1%2FaLP7KRGLURjRFH2FRpR1lWWA%2FSq8%3D&reserved=0
(在タイ日本国大使館からのメールより一部抜粋)
ファイザーの予約も開始!?
実は、バムルンラード病院でアストラゼネカ(AZ)のワクチン接種を待っている時に、Twitterで「Med Park病院でファイザーの予約ができた」という噂を目にし、一瞬、少し羨ましいなと思ったんですが、「いやいや、今こうして巡ってきた機会に感謝しつつ、ありがたくAZ打ってもらおう」と、すぐに気持ちを切り替えました。
今は何の後悔もないし、むしろ親切に対応してくださったみなさんに感謝しています。
ただ、現在まだワクチン接種の目処が立っておらず、接種を希望される方は、以下のリンクから登録が可能ですので、ご興味があればご覧ください。
MedPark Hospitaldでは、
アストラゼネカ、ファイザー、シノバックのうちから選択可能。
アストラゼネカとシノバックは8月3日以降、ファイザーは8月10日以降の接種開始を予定しているそうです。
apac01.safelinks.protection.outlook.com
副反応
なお、接種から数時間経った今現在、特に体調の変化というのは感じないのですが、12時間後とか翌日に発熱したという方もおられるので、引き続き安静にして過ごしたいと思います。
また変化などあったら、追って報告します。
<追記>
当日寝るまでは特に副反応らしいものはなく、余裕だったんですが、夜中に発熱しました。(汗)
熱を測ったら37.9度でした。
しばらく震えが止まらず、長袖のカットソーを着込んで無理矢理寝ました。
朝も熱が下がりませんでしたが、タイレノール(解熱剤)を飲んで今は落ち着いています。
AZは何かしらの副反応が出やすいと言いますが、私も例外ではなかったです。
(以上、2021年8月2日追記)
以上、バムルンラード病院でAZワクチンを接種してきた話でした。
ではまた。