こんにちは。
タイ・バンコクの片隅の小さなベランダでイチジクを育てているまなおです。
今回は、タイのイチジク農園へ見学に行ってきた話です。
とてもクリーンな環境で作られている無農薬・オーガニックなイチジク栽培現場でした!
デパートにも卸している、採りたての新鮮イチジクを入手できましたよ♪
タイのイチジク栽培の現場を見たい!
今年の5月に苗木を買って、はじめてのイチジク栽培に挑戦しているまなお。
Youtube動画やイチジク栽培関連のサイトを見ながら、自分なりに試行錯誤してやっております。
以前も取り上げましたが、日本のイチジク栽培農家さんが発信されているYouTubeチャンネルは、非常に丁寧でわかりやすくイチジク栽培のノウハウを紹介してくださっており、見ていて役立つ内容ばかりですし、趣味でイチジク栽培をしている方の動画にもいろんなヒントが詰まっていて参考になります。
ただ、これらの動画やサイトは、当然ながら日本の環境でのイチジク栽培の方法であったりテクニックであったりするので、タイで栽培していると、どうしても合致しないところとか疑問点が湧き起こってきます。
最も大きな相違点は、日本には冬があるということです。
日本では、収穫後、秋から冬にかけてイチジクは落葉し、休眠期を経て春に芽吹き、夏にかけて伸ばした新しい枝に実をつけます。
その四季の移り変わりに合わせた手入れ(植え替えや剪定など)のタイミングや方法が紹介されているわけです。
しかし、ここは基本的に一年中暑い熱帯地域に属するタイ。
『休眠期でない時期に、根をいじってしまうような植え替えや強剪定をしてしまってもいいのか?』
『休ませずに何回も収穫できるのか?』
なんていう疑問も出てくるわけです。
もちろん、タイの気候風土に適した育て方を知るにはタイの栽培家の情報を!ということで、タイのイチジク栽培動画もあれこれ参考にしてはいるものの、もともと冬がない地域なので、休眠期ということに言及しているものや手入れの季節的なタイミングについて詳しく説明しているものは、ほとんど見当たりませんでした。
そんなこともあり、いつか実際にタイのイチジク農園に行って見学してみたいと思うようになったんです。
クワンいちじく農園(フィグスアンクワン)
今回訪問したのは、チョンブリー県ムアン郡にあるイチジク農園です。
場所的には、「バンセーンビーチ」や「アンシラー海鮮市場」、そして最近インスタ映えスポットとして脚光を浴びている「グランドキャニオン・チョンブリー」の近くとなります。
道路沿いにかわいい看板が現れました。
日本語でも「いちじく」と書いてありますね。
この日は、公道に面した入口が閉まっていたので閉園しているのかと思いましたが、電話してみると「開いているから脇の道から入って来てください」とのこと。
コロナ禍で来園者も少ないこともあって、表の大きな門は閉めているようでした。
ここは、5年ほど前にオーナーのレックさんが趣味で始めたイチジク農園です。
お子さんがバンコクの大学(チュラロンコン大学!)に進学して家事育児に手がかからなくなり、空いた時間を利用してイチジク栽培を始めたらすっかりハマってしまったそうです。
最初は、実がなったら近所の方や親戚に無料で配っていたけれど、それでも有り余るくらい収穫できるようになったので販売してみたというのがきっかけだそうです。
当初小さなビニールハウス1つではじめたのが、今では9つの立派なハウスを増設するまでとなりました。
清潔なハウスの中でイチジクの無農薬栽培が行われています。
ハウス栽培見学
レックさんの案内で、ビニールハウス内の見学をさせていただきました。
ハウスに入る前から、あたりにはイチジクのいい香りが漂っています。
アーチ型の天井は透明のビニールシートのような雨を通さない素材、サイド部分は細かいメッシュ生地のような素材で作られたハウスです。
一歩中に入ってまず感じたのは、「本当に整然としたハウス栽培が行われているなあ」ということでした。
等間隔に植えられたイチジクの苗木に青々とした葉が茂っています。
そして、その枝にはたくさんのイチジクの実が。
イチジクの木はそれぞれ1本ずつコンクリート製の丸い枠に植えられています。
ちなみに、このコンクリートの鉢のようなものには底がなく、あくまでも枠だけだそうです。
地表から一段高く土を盛ることで水はけをよくしたり、有機肥料(堆肥)を混ぜ込みやすくする目的があるようです。
そして、通路部分には小石が敷き詰めてあり、雑草やゴミなどもない非常にクリーンな環境となっています。
見学していても非常に気持ちがいいのです。
品種は「マスイ」(桝井ドーフィン)と「ホワイトイスラエル」がメインとのこと。
マスイドーフィンの実は、熟すと紫褐色になります。
私たちが訪れた時は、ハウス内のマスイはまだ緑色の熟していないものがほとんどでしたが、あと2週間くらいすればたくさんの紫色した実がなると思われます。
無農薬・オーガニック栽培
日本でもビニールハウスでイチジク栽培をしているところはありますが、私の記憶では野外の畑で露地栽培している農家さんも多かった印象があります。
一方、タイで大規模にイチジク栽培をしているところは、ほとんどハウス栽培のような気がます。
これも害虫や鳥の被害から守るためなんでしょうね。
実際、レックさんは「農薬を使いたくないから、ハウス栽培をしているの」とおっしゃっていました。
あと、イチジクの実は長雨を嫌い、根は水はけのよい土壌を好むので、雨季対策ということもあるのでしょう。
ちなみに、主な害虫は、マレーン・ウィー・カーオ(แมลงหวี่ขาว)という虫で、葉や茎を吸汁するコナジラミの1種だそうです。
また、水やりは自動灌水装置で1日に5〜6回行なっているそうです。(たしか1回あたり約30秒ほどの給水と言っておられたような ← 3〜4分でした!すみません)
タイは1年に2回収穫できる!
日本では冬があるため、ほとんどの品種は年に1回の収穫(秋果)となりますが、タイでは普通に1年に2回収穫ができるとのこと。
これは、私が知りたかった情報の一つでもありました。
いわゆるイチジクの秋果は、その年に新しく伸びた枝に実をつけます。
ですから、日本では、剪定後、春から夏にかけて伸びた枝に花芽がつき、その実が夏から秋にかけて大きく成長して収穫となるわけです。
ここタイでは、剪定した場所から新芽が芽吹き、新しい枝に実をつけて収穫できるようになるまでが大体3ヶ月半〜4ヶ月程度。
そして最初の実を収穫してから枝の上の方の実まで収穫しきるまでが約1ヶ月半〜2ヶ月程度かかるそうです。
(イチジクの実は下の方から順番に熟していきます)
全部収穫しきったら、その枝は主幹に近い位置まで再び切り戻して(強剪定)、次の収穫サイクルに向けて新しい枝を芽吹かせるという繰り返しとなるようです。
だから、1回の収穫に約6ヶ月をかけると考えればいいわけですね。
なるほど。
そして、この農園では、それぞれ少しずつその収穫サイクルをずらして栽培しているので、ほぼ年中イチジクの収穫・出荷ができるようです。
と言っても、やはり雨季の終わりから暑季にかけて(10月〜5月)の収穫量が多いのだとは思います。
ちなみに、タイでは暑季のイチジクが1番甘くて美味しいと言われています。
雨が多いと腐りやすいし、味も濃厚さがなく水っぽいものになってしまうのでしょうね。
栽培品種
先ほど、この農園で栽培されているのは「マスイドーフィン」と「ホワイトイスラエル」だと書きましたが、実験的にその他の品種もいくつか栽培されていました。
これは、私も育てているPanachee(パナチー/パナシー)。
幹の縦縞模様が特徴的です。
こちらは、葉に斑の入ったイチジクの品種「ジョリータイガー」
すごく綺麗な葉っぱですよね?
ひとつの葉の中でも斑が入っている箇所と入っていない箇所があったり。
オシャレな迷彩柄みたいにも見えました。
他にもいくつか紹介してもらったのですが、メモってなくて忘れてしまいました。汗
販売商品・農園情報
基本的に毎日9時から17時で営業していますが、念のために事前に問い合わせるほうがいいかもしれません。(不定期で月曜日は休むこともあるそう)
当日イチジクを買って帰ることも可能です。
ただ、当農場のイチジクは、バンコクの大手デパートへも卸しているし、ここの農場のファンの方からの予約もあるで、確実に購入したい場合は、前日までに予約しておくのが無難です。
この日、私たちはラッキーにも、ちょうどふた箱分のイチジクが余っていたので買うことができました。
生のイチジクは、通常、1キロあたり300バーツ、もしくは、このような箱入りで100バーツ~150バーツで販売されています。(この日は小ぶりのイチジクということもあってか、1箱100バーツでした)
その他、イチジクジャムやイチジクゼリー、ドライフルーツにしたイチジクなどのハンドメイドの加工品も販売しています。
どれも、60~150バーツ程度と、良心的な価格でした。
また、FacebookからDMで購入も受け付けているとのことです。(英語可)
なお、現在はコロナ禍ということもあり、カフェコーナーは閉めていますが、感染拡大が落ち着いたら、また再開するそうです。
<農園情報>
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フィグ スアン クワン いちじく農園
ฟิกส์สวนขวัญ สวนมะเดื่อฝรั่ง
Figs Suan Kwan (Figs farm)
所在地:30/11 ม.6 ตำบล ห้วยกะปิ อำเภอเมืองชลบุรี ชลบุรี 20000
30/11 Moo 6, Huai Kapi, Chon Buri District, Chon Buri 20000
TEL:081-363-5904
時間:09:00 - 17:00
定休日:なし(月曜日に休みになることもあり。事前確認が無難)
Facebook:https://www.facebook.com/figssuankwan/
Line ID:0813635904
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おわりに
農園内を案内してくれたオーナーのレックさんは気さくでとても親切な方でした。
お話を伺った中で印象的だったのは
「とにかく毎日イチジクの世話をしていることが幸せなんです」
とおっしゃってたことです。
これは、私もすごく共感してしまいました。
手間とか(比較的手間のかからない植物ではありますが)、失敗とか、そういうのもひっくるめて、イチジクが日々成長していくのを見るのが楽しいんですよね。
レックさんは5年前に趣味でイチジク栽培をはじめ、今ではビジネスとして成功されていますが、本当にイチジクの世話をすることがお好きなんだなということが、お話の節々やその表情からも伝わってきました。
「もし子供がイチジク栽培に興味がなくて、私の代で終わってしまったとしても、それはそれでいいんです」
ともおっしゃっていましたが、そんなことにならず、ずっとこの農園が存続することを願っています。
いちじく狩りや遊具施設などがあるわけではありませんが、イチジク栽培に興味のある方や、採りたての無農薬イチジクをお手頃な価格で購入したい方は、チョンブリー観光のついでにお立ち寄りになるといいと思います。
ではまた。