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バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

精緻で美しい螺鈿細工の傑作【黒漆螺鈿経典厨子/バンコク国立博物館】

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バンコクの王宮前広場(サナームルアン)やタマサート大学と隣接する場所に、バンコク国立博物館があります。

タイの先史時代から現王朝であるラタナコーシン朝(チャクリー王朝)にかけての文化遺産やタイの至宝とも呼べる超一級の芸術品(建築・美術品・工芸品など)が集まったタイ最大級の博物館です。

膨大な数の展示品があり、1日ではじっくり見て回ることなど到底できません。
いずれも非常に見事で見応えがあります。

僭越ながら、このブログでも、折を見てバンコク国立博物館に展示されている芸術品の紹介を行っていきたいと思います。

といっても、あくまで素人の私が得た薄っぺらい知識と感覚を元に、自分の備忘録も兼ねて興味の赴くままに書き連ねるだけですので(いつものことながら)、間違いや勘違いなどありましたらご容赦いだたくと共にご指摘ご教授いただければ幸いです。


というわけで、
第一回目は、【黒漆螺鈿経典厨子(くろうるしらでんきょうてんずし)】を紹介したいと思います。


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なぜ今回この「黒漆螺鈿経典厨子」を取り上げたかというと、前々回の記事で紹介した屋外博物館「ムアンボーラーン(エンシェント・シティ)」のアユタヤ時代の王宮建築の中で、この黒漆螺鈿細工のレプリカと思われる扉を見かけたからです。

www.manao.life



 

黒漆螺鈿経典厨子

18世紀半ばのアユタヤ様式美術。
アユタヤ時代の寺院の布薩堂にあった螺鈿細工の扉板を転用して、ラタナコーシン朝初期に
経典保管用の厨子に造り直されたものです。
現存する黒漆螺鈿(ラデン)細工では最古の作品とのことです。

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円内にはヒンマパンの森(須弥山の麓にあるとされる森)に住む動物たちが非常に細かく描かれています。
黒漆に貝片を装着して作られた螺鈿細工は、本当に見事です。


まずは、正面から見ていきましょう。
正面の扉には、左右対になった円形の螺鈿細工が3段並んでいます。

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一番上の段の円内中央にはハヌマーンを思わせるような旗と剣を持った猿が描かれています。
よく見ると、この猿の武将の周りには、小さな猿たちがたくさん。

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中央の段の中央は、鳥族でしょうか、ナーガでしょうか。
周りには、鳥や牛や馬、象などの動物がたくさん描かれています。

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一番下の段も、中央には鳥族かナーガ、いずれにしても普通の動物ではない神獣が描かれています。

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向かって右の神獣の頭には角のようなものが見えます。
一方、左側の神獣は象の牙や鼻も付いているようです。

周りには、同じく鳥やリスやニワトリなどの動物が小さく描かれています。





次は、向かって左側側面の螺鈿細工です。

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一番上の段は、中央に神鳥ガルーダ、周りには鳥たちが描かれています。

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中央の段は、キンナリー(半人半鳥)でしょうか、天女でしょうか。

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そして、一番下はホン(鳳凰)が描かれています。

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最後は向かって右の側面を見てみましょう。

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一番上の円の中央は、これもナーガでしょうかね。


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周りにはクラゲやエイ(?)、カメ、魚、カエルなど、水中動物が多く描かれています。

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そして、とてもキュートな生き物を発見!

おわかりでしょうか?


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マーメイド、人魚さんです。

よく見たら、両手に魚をつかんでいます。(芸が細かい!)

その左下には、もっと小さな人魚さんが!



アユタヤ時代の職人さんが丹精込めてこんなキュートなモチーフを描いていたところを想像すると、なんとも微笑ましい気分になりました。



中段と下段は、鳥族かナーガ(舌を出しているからやっぱりナーガなんでしょうか?)が中央に描かれ、周りに小さな鳥や動物たちが描かれています。

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いやもう、個人的にはマーメイドさんや水中動物が描かれた部分がダントツで優勝でした。(笑)



ムアンボーラーンのレプリカ

最後に、ムアンボラーンのサンペットプラサート宮殿(พระที่นั่งสรรเพชญปราสาท)の扉に施された黒漆螺鈿細工の写真を載せておきます。

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とても似ていますよね?

でも、周りの小さな動物がいなかったりと、緻密さではやはりバンコク国立博物館の作品に軍配が上がりそうです。




バンコク国立博物館ボランティア・日本語ガイド

今回、博物館の書店で買い求めた「バンコク国立博物館の至宝」(バンコク・国立博物館ボランティア・日本語ガイドグループ著)も大いに参考にさせていただきました。

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週に1回(または2回)行われているボランティア日本語ガイドツアーは非常に丁寧でわかりやすいです。
あんなに水準の高い案内を無料で行っておられるのには、頭が下がります。
(博物館自体の入場料は必要)

時代背景や作品の知識をある程度知った上で鑑賞すると楽しさが倍増しますので、ご興味がある方は、ぜひぜひ参加なさることをお勧めします。

詳細や参加予約に関するお知らせは、下記でご確認ください。

https://www.facebook.com/hakubutsukan/




施設情報

<施設情報>
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バンコク国立博物館
พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติพระนคร
Bangkok National Museum
所在地:ซอย หน้าพระธาตุ แขวงพระบรมมหาราชวัง เขตพระนคร กรุงเทพมหานคร 10200
    Soi Na Phrathat, Phra Borom Maha Ratchawang, Phra Nakhon, Bangkok 10200
TEL:02-224-1370
入館料:外国人200THB(タイ人30THB)
時間:09:00-16:00
休館日:月曜日、火曜日、祝日
日本語ボランティアガイド:水曜日と木曜日の9時30分~(2022年現在/要事前予約)
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以上、黒漆螺鈿経典厨子の話でした。

ではまた。

Klook.com