仏教の開祖と言えばお釈迦様(ゴータマ・シッダールタ)であり、仏陀と言えば「釈迦」を思い浮かべることが多いと思いますが、実は、お釈迦様がこの世に出現されるその遥か前から何人もの(別の)仏陀が存在したという考え方があります。
今回は、そんな「過去仏」を祀るアユタヤのお寺を紹介します。
バンパインの古刹「ワット・チュンポンニカーヤーラーム」
バンコクからアユタヤ旧市街に向かう少し手前に、バンパインという地域があります。
このエリアには、工業団地があったり有名なバンパイン宮殿(離宮)があったりするので、名前を聞いたことがある方も多いかと思いますが、そのバンパイン宮殿のすぐ近くに過去の仏陀を祀る由緒正しい王室仏教寺院があるのです。
それが、ワット・チュンポンニカーヤーラーム(วัดชุมพลนิกายารามราชวรวิหาร)です。
アユタヤ王朝中期、1632年にプラーサートトーン王によって建立されたといわれる古刹で、タイ王室仏教寺院第二級に格付けされています。
ちなみに、プラーサートトーン王は、宮廷内で対立した山田長政を南部ナコーンシータマラートへ左遷した人物であるとされています。
後にラーマ4世およびラーマ5世によって大掛かりな修復が行われました。
過去七仏が安置された本堂
ワット・チュンポンニカーヤーラーム寺院は、アユタヤ中期に創建された後、現王朝(ラタナコーシン朝 / チャクリー王朝)のラーマ4世・5世によって修復された経緯により、アユタヤ様式とラタナコーシン様式が融合した建築が残っています。
美しい本堂の正面入口には、宝冠を頂く弥勒菩薩像(พระศรีอาริยะเมตไตรโพธิสัตว์)が安置されています。
本堂の中に入ってみましょう。
本堂内部には、本尊として砂岩に漆喰を施した仏像7体が安置されています。
(現在はその上から金が施されている?)
この仏像7体は「過去七仏」と呼ばれる、釈迦牟尼(お釈迦様)までに登場した過去7人の仏陀で、他のお寺ではあまり見ない珍しい本尊の安置形態です。
ちなみに、過去七仏というのは、以下の7仏陀のことです。
毘婆尸仏(Vipassī / พระวิปัสสีพุทธเจ้า)
尸棄仏(Sikhī / พระสิขีพุทธเจ้า)
毘舎浮仏(Vessabhū / พระเวสสภูพุทธเจ้า)
倶留孫仏(Kakusandha / พระกกุสันธพุทธเจ้า)
倶那含牟尼仏(Koṇāgamana / พระโกนาคมนพุทธเจ้า)
迦葉仏(Kassapa / พระกัสสปพุทธเจ้า)
釈迦牟尼仏(Gotama / พระโคตมพุทธเจ้า)
(どの仏像がどなたなのかは聞かないでください。わかりません。汗)
そして、さらに4人の弟子像も。
本堂の壁画は、過去仏に関する話が描かれているようです。
繊細なタッチで描かれた建物や人物像はとても美しいです。
こちらは、袈裟をまとった比丘尼(尼さん)でしょうか?
そこここに中国の影響を受けていることがうかがえます。
白亜の仏塔
また、境内には2基の白く美しい仏塔が建てられていますが、近年、昔からある仏塔を修復し塗装し直されました。
12の角(3×4)を持つアユタヤ様式の仏塔です。
この12の角の仏塔様式(เจดีแบบย่อมุมไม้สิบสอง)は、有名なアユタヤの黄金の山(ภูเขาทอง:プーカオトーン)の仏塔にも見られます。
<寺院情報>
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ワット・チュンポンニカーヤーラーム・ラーチャウォーラウィハーン
วัดชุมพลนิกายารามราชวรวิหาร
Wat Chumphon Nikayaram
所在地:หมู่ 4 บางเลน, บางปะอิน, พระนครศรีอยุธยา 13160
Moo 4, Tambon Ban Len, Amphoe Bang Pa-in, Phra Nakhon Si Ayutthaya, 13160
URL:Facebook
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観光客が訪れることはあまりない、小さくひっそりとした寺院ですが、アユタヤ観光やバンパイン宮殿へ行かれる際に立ち寄ってみてはいかがでしょか。
以上、珍しい過去七仏が安置される寺院「ワット・チュンポン・ニカーヤーラーム」の紹介でした。
ではまた。
<参考サイト>
他