こんにちは、まなおです。
久しぶりのブログでなんだか大げさなタイトルですが、生まれて初めて肉眼ではっきりと天の川を見ることができた感動に興奮さめやらず、勢いで書いております。
チェンマイの山間にある小さな村の丘の上には満天の星が輝いていました。
チェンダオの山火事とPM2.5
実は、今回のチェンマイ旅行、当初の予定ではチェンダオへ行く予定だったんです。
暑季が終わり雨季に入る前にチェンダオ山(ドーイルアン)の星空鑑賞をすることが目的でした。
2泊を予定しており、1泊は以前にも滞在したリス族の集落、あと1泊は少し離れた山の上に建つコテージを予約していました。
チェンダオ山を取り囲む山の斜面から眺める景色は本当に素晴らしいのです。
星空がよく見える新月に近い週末を選び、ずいぶん前から飛行機と宿を手配して、本当に楽しみにしていたんですよね。
ところが。
今年のタイの夏(暑季)は異常なくらい暑く、4月下旬になっても連日40度超えの猛暑に加え、焼き畑などを原因とする大気汚染(PM2.5)がタイ北部一帯に広がっていました。
乾季に最大となる大気汚染も、例年なら4月くらいには徐々に収束していくのに、今年は4月に入ってもほとんど雨が降らず、大気質指数(汚染物質)がチェンマイのほぼ全域で150を超えるような状況が続いていました。
3月にチェンライへ星空を撮りに行った時にもこの大気汚染に悩まされたんですが、やはり大気中にPM2.5が多いと空が霞んで星がきれいに見えないんですよね。
今回も『せっかくベストな日にちと宿を選んだのに、星空が霞んでしまうのか』と不安が募りました。
毎日タイ北部の天気予報を眺めながら、まとまった雨が降ってくれればいいのに…なんて考えていたんですが、それよりももっとショックなことが起こったのです。
4月の終わりに、チェンダオ一帯で大規模な山火事が発生。
リス族の集落の宿から連絡がきて、山火事により宿の予約はキャンセルとなりました。
当局から、チェンダオの野生生物保護区への入山禁止、及び宿泊受け入れを1ヵ月延ばすようにというお達しが来たそうです。
とほほ・・・
よりによってこんな時期に大規模な山火事が発生するとは。
というか、表向きは政府によって禁止されている野焼き・焼き畑も、実際にはあちこちで行われているのが現状で、いつこうした山火事が発生してもおかしくないんですよね。
(もちろん自然発生の可能性もありますが、ほとんどは人為的なものと当局は発表)
1泊はあきらめることにして、もう1泊は保護地区から離れた山の上にあるからと、一縷の望みを託していたのですが、前日に宿と連絡を取ったところ、まだ消火活動が続いておりあたりは煙だらけということで、結局、こちらの宿もキャンセルとなりました。(予約金は全額返金してくれました)
思ったよりひどかったチェンマイの空
そして当日。
チェンマイ空港に降り立った私は、まったくのノープランでした。
というのも、チェンマイのPM2.5およびチェンダオの山火事の状況が好転することを、ギリギリまで未練がましく願っていたからです。
それがほとんど可能性のない希望だということはわかっていたのですが、飛行機が着陸に向けて徐々に高度を下げた時、チェンマイ上空の霞んだ様子を目の当たりにしてきっぱりと諦めがつきました。
これは多少の雨が降ったところでダメだと。
空港からはドイステープの山さえ霞んで見えません。
ちょうどそのタイミングで宿のオーナーさんから、草木の炎が燃え広がり村人が消化作業をしている動画もLINEで届きました。
(これほどまでに酷いとは知らず、何回も連絡してごめんなさい)
一から宿探し
さて、どうするか。
とりあえず、予約してあったレンタカーを借り、近くのガソリンスタンドに停車して思案します。
大気汚染状況がわかるアプリの地図を開くも、チェンマイはおろか、お隣のチェンライもランプーンもランパーンも真っ赤っか。
(ていうか、200超えの紫もある)
これはどこへ行ってもきれいな星空なんて望めそうにないなと、ため息しか出ません。
こうなったら、星空は無理でもどこか景色がきれいでのんびり落ち着ける場所に行きたいなと思い、Googleマップを開きました。
私のGoogleマップには、気になる場所やいつか行ってみたい場所のリストがたくさん保存されています。
それらを眺めていると、棚田の美しい村がいくつか目に留まりました。
「空がこんなに曇っているなら、せめて田んぼの緑に癒されたい」ということで、問い合わせてみることに。
まずは、ドイ・インタノン山の麓に位置するメーチェム郡の村の宿に電話してみました。
すると、まだ雨季に入っていないチェンマイでは、田植えも始まっていないとのこと。
(すっかりそのことを忘れていました!)
つまり、棚田を売りにしている村の宿にとっては、今はオフシーズンなわけです。
5軒くらいに問い合わせてみましたが、どこも宿泊客の受け入れはまだ行っていないという回答でした。
しょんぼり。
そこで、メーチェムより南のジョムトーン郡(またはチョームトーン郡)にある山間の村にも問い合わせてみました。
私が行きたい場所リストにマークしておいた宿に電話で尋ねてみると、やはり田植えシーズン前とあって、まだ宿泊は受け入れてないとのこと。
宿泊できるのは来月6月くらいからだと教えてくれました。
この宿の方がわりと話しやすい雰囲気の人物だったので、村の大気汚染状況も聞いてみました。
すると
「このあたりの空はきれいだよ。え、星?よく見えるよ!」
と言うじゃないですか。
マ ジ で す か !?
あまりにもサラッと答えられたので内心半信半疑ながら(失礼)、これはもうこの村に行くしかないと思ったわけです。
というわけで、Googleマップに載っている他の宿(だいたいバンガロー付きのホームステイ形式)に、片っ端から電話してみます。
案の定、まだ宿はオープンしていないという回答がほとんどだったのですが、
1軒だけ、「え、今日これから?まあ、いいよ」と言ってくれる宿が見つかりました。
もちろん「泊まります!」と即答。
ある意味、選択肢がないって楽ですね。
なまじたくさんの選択肢があると、ロケーションやレビューや掲載されている写真を隅々まで見比べてなかなか決められなかったり、決めてからもあっちの方がよかったかもだのなんだのって思っちゃうわけですけど、もうこの状況だと泊めてもらえるだけでもありがたい感じです。
とりあえず行き先は決まりました。
さて、どうなりますやら。
クンペ村へ
向かったのは、チェンマイ県中南部のジョムトーン郡。
ドイ・インタノンの国立公園からオープルアン国立公園にまたがる山を越えた先ににある山村「バーン・クンペ」(บ้านขุนแปะ)を目指して車を走らせます。(以下「クンペ村」)
距離にしてチェンマイ市内から100キロちょっと、約2時間の場所です。
途中、トイレ休憩でガソリンスタンドに寄りましたが、40度を超える気温に駐車場は熱風が吹いていました。
タイ北部チェンマイのイメージとはかけ離れた暑さでした。
(盆地なので暑季はこんなに暑いんですね)
山越えはそこそこのカーブと勾配がありましたが、一応きちんと舗装された道なのでそれほど問題はありませんでした。
ただ、村に入ってからは赤土むき出しのダートも所々にあり、運転には多少注意が必要でした。
雨季はコンパクトカーなどでの運転は避けた方がいいと思います。(できるだけ馬力のある車高の高い車がいいかと)
私たちが借りたのはC-HRでしたが、一回だけ段差の激しい凸凹道のカーブを超えるのが無理で引き返したことがありました。
というか、あれはGoogleマップの選択した道が酷かったんですけど。
(時々『なんでこの道へ誘導?』ってなることありますよね?)
まだ茶色い棚田や段々畑が見えたり、そこらへんをニワトリの親子が歩いていたり、子供が水牛を追っていたりと、「ザ・田舎」な風景に癒されます。
村の細いダート道をガタガタと上っていくこと数分、小高い丘の上にその宿はありました。
敷地内にはアジサイの花が植えられており、なんだか急に日本の梅雨時を思い出しました。
竹と木で造られた簡素なコテージ(小屋)が4棟だけ並んでいます。
その中で一番高い位置にある部屋を私たちに準備してくれていました。
こんな時期に来る宿泊客は、私たちだけのようです。
そういえば、村の中でも観光客的な人はまったく見かけませんでした。
展望テラスで晩ごはん
夕方までは、アジサイ畑で写真を撮ったり星空鑑賞&写真撮影の位置決めをしたり、村を散策したりして過ごしました。
チェンマイ市内はもちろん、同じジョムトーン郡でも山を越える前までは一面灰色だった空が、クンペ村に入ったあたりから青くなってきたのを目の当たりにして、星空への期待が膨らみます。
しょぼしょぼしていた目の症状も治ったので、本当にこのあたりの空気はきれいなんだと実感しました。
(電話で教えてくれたお兄さん、少し疑ってごめんなさい)
チェンマイ中心部は、山に囲まれた盆地だから、汚染された空気が留まりやすいのでしょう。
山を越えてきて正解でした。
夕方18時半。
宿の奥さんと娘さんが、食事を運んできてくれました。
通常はコテージのテラスで食べるようですが、この日の宿泊客は私たちだけということもあり、木と竹で作られた展望テラスで食べさせていただきました。
野菜たっぷりの非常にボリュームある食事でした。
ポトフのようなスープは優しい味付けで豚肉も柔らかく、きのこと野菜のオイスターソース炒めはご飯が進んだし、シンプルな卵焼きもふっくらして美味しかったです。
そして、サバのトマト煮缶詰を使ったナムプリックがまた美味しくて、新鮮な野菜をモリモリ食べました。
暮れゆく山と空の景色を眺めながらいただくご飯は最高でした。
麓の暑さが嘘のように、村は涼しくて過ごしやすかったです。
夜は風が少し肌寒いくらいでしたし。
満天の星
美味しい晩ごはんを食べているうちに、すっかり日も暮れました。
いよいよ星空タイムです。
宿自体が小高い丘の上なので眺望が開けており、谷間に点在する民家やお寺などが見渡せます。
そして、重なる山々の上に広がる空には・・・
輝く星たちが!
夏の天の川が南東の空から上がってきました。
山際は野焼きの影響で赤くなっちゃってますけど。
村の反対側にある小高い丘の上にも上ってみました。
そこには、4体の仏像が安置されており(建設途中)、頭上には嘘みたいに輝く星々が散らばっていました。
肉眼で天の川をこんなにはっきり眺められるなんて、信じられない思いでした。
生まれて初めての経験に、ただただ息をのみました。
正直言うと、あんなの写真や映像だけの世界だと思っていたのです。
目の前に宇宙がある、まさにそんな感じ。
いや、私の貧弱な語彙力では到底言い表せないので、多くは書かない方がいいですね。
拙い動画ではありますが、Youtubeにあげたタイムラプスでもみてやってください。
おわりに
今回、楽しみにしていたチェンダオの星空鑑賞は残念ながら叶いませんでしたが、そのおかげで、クンペ村のこんなにも素晴らしい星空に出会えたことは、本当にラッキーでした。
やっぱり、捨てる神あればなんとかですね。
これに味をしめて、もっともっとタイのいろんな星空を開拓してみたくなりました。
またいつかブログにも書きたいと思いますので、その時はお付き合いください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ではまた。