ここのところ、タイでも日本でも、新型コロナウイルスに関する報道ばかりで、気が滅入りがちです。
いつになったらこの新型肺炎騒ぎが収束するのか、誰も予想がつかないまま不安が募ります。
それでも、必ずいつか事態が好転することを信じて、少しでも明るい気持ちでいたいものですね。
ということで、一足先に明るい春の話題を。
本当の開花は1か月ほど先のことではありますが、去年、母と訪れた穴場的桜の名所の紹介をしたいと思います。
滋賀県北部の高島市にある、田んぼの中の一本桜「竹生の桜(ちくぶのさくら)」と、その近くの古刹「酒波寺(さなみでら)」です。
いずれも江戸彼岸桜(エドヒガン)が見事でした。
竹生の桜(ちくぶのさくら)
その日、母と2人で琵琶湖に浮かぶ竹生島の宝厳寺(西国三十三所霊場のひとつ)へ参拝に行った帰りに、今津港から何の変哲もない田畑が広がる場所へ車で向かいました。
目的は、田んぼの中に凛と立つ樹齢200年超えの一本桜「竹生の桜」を見に行くためでした。
この「竹生の桜」と呼ばれる桜は、現在私たちがよく目にする「ソメイヨシノ」ではなく、「エドヒガン」という種の桜です。
エドヒガン(=江戸彼岸桜)は、桜の野生種の一種で、江戸でお彼岸の頃に咲くことからそう呼ばれてきたらしく、品種改良されたソメイヨシノのお母さんにあたるそうです。
滋賀県北部のこのあたりには江戸彼岸桜がたくさん分布しており、その中でも周りに田畑しかない中で堂々と咲き誇るこの桜は、なかなか見事とのことで、ぜひ見てみたかったんです。
農道のようなところをひたすら走ります。
その日、ほとんど観光客らしい人は見かけませんでしたが、私が竹生の桜を鑑賞している間、立派なカメラを持ったカメラマンが2人ほどいらっしゃったので、写真家や桜愛好家の方の間では有名なんでしょうね。
そんな写真家の方々には到底及びませんが、以下、私が撮った写真で少しでも雰囲気を感じていただければと思います。
ちなみに、「竹生の桜」の名前の由来は、この江戸彼岸桜の巨木越しに、遠く竹生島が見えることから、そう呼ばれるようになったとのことです。
わかりにくいかも知れませんが、ちゃんと竹生島が見えるんですよ。右下にほんの小さく!
もっとも、桜越しの竹生島がきれいに見えるのは、少し西側を走るバイパスのあたりかららしいですが。
長閑な田園風景の中の桜は見事で、日本の原風景を見ているような、あたたかな気持ちになりました。
酒波寺の桜
竹生の桜を後にして、次に向かったのは、車で数分の場所にある青蓮山・酒波寺です。「せいれんざん・さなみでら」と読みます。
奈良時代に、行基によって開山されたといわれる古刹です。
今では参拝客もまばらな、こじんまりとしたお寺の雰囲気ですが、創建当時はたくさんの僧坊を抱える大きな寺院だったようです。
室町時代に焼失した後、江戸時代に再建され、真言宗智山派・京都智積院の末寺となりました。
酒波という名前の由来は、昔この辺りに住む大蛇に酒を飲ませて退治したという話からだそうです。
酒波寺の朱門から延びる参道の両脇には、桜が植えてあります。(これらは、おそらくソメイヨシノ)
満開の桜並木の参道をまっすぐ歩いて行きます。
ここの桜の間からも小さく竹生島が見えました。その奥は伊吹山。
動画でも撮ってみました。
春爛漫な雰囲気が伝わるでしょうか。
うぐいすも鳴いてます。
観音堂に続く階段の途中に、行基桜と呼ばれる見事なエドヒガンの老木があります。ここでも江戸彼岸桜ですね!
あまりはっきりとわかる写真がなくて恐縮ですが、左側の白っぽい桜のことです。
樹齢400年とも500年とも言われています。
上の写真、行基桜は手前のピンク色の桜ではなく、その後ろの白っぽい桜です。(ほとんど隠れていますが・・・)
下の写真は、山門側から撮ったもので、屋根のした右側に広がっているのが行基桜のエドヒガンです。
こんなにも桜の見ごろの時期だというのに、それほど混雑はしておらず、ゆっくり散策や拝観をすることができました。
個人的に、とても穴場でお勧めの桜の名所です!
<寺院情報>
天台宗智山派
青蓮山・酒波寺(せいれんざん・さなみでら)
所在地:〒520-1651 滋賀県高島市今津町酒波 727
TEL:0740-22-0338
アクセス:【公共交通】JR湖西線近江今津駅から高島市コミュニティバス(湖国バス)酒波下車、徒歩5分
【自動車】国道161号線(湖北バイパス)「日置前ランプ」出口から数分
駐車場:無料
おわりに
1人暮らしの実家の母とは、頻繁にライン通話で連絡を取り合っていますが、
「連日コロナのニュースばかりで、気持ちがしんどくなってくる」と言っています。
特に夜は不安になるし、週に3回の楽しみにしていた体操教室も少し前からお休み、近所のスーパーへ行くのも診療所へ薬をもらいに行くのも、少しためらってしまうと・・・。
今回は、そんな母と去年の4月に訪れた滋賀県北部の桜を思い出しながら、また今年もどこかへ一緒にお花見に出かけられたらいいなという気持ちも込めて書きました。
「竹生の桜」も「酒波寺」も長閑な雰囲気のいい桜の名所でした。
みなさん、それぞれ大なり小なり不安な気持ちを抱えてお過ごしだと思います。
だから、少しでもあたたかい気持ちになってもらえたらいいなと。
私自身、昨今のタイ政府による入国制限の動向を見ていると、4月の一時帰国が実現するのかどうかもあやしくなってきています。
それでも、色んな意味で「春の到来」への希望を持ちながら過ごしたいと思います。
お読みいただきありがとうございます。
ではまた。
(本記事の写真と動画の撮影日は、2019年4月12日です)