先日、久しぶりに火山エビを食べたくなってナコンパトムの有名店へ向かったのですが(その時の火山鍋蒸し焼きエビ記事はここ)、せっかくなので近くにある、気になるお寺にも行ってきました。
このお寺、ピンクの塔に巻きついた巨大龍のインパクトが凄まじくて目が釘付けになること請け合いです。
バンコクからラーチャブリー方面に向かう幹線道路(4号線)からもチラッと見えるので、もしかしたら同じように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
では、さっそく紹介していきたいと思います。
ワット・サームプラーン
この奇抜なドラゴンタワーがあるお寺の名前は「ワット・サームプラーン(วัดสามพราน)」と言います。
ナコンパトム県のサームプラーン地区にあるお寺で、バンコクからペッチャカセーム道路(4号線)で向かうと、ターチン川を越えたあたりの左手に位置します。
この周辺にはそれほど高い建物がないので、車で走っていると遠くからもピンクの塔に巻きついた龍の姿が見え隠れします。お寺が近づくにつれ、そのインパクトはどんどん増していきます。
これ、もしお寺だと知らなければ、ぜったい最上階には黒い丸縁サングラスにチャイナ服を着た恰幅のいい中ボス程度の男が葉巻くわえて待ち構えている、そんな雰囲気の建物です。(この日は快晴だったので写真が爽やかすぎますが・・・)
このお寺はもともとスダーポーン女史の寄進によって瞑想や仏道の修行場のような施設として1983年にスタートし、その後1985年に初代住職としてプラアチャーン・チャムローン・キッティパンヨー(プラ・パーワナープットー/พระภาวนาพุทโธ)を迎え仏教寺院として登録・創建されました。
※その後、このプラ・パーワナープットーは未成年者淫行・強姦の罪で禁固50年の判決を言い渡され収監されます。この大スキャンダルによって寺は一時廃退しますが、現在はプラクルー・パトムウォーラワット(พระครูปฐมวรวัฒน์)住職の下、仏教寺院としての運営が継続されています。
ドラゴンタワー(龍の塔)
この龍が巻きついたピンクの楼閣は、初代住職が七日七晩の瞑想を行った際に、「龍の僧房を建てよ」とのお告げを夢見たことから建立されることになったそうです。
高さは約80メートルで、梵天界にちなんだ地下1階地上16階建ての塔の周りを昇り龍が取り囲みます。
3階(地上2階)から上は僧房となっているため、特別な日を除いて建物内部(僧房エリア)には入ることはできませんが、地上2階から続く龍の体内を通れば参拝者も屋上階まで上がることが可能なんです。
ちなみに、ピンク色に見える建物ですが、本来は「紅(赤)」を意図しており、吉祥や協調性などを表しているのだそうです。
いやー、それにしても強烈なインパクトですね。もはやインスタ映えとかそういう枠を超えている気もします。
建物にかけた龍の爪といい、地面についた足と爪といい、造形がかなりかっこいいです。みなさん少しでも龍のパワーにあやかろうとお参りされてますね。
入り口で靴を脱いでから地上1階部分に入ってみましょう。
中にはいろいろな仏像が安置されています。
なぜかミャンマー語の案内が目立ったので調べて見たら、このあたりはミャンマー人の出稼ぎ工員たちが多く住む地区らしいですね。
龍の体内通路に入って屋上へ
一階で一通りお参りを済ませたら、さっそく屋上に向かいましょう。
地上2階へ階段で上がると、そこには口を大きく開けたラーフ神(พระราหู [phrá raahǔu])の入り口が。
ここから龍の胴体の中へ入っていきます。(入り口は18時まで開いています)
らせん状に建物に巻きつく龍の体内は、荒いコンクリートのトンネルとなっています。
不潔な感じはありませんが、かといって清掃が行き届いているという感じでもなく、足元のコンクリートもザラザラなので、裸足だと痛くてつらいと思います。
また、おそらく靴下もホコリで汚れたりするかと思いますので、気になる方は古くなった靴下を持参して履き替えたほうがいいかも知れません。
トンネル内には随所に扇風機が設置されているので、それほど暑さや息苦しさは感じませんでした。
何周か回っている間に方向感覚もよくわからなくなり、ちょっと疲れて飽きてきた頃に出口が現れます。
最上階への入り口との間には隙間があって、ここであらためて龍の胴体が建物に接着していない構造なのだと知ります。(強度とか耐震とか大丈夫かいな?まあタイなので言わずもがなですね。笑)
最上階フロアー自体はなんだか殺風景な感じで、特に何があるわけでもなさそうなので、さらにここから一階上に上がってみます。
そこは半屋上的な感じになっており、中央には釈迦誕生時の像が安置されており、周りには壁がなく周囲の景色を見渡せます。
数人の尼さんたちが瞑想をしていました。
そして、この階からさらに急な狭い階段を上がると本当の屋上、龍の頭を望む場所に至ります。
ただし近すぎて龍の表情などはよく見えません。
周りには高い建物がまったくないので、ここからの景色は最高です。
遠くにナコンパトム中心部の大仏塔「プラパトムチェーディー」が金色に輝いているのが見えました。
また、天気が良く澄んだ空の時は遠くラーチャブリーの町までよく見えるそうです。(この日は少しかすんでいたので地平線と空の境界辺りがぼやけていました)
ここには、私たち以外に4、5人の若いミャンマー人のグループがいただけでした。
その日は天気も良くて風が心地よく、なんだか平和な空気が流れていたので、しばらくぼーっとしていたい気分になりました。
境内散策
このお寺、境内のあちこちにある他ではみられないようなデザインやオブジェにも目をひかれます。
龍池の運試しお賽銭。龍が手に持った壺の中にうまくお賽銭が入れば幸運(金運)に恵まれるということらしく、5回チャレンジしてみましたが、全て入らず・・・。
最初この巨人が誰なのかわかりませんでしたが、看板のタイ語「พญายม [phayaayom] パヤーヨム」から閻魔様なのだと後で知りました。それにしても私たちが想像する閻魔様とはちょっと違いますね。
青い眼をした巨大な白象の像。
巨大な孔雀。
波の合間に鯉の橋。
写真は撮り忘れましたが、他にも、突如巨大な亀の建物が出現したり、このお寺に寄付した人たちの手形や足型が足元にびっしり敷き詰めてあったりして驚かされました。
大仏ビル
このお寺のもう1つのシンボルとして、瞑想や修行道場である4階建てのビルの屋上部分に鎮座する大仏が挙げられます。
「ルアンポー・プット―・パーワナー(หลวงพ่อพุทโธภาวนา)」という真鍮製の大仏です。施無畏印(せむいいん)という印相を結んでいます。
土曜日の昼前、私たちと1人の尼さん以外誰もいません。
蓮華座の下には仏教の教えを説いた絵やレリーフや仏像がはりめぐらされ、周回しながら読経したりお布施ができるようになっています。
大仏に向かって左手の堂内には緑色の仏像が安置されていたのですが、このようにうなだれたような姿勢の仏像は初めて見ました。
何か意味のある仏像なのでしょうか。ご存知の方いらっしゃったら教えてください。
一方、向かって右手のお堂には仏塔が納めされているのですが、両脇に僧侶たちの蝋人形が並んでおり、知らずに入ると肝を冷やします。
仏塔はかなり立派で、周囲にはめ込まれた無数の仏像は、どこかしらガンダーラ仏を彷彿とさせる少し彫の深いお顔でした。
お参りを済ませお寺を後にした私たちは、近くの食堂で軽くクイッティアオ麺を食べ、次の目的地へと向かいました。
まとめ
バンコクの隣県ナコンパトムにあるワット・サームプラーン(ワット・サンプラン)は、ガイドブックに載ることもなく、外国人観光客もほとんど見かけない寺院ですが、龍の塔をはじめとして、奇抜な建物やオブジェが盛りだくさんの不思議な空間です。
もちろん、宗教施設ですので、ふざけた気分で行ったり不謹慎な言動は厳禁ですが、興味ある方は、寺院に敬意を払いつつ、ぜひ一度、見学・拝観しに行かれてみてはいかがでしょうか。
お寺情報と行き方
最後に、お寺の住所と行き方を書いておきます。
(タイ人にはこの下のタイ語を見せると便利です)
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วัดสามพราน (Wat Samphran)
โทร. 034-321-888~9
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私たちは車を運転して行きましたが、バンコクからはバスでも行けます。
BTSシーロム線の『クルントンブリー駅』または『バーンワー駅』から84番の黄色のエアコンバスで『サームプラーン(สามพราน)』行きに乗れば、一本で行けます。
<バンワー駅から>
距離的にサームプラーンに近い最寄り駅としてはバンワー駅(Bang Wa)となります。4番出口付近のバス停に向かい、84番のバスが来たら乗ってください。
<クルントンブリー駅から>
※【2018年11月10日追記 】
現在クルントンブリー駅前はモノレール工事による車線制限もあり、84番バスが待機していることはまずありません。
(巡回してきたタイミングで通常の昇降停車するだけです)
よって、クルントンブリー駅から乗るメリットはほぼないので、時間短縮の観点からバンワー駅を起点にするほうがいいです。失礼しました。
84番のバスの始発がクルントンブリー駅(Krung Thonburi)なので、バス停にバスが待機している可能性が高いです。
バンワー駅でいつくるかかわらないバスを待つのは心細いという方は、多少時間がかかっても手前のクルントンブリー駅からバスに乗るのもありかと思います。駅の3番出口を降りたところのバス停から出発します。
(お寺の入口)
いずれのバス停から乗ってもいいのですが、降りるのはほぼ終点近いバス停(終点2つ手前)となります。
車掌さんにあらかじめ上のお寺のタイ語を示すか、ドラゴンタワーの写真を見せておけば絶対にわかってくれるので、バス停に着いたら教えてもらいましょう。バス停からお寺までは徒歩ですぐです。
また、タクシーでさくっと行ってしまいたいという方も、上のタイ語を見せればわかってもらえるはずです。
ではまた。