こんにちは、まなおです。
今日、バンコクの自宅ベランダで栽培しているイチジクの植え替え(定植)をしました。
そうなんです、私、現在、タイでイチジク栽培にはまっているのです。
イチジクなんて畑や庭がないと育てられないと思っていたんですが、鉢植えで十分収穫ができるらしいと知り、挑戦しております。
苗購入から4週間近く経った今、備忘録も兼ねて栽培記録を書いておきたいと思います。
- いちじくのこと
- イチジクの苗購入
- 苗木到着
- 根の育成(仮植え)
- 途中経過(約1週間)
- 途中経過(2週間)
- 定植(本植え)
- 取り木苗植え付けマニュアル(まとめ)
- 園芸関連タイ語
- コロナ禍下でのささやかな楽しみ
いちじくのこと
私にとってイチジク(無花果)といえば、昔、おばあちゃんの家でよく食べた記憶が残っており、郷愁をそそる懐かしい果物です。
タイでは、ドライフルーツになっているものや、お洒落なスイーツに使われているのはたまに目にしますが、一般的なフルーツ屋さんで生のイチジクを買って食べた記憶はありません。
ところが、チャトゥチャックの植木市や、サナームルアン2の植木市場で、数は多くないものの、鉢植えのイチジク苗を売っているのを目にしたことから、タイでも栽培ができるのだと興味を持ちました。
イチジクは、日本語ではカタカナで書かれたり「いちじく」とひらがなだったり、「無花果」と漢字で書かれたりもします。
英語では「fig」ですね。
タイ語では「มะเดื่อ(マドゥア)」とか「มะเดื่อฝรั่ง(マドゥア・ファラン)」と呼ばれます。
ネットでタイにおけるイチジク栽培の情報を検索すると、Youtubeでもいくつかの栽培農家や愛好家のチャンネルを見つけることができました。
イチジクと一言にいっても、いろんな種類があるんですね。
今回、情報収集をする中で初めて知りました。
実の表皮にしても、黒や紫っぽいものから緑や白っぽいもの、縞模様なんかもあり、果肉の糖度や酸味も品種によってそれぞれ特徴があるようです。
イチジクの苗購入
今回、私が購入した苗は、「取り木」という方法で発根させた苗でした。
取り木というのは、人工的に植物を増やすテクニックのひとつです。
「挿木」という言葉は聞いたことがある方も多いと思いますが、挿木はその名前の通り、木(親株)の枝や幹を切り取って土に挿しておくことで発根させる増やし方です。
一方、「取り木」というのは、親株の枝や幹を切ってしまわずに、表皮の一部を削って、そこに水苔や土を巻きつけて数週間から数ヶ月放置しておくことで、その部分から発根させる方法です。(つまり、木の枝や幹の途中から根っこが生えてくるイメージ)
根っこがある程度育ってきた時点で本体から切り離し、独立した苗として植え付けます。
取り木のうんちくはこれくらいにして、実際に私が購入した方法について。
今回、私はタイの大手ネット通販(EC)サイトの「Shopee」で購入したわけですが、ネットで取り木苗を購入したことにそれほど大きな理由はありません。
強いていえば、
- 植木市場で扱っている苗の品種にバリエーションが少なかった。
- 植木市場の苗にはすでに実がついており、自分で育てたという感覚が低くなる気がした。
- Shopeeの苗の方が安かった。(1株150〜250バーツ。品種による)
程度のことです。
むしろ、取り木の苗であることは後から知ったくらい。
Shopeeの販売店ページではいくつかの品種が販売されており、私なりに調べて4つに絞りました。(そのうち1つは根の発育がまだ十分ではないため、整ってから発送してもらうことになっています)
選んだのは、以下の4種。
- Black Jack・・・ブラックジャック。アメリカ原産の夏&秋果。果皮は黒系(紫系)で、実は大きく豊産性らしい。
- Alma・・・アルマ。アメリカで品種開発された夏&秋果。果皮は緑系(黄系)で、果実の目(茎の反対側に開く穴)が小さく虫や雨による被害を受けにくいらしい。甘い。
- Panachee (Tamari)・・・パナチー。秋果。「ゼブラスイート」とか「タイガーフィグ」とか「テマリ(手毬)」などとも呼ばれ、果皮は緑と黄色の縞模様が入るユニークな見た目のイチジク。糖度も高くクリーミーで美味しいらしい。
- Petite Negra・・・詳細は分からないが、小さな黒系(紫)の実がなるよう。発根が不十分なため出荷待ち。
苗木到着
2021年5月18日
販売店から苗木が届きました。
発注した2日後には届いていたので、タイにしてはかなり対応早かったです。
梱包は丁寧で、しっかりしていました。
段ボールの箱を開けると、部屋中にイチジクのとてもいい香りが充満。
枝にはたくさんの実が付いていますが、これは親株の栄養の下で育ってきた果実なので、親株から切り離された今は、残念ながら、このまま放置しても熟すことはまず見込めません。
もったいない気持ちでいっぱいですが、この実は後ほど全部取り除きます。
送られてきた苗木はまだ親から離れたばかりの、言わば、赤ちゃんみたいな存在ですから、まずは成長に不可欠な水や栄養を吸収する根っこを十分に育成する必要があるのです。
動物で例えると、食べたり飲んだりする口(根)がまだしっかりできていないのに、体や頭(葉や幹、果実)ばっかり大きくて栄養を必要とされたら、生きていけませんもんね。
なんて、わかったようなことを書いていますが、実は、今回イチジクの苗木を買うまでは「取り木」なんてほぼ知らなかったし、親株から離したばかりの苗の育成方法などに至っては全く知識がありませんでした。
ですから、購入したショップに、Shopeeアプリのチャットを通じて問い合わせ、苗木の植え方と育て方を教えてもらったんです。
(通常は、商品と一緒に簡単な栽培マニュアルを同梱しているらしいのですが、私の箱にはその紙を入れ忘れたようで、チャットで詳細を送ってくれました)
今回、私は、基本的にこの方のマニュアルに従って育成しました。
※教えてもらった苗木の仮植えから定植(本植え)までの方法は、下でまとめて書いておきます。
その夜は、とりあえず簡単に苗の水分補給だけしておいて、翌日から根っこの育成に取りかかることにします。
根の育成(仮植え)
2021年5月19日
会社から帰って来たら、早速、根っこの育成をするための仮植え作業に取り掛かります。
昨夜から水に浸けておいた細かい椰子殻チップ(มะพร้าวสับเล็ก)と、腐葉土と、8インチの鉢(6〜7号程度?)を準備します。
マニュアルには、椰子殻チップを水に浸けておく理由は特に書いていませんでしたが、ヤシの殻の繊維部分には、根の発育を阻害することもあるタンニンが多く含まれるので、最低一晩は水に浸けてアクを抜いておくということじゃないかと思っています。
(日本の園芸関連サイトでは、3日とか書いてあるものもありました)
準備が整ったら、さっそく作業を始めます。
上にも書きましたが、根の発育に集中するため、無駄な栄養を必要とする果実や大きな葉は全て落とします。
(内心は、『あーもったいない・・・』って泣いてます)
椰子殻チップと腐葉土を8:2の割合で混ぜて、あらかじめ鉢の底に少し入れておきます。
根っこの部分に巻かれたビニールを慎重に剥がします。
白い根っこが見えています。
付いている土はそのままにして鉢に入れ、上から土を被せていきます。
根を傷つけないように土を隙間なく入れたら、水をたっぷりやります。
しばらくして鉢の底から水が流れなくなったら、ビニール袋で鉢全体を覆い幹の根元で結んでおきます。
こうすることで、水分の蒸発を防ぎます。
そして、このまま水を与えず、2週間直射日光の当たらない場所に置いておくのです。
植物の根は、水が乾きそうになる時に水を求めて根を伸ばすらしいので、ゆっくりゆっくり水が乾燥するような状況にして根を張らせるということなんでしょうかね。
ちなみに、マニュアルでは「木陰に置く」と書いてありましたが、うちのベランダには木陰と呼べるようなところがないので、できるだけ直射日光の当たりにくい手前の部屋側に置いておきました。
今回、私はたまたま部屋にたくさんあった、Don Don Donki(バンコクのドン・キホーテ)のレジ袋を使いましたが、後から思えば、このドンキのレジ袋が良かった気がします。
実際に検証はしていないものの、シルバーっぽい色のレジ袋は光を通しにくく、中の温度があまり上昇しない効果があったのではないかと思っています。
これから2週間放置するわけですが、一応、水分の蒸発具合を把握するために、現時点での体重測定をしておくことにしました。(たぶん体重とは言わない)
・panachee 1546g
・black jack 1706g
・alma 1529g
途中経過(約1週間)
2021年5月27日
仮植えしてから約1週間経ったので、再び体重測定をしてみました。
・panachee 1246g (-300g)
・black jack 1623g (-83g)
・alma 1290g (-239g)
株によってばらつきがありますね。
重さを測ってみたところで、正直、これが正常の範囲内なのかどうかわかりません。
葉の様子をみたところ、どれもそこまで水が枯渇しているようにも見えず、むしろ生き生きとしているように感じられたので、とりあえずそのままあと1週間様子を見ることにします。
ブラックジャックは、脇の枝の先に残していた葉は枯れてしまったのですが、その下から別の小さな葉が芽吹いてきていたり、他の節からも芽ができてきたりしていたので、問題ないと判断しました。
ブラックジャックの重さ(つまり水分)があまり減っていないのは、おそらく葉が落ちたことにより、葉からの蒸散が減ったからでしょうかね。
途中経過(2週間)
2021年6月1日
ちょうど2週間経ちました。
みんな元気です。
レジ袋を外して鉢を観察してみると、いくつか表面にのぞいた根を確認できました。
(写真で細い髭のように見える白いのはヤシの繊維です)
今回も同様に重さを測ってみました。
最初の重さから200gちょっと減っているものから500g近く減っているものまであります。
・panachee 1064g (-482g)
・black jack 1481g (-225g)
・alma 1152g (-337g)
マニュアルでは、「2週間経って土が乾いていたら水を与え、さらに2週間育成する」と書いてありますが、どのレベルが乾いているのかがよくわかりません。
ただ、このままあと2週間も水なしだとかわいそうな気がしたので、とりあえず全部の鉢に水を与えました。
単なる私の勘というかフィーリングです。
そして、再びドンキのレジ袋で鉢を包んで、重さを測っておきました。
・panachee 1237g
・black jack 1659g
・alma 1333g
これで、あと2週間経ったらいよいよ大きな鉢に植え替えです!
あ、そうそう。
大事なことを書くの忘れてました。
この時に与えた水は、ただの水ではなくて、以前タイで購入した植物の活力剤「ไฮรูท-V」(ハイルートV)というのを入れた水でした。(肥料ではありません)
これは、もらったマニュアルにはない、全くの私の勝手な判断なんですが、ハイルートVの用途説明に「挿木や取り木に有効」と書いてあったので、使ってみることにしました。
もし仮にこれが凶と出た場合も、自己責任だと思えるから大丈夫と納得した上でのトライです。
結果、特に問題なかったです。
かといって、比較対象がないので効果があったかどうかも不明ですが。٩(^‿^)۶
定植(本植え)
2021年6月12日
前回から11日経過した今日、まだ2週間には至ってないのですが、平日はどうしても時間的に余裕がないので、週末を利用して定植(大きい鉢に植え替え)してしまうことにしました。
3日早いくらい、問題ないでしょう。
最初に仮植えをしてから、26日経ちました。
植え替える前に、一応、恒例の体重測定もしておきます。
・panachee 906g(-331g)
・black jack 987g(-672g)
・alma 881g(-452g)
今回、今までとは逆転の状況が発生しました。
ブラックジャックが一番減ってました。
この後半戦、ブラックジャックはたくさん芽を出して葉もつけたので、やはり葉からの蒸散が激しかったのでしょうね。
さて。
では、いよいよ植え替えをしていきましょう。
準備したのは、
- 9インチの鉢(直径約23センチ。7.5号程度?)
- 培養土(椰子殻チップ3:牛糞3:赤玉土1:腐葉土1の割合で調合)
です。
ちなみに、培養土の配合は、若干、まなおオリジナル調合となっています。
マニュアルでは細かい椰子殻チップと牛糞と砂または土となっていたので、砂の代わりに赤玉土と腐葉土にしてみました。
(日本のイチジク栽培の土情報を見ると、赤玉土が大多数を占めていたりするんですよね)
鉢底石(軽石)を入れて、下に少し培養土を入れておきます。
仮植えの鉢から苗をゆっくりと引き抜くと、びっしりと根が張っている…というわけではもちろんありませんが、いわゆる「根鉢(ねばち)」がかろうじてできるくらいには根が回っていました。
根を崩して植えるのが(根を傷つけそうで)怖かったので、ほぼそのまま9インチの鉢にすっぽりと入れ、周りの隙間に培養土を補充しつつ、箸で隙間を埋めるように突きながら周囲をしっかり押さえて植えつけました。
水をたっぷりやった後、最後に100倍に希釈した「メネデール」(活力剤)を与えました。
今回「ハイルートV」ではなく「メネデール」だったのは、単に、先週メネデール液を通販(Lazada)で入手して使ってみたかったからです。
どうかみんな元気に育ってくれますように!
取り木苗植え付けマニュアル(まとめ)
今回、イチジクの取り木苗を購入したショップが教えてくれた植え付けマニュアルをまとめておきます。
ただ、イチジクに限らず、植物の植え方や育て方といった園芸マニュアルに正解というものはなく、人によって、環境によって、材料も方法も変わってきますので、「タイのとある栽培農家ではこうしていますよ」という、一例としてご覧ください。
※実際、根の育成のための仮植えはせず、いきなり本植えをして、特に問題なく育ててる方もいらっしゃるようです。
<取り木したイチジクの育成>
◆仮植え
根の育成資材
・細かい椰子殻チップ(一晩水に浸けておく)
・腐葉土(なければ椰子殻チップだけでも可)
・8インチ鉢(6〜7号鉢程度)
- 先端の若葉2、3枚だけ残して、葉と実を取り除く。(成熟した枝であれば全部取り除いてもいい)
- 細かい椰子殻チップ8割、腐葉土2割で培養土を作る。(フワフワで通気性よく)
- 根に巻いたビニールを剥がす時に根を傷つけないように注意して取り出し、8インチの鉢に取り木した苗を入れ、準備しておいた培養土を入れる。水をたっぷりかけてから水を切る。
- 袋を準備して鉢を覆い、根を保湿する。木陰に置き水は与えない。
- 2週間経ったら、根の張り具合はどうか?鉢が軽くなっていないか?などを確認して、土が乾いていたら水をやり、さらに2週間おいたら、大きな鉢に植え替える。
◆定植
取り木したイチジク苗の根の育成が完了したら、以下の培養土を準備する。
・細かい椰子殻チップ:2
・牛糞:2
・荒砂:1(なければ土)
上記を配合して、大きめの鉢に植え替える。
流れとしては、以下の通りです。
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仮植え→2週間日陰で放置→途中観察(給水)→さらに2週間放置→定植(本植え)
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園芸関連タイ語
今回のイチジク栽培に関するタイ語をピックアップしてみました。
興味のない方はスルーしてください。(ほぼ私の備忘録です・・・)
- イチジク=มะเดื่อ(マドゥア)、มะเดื่อฝรั่ง(マドゥア・ファラン)
- 挿木=ไม้ชำ(マイ・チャム)
- 挿木する=ชำ(チャム)
- 取り木=กิ่งตอน(キン・トーン)
- 植木鉢=กระถาง(グラターン)
- (植物に)水をやる=รดน้ำ(ロット・ナーム)
- (根や幼苗などを)保育・育成する=อนุบาล(アヌバーン)
- 腐葉土(ネムノキ属の発酵した木の葉のみ)=ใบก้ามปูหมักร่อน(バイ・ガームプー・マック・ローン)※ふるいにかけてあるので比較的細かい
- 腐葉土(ネムノキ属の木の葉を混ぜた土)=ดินใบก้ามปู(ディン・バイ・ガームプー)
- 発酵させる(堆肥など)=หมัก(マック)
- 堆肥=ปุ๋ยหมัก(プイ・マック)
- 化学肥料=ปุ๋ยเคมี(プイ・ケーミー)
- 椰子殻のチップ=มะพร้าวสับ(マプラーオ・サップ)
- 椰子殻の繊維クズ=ขุยมะพร้าว(クイ・マプラーオ)
- 培養土(培養土の調合資材)=ดินปลูก(ディン・プルーク)、วัสดุปลูก(ワッサドゥ・プルーク)
- 牛糞=ขี้วัว(キー・ウア)、มูลวัว(ムーン・ウア)、มูลโค(ムーン・コー)
- 鶏糞=ขี้ไก่(キー・ガイ)、มูลไก่(ムーン・ガイ)
- ミミズの糞(堆肥や=มูลไส้เดือน(ムーン・サイドゥアン)
コロナ禍下でのささやかな楽しみ
もともと自宅に引きこもるのもまんざら嫌いではない性格ですが、今はイチジクをはじめとする園芸にはまっているので、水やりや成長観察などが楽しくて仕方なく、さらに引きこもりに磨きがかかってきました。
まあ、こんなご時世ですから、自宅での楽しみが増えるのは「旅行できないストレス」の軽減になっていいです。
目下の心配事は、うちのベランダは若干日当たりが悪い(午前中の直射日光が当たらない)ので、うまく結実してくれるかということです。
すくすく育ってくれるといいなあ。
ではまた。