siam manao-life

バンコク生活の中で気づいたことや感じたことを書き連ねます。タイの生活情報やタイ語のあれこれ、タイ国内旅行、近隣諸国訪問なども織り交ぜながら。

古代仏教美術の至宝【シュリーヴィジャヤ様式の観音菩薩像/バンコク国立博物館】

※ 当ブログにはプロモーションが含まれています

スポンサーリンク

タイ南部で7世紀から12世紀頃にかけて繁栄したシュリーヴィジャヤ王国。
その時代の至宝とも呼べる美しい観音菩薩像がバンコク国立博物館に所蔵されています。


f:id:manao-life:20240606185713j:image

シュリーヴィジャヤ王国

タイ族による国の興りは、13世紀に現在のタイ北部地方の南半分にあたる地域を統一したスコータイ王朝といわれています。

ただ、当然のことながら、それ以前にも現在のタイの国土にあたる部分には人々が住んでおり、異民族による支配が行われていました。
大雑把に遡れば、スコータイ王国の前はクメール王国、ドヴァーラヴァティー王国、シュリーヴィジャヤ王国といった古代国家が存在していたことになります。
また、ラヴォ王国、ハリプンチャイ王国といったドヴァーラヴァティー王国から派生する諸王国も誕生しています。

この中でも、比較的古い時代に成立したのが、シュリーヴィジャヤ王国です。
7世紀から12世紀頃にかけて現在のスマトラ島やマレー半島を中心に栄えたマレー系の海洋国家で、タイ南部スラータニー県のチャイヤーはその主要都市でした。(主都であったというう説もあるそうです)

そのチャイヤー郡にあるワット・ウィアン寺院出土のシュリーヴィジャヤ様式の仏像が、今回ご紹介する観世音菩薩胸像です。


博物館南ウイング(古代王国時代)

バンコクの国立博物館には、タイ全土から集められた貴重な美術品や芸術作品が展示されており、どれも非常にすばらしく見応えがあるのですが、この中のとある観音菩薩像は、特に私が目を惹かれた仏像のひとつでした。

f:id:manao-life:20240606190252j:image

博物館の南ウィングにあたる、マハースラシンハナート館(Maha Surasinghanat Building / อาคารมหาสุรสิงหนาท)の401号室~406号室では、スコータイより前の時代の古代王国における仏教美術を中心とした展示が行われています。
仏像や仏教美術好きの方にはたまらない展示館です。

入口にある、インド・パキスタン出土のガンダーラ仏からワクワクしてしまうこと間違いなしです。


f:id:manao-life:20240606190320j:image

f:id:manao-life:20240606190324j:image



他にも、それはそれは見どころ満載の展示物がずらーっと並ぶわけですが、それらについてはまたいつか機会があったら紹介したいと思います。


f:id:manao-life:20240606191612j:image

f:id:manao-life:20240606191615j:image



ちなみに、前回紹介したクメール・バイヨン様式の観音菩薩像(ムアンシン遺跡出土)もこのエリアに展示されています。

www.manao.life


今回はシュリーヴィジャヤ王国時代の観音菩薩像に焦点を当てていきます。


シュリーヴィジャヤ様式の観音菩薩

南ウイング展示館の終盤、ひと際目を惹かれる仏像がありました。
それがシュリーヴィジャヤ様式の観世音菩薩の胸像です。

f:id:manao-life:20240606190607j:image

観世音菩薩胸像
Phatthamaphani  Bodhisattva (Avalokitasavara  Bodhisattava)
8~9世紀・青銅製


伏し目がちで口角を少し上げたミステリアスな表情(慈悲深い表情というべきか)としなやかによじった体躯の美しさ。

f:id:manao-life:20240606190530j:image


f:id:manao-life:20240606190723j:image

f:id:manao-life:20240606190720j:image



豪華な装飾品も気品があります。

f:id:manao-life:20240606190809j:image

宝冠をいただき、瓔珞(ようらく)を首から掛け、二の腕には臂釧(ひせん)というアームレットを付けています。
この腕輪、とてもかっこいいですね。

f:id:manao-life:20240606190846j:image

肩から斜めに掛けた天衣(てんね)の紐に羚羊(カモシカ)があしらってあることから、観世音菩薩であると見なされるそうです。
(ボランティア日本語ガイドツアーに参加した時に教えていただきました)

f:id:manao-life:20240606190929j:image

 

同じフロアーには、別のシュリーヴィジャヤ様式の観音菩薩像も展示されていました。
こちらは足の部分まで残っている立像です。

f:id:manao-life:20240606191010j:image

八臂の観世音菩薩立像
Bodhisattva Amoghapasa (Eight-armed Avalokitesava)
8~9世紀・青銅製




装飾品や首から垂らした巻き毛など、上の観音菩薩胸像と似ていますね。
ただ、こちらは八本の腕(臂)を持つ観音菩薩像で、宝冠の上の螺髪部分(髪を結っている部分?)に化仏が見られます。

f:id:manao-life:20240606191031j:image

この観音様も非常に豪華で素晴らしいのですが、やや粗削りなそのお顔やほぼ直立なお姿から、しなやかさや繊細な美しさという点においては、先の観音菩薩胸像に軍配が上がるかなというのが私の個人的な感想です。


◇◇◇
お恥ずかしながら、私は美術・芸術の知識が浅く審美眼も持ち合わせていないので、(自分で取り上げておいて)たいした紹介もできませんことお詫びいたします。
ご興味をお持ちになった方は、ぜひバンコク国立博物館へ足をお運びの上ご自身の目でお確かめいただければ幸いです。

なお、水曜日と木曜日に日本語ボランティアガイドツアーが行われています。
とても分かりやすく丁寧な案内をしていただけますので、都合があえばぜひ参加なさることをお勧めします。
(私も以前参加させていただき、とても有意義な時間を過ごせました)
詳細や参加に関するお知らせは、下記でご確認ください。
https://www.facebook.com/hakubutsukan/
◇◇◇


<施設情報>
---------------------------
バンコク国立博物館
พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติพระนคร
Bangkok National Museum
所在地:ซอย หน้าพระธาตุ แขวงพระบรมมหาราชวัง เขตพระนคร กรุงเทพมหานคร 10200
    Soi Na Phrathat, Phra Borom Maha Ratchawang, Phra Nakhon, Bangkok 10200
TEL:02-224-1370
入館料:外国人200THB(タイ人30THB)
時間:09:00-16:00
休館日:月曜日、火曜日、祝日
日本語ボランティアガイド(無料):水曜日と木曜日の9時30分~
https://www.facebook.com/hakubutsukan/
---------------------------


以上、シュリーヴィジャヤ様式の観世音菩薩像の紹介でした。


ではまた。