棚田。
それは、現代の多くの日本人が郷愁や憧れの念を伴って思い浮かべる、日本の原風景のひとつでしょう。
また、棚田は、米を主食とするアジア諸国共通の原風景でもあるのかもしれません。
私自身、日本をはじめ、バリ島の山間部やタイ北部の山々に広がる棚田へ、癒しを求めてあちこち訪れてきました。
そして今回、ベトナムの奥地にある世界で最も美しい棚田のひとつ「ムーカンチャイ」(Mù Cang Chải)へと足を運びました。
ムーカンチャイへ
私がムーカンチャイという場所のことを知ったのは、2年ほど前。
SNSでたまたま見かけた棚田がとても美しく、ネットで情報を探しました。
ベトナムの棚田と言えば、サパという地区が有名ですが、「サパよりも美しい」という評判を目にしたり、「サパのイメージ画像に使われている棚田は、実はムーカンチャイの写真だったりする」というような話も見聞きする中で、どんどんムーカンチャイへの興味が膨らんでいきました。
そして今年、やっと念願の「秘境ムーカンチャイ旅行」が叶うことになったのです。
稲刈り直前のベストシーズンであり、かつ、新月に近く星空観賞にも好条件の9月後半にバンコクからベトナムへと旅立ちました。
バンコクからハノイ空港まで
まずは、バンコクのドンムアン空港からエアアジアでハノイのノイバイ国際空港まで。
ノイバイ空港8時30分到着予定のフライトで、その後のスケジュールがタイトだったため、遅延しないかどうか気がかりでしたが、ほぼ定刻通りの着陸で一安心。
空港内に入って動く歩道を進んでいくと、入国審査エリアの前には私の名前を掲げたスタッフが待っていてくれました。
今まで、個人的にはハノイの入管で長時間並んだ記憶はないのですが、一部ネットでは時間帯によっては1時間近くかかったという話も目にしたので、心配性な私は、念のために優先入国(ファストトラック)サービスを申し込んでいたのです。
結局、その朝の入管もたいして混雑はしていなかったので、さほど優先入国の恩恵にはあずかれなかったものの、待ち時間ゼロの上、審査自体も迅速で(復路のチケットをこちらから見せたら「いいよいいよ」というふうに係官に微笑まれたくらい)、何より安心感があったので後悔はありません。
預け入れ荷物もなかったので、そのまま到着ロビーを通過。
両替屋さんやSIMを販売する通路の一角にあるATMでベトナムドンを引き出しておくことにしました。
手数料が最も安いという「AGRI BANK」のATMには長蛇の列。みんな考えることは同じなんですね。
ただ、時間が気になる私たちは、多少の手数料は目をつむることにして、隣の誰も並んでいないATMで(タイの銀行ATMカードを利用して)お金を引き出しました。
後から思えば、ハノイ空港の両替屋さんのレートも悪くはなく、銀行間のレートや手数料なんかを考えたら、タイバーツの現金を両替してもらったほうがよかったかもです。
なにはともあれ、両替が済んだら、そのまま外へ出て10番の柱へと向かいます。
あらかじめ予約してあった空港送迎サービスの運転手さんとの待ち合わせ場所です。
KLOOLで予約したのですが、前日と当日朝にも現地手配会社からWhatsAppで確認メッセージが届いたり、空港に降り立った時点でドライバーさんからもメッセージが届いたりと、なにかと安心。
現地のタクシーで慣れない行き先を伝えたりぼったくりを心配する必要もないし、Grabとも料金は大して変わらずだし、なにより名前を書いた紙を持って待機してくれており時間をロスすることもないため、私は東南アジア諸国を旅行するときはよくこの空港送迎サービスを利用します。
Klook.com
ミーディンバスターミナルへ
ハノイ空港で無事に空港送迎のドライバーさんと落ち合った私たちは、車に乗ってミーディンバスターミナル(Bến xe Mỹ Đình)へと向かいました。
Googleマップで確認したところ、ハノイ名物の渋滞もそれほど酷くないもようで一安心。
優先入国審査や事前の空港送迎予約など、私ができるだけ時間を節約したかった理由が、ハノイ市内からムーカンチャイへ向かうバスでした。
ハノイからムーカンチャイへ向かうバスはいくつかあるのですが、片道7~8時間かかることもあり、どちらかというと夜行便がメインのようで、私たちが希望する朝便はそれほど本数が多くありません。
しかも、今は棚田収穫期のベストシーズンということもあり、バスは満席になることが予想され、当日では買えない可能性があります。
なので、私たちは予約してある宿の方にお願いして、バスのチケットを購入してもらっていたのです。
だから、10時10分発のバスには、なんとしても乗車したかったわけなんです。
なお、ハノイからムーカンチャイへ個人で行く場合、自家用車やレンタカー、運転手付き送迎サービス等を利用するか、公共交通機関としては長距離バスを利用するかとなるのですが、この長距離バスの予約が外国人にとっては若干ハードルが高いようです。
この辺りの事情は下のサイトの情報を参考にさせていだたき、宿の方に予約をお願いしたしだいです。
(その他ムーカンチャイに関するさまざまな情報も、yukaさんのnoteをとても参考にさせていただきました。ありがとうございます!)
手前で少し渋滞はあったものの、9時半には無事ミーディンバスターミナルに到着。
空港着陸から市内のバスターミナルまでちょうど1時間って、かなり優秀だと思います。

トイレを済ませたら、バスの中で食べるパンを買って、奥のバス乗り場へと向かいました。
どのバスだろうとキョロキョロしていると、一人の青年がスマホの画面を見せてきました。
そこには、何やらチャットの画面が表示されており、私の名前が書かれていたんです。
宿のオーナーがバス会社に私の名前を伝えてくれていたんですね。優しい。
(チケットはおそらく宿の方の名前で予約していたのかと)
「そうです」と頷いたら、バスへと案内してくれました。
バスに乗り込んだのは発車30分前でしたが、既にたくさんの人が乗っていました。
いわゆる「スリーピングバス」という仕様で、ほぼフラットに横たわれるシートが上下に3列で並んでいます。
私たちは上段のシートでした。
青年に案内された席は、宿のおじさんから送られてきた予約画面の座席番号とは微妙に違いましたが、わりと適当なようで、まあこちらとしても眠れればそれでいいので深く考えないことにしました。笑
ちなみに、スーツケースやバックパックなど大きな荷物は下のトランクで預かってくれます。
ただ、カメラ&レンズ一式とノートパソコン類だけは心配だったので、車内に持ち込みました。
あまり荷物を置くスペースは多くないものの、足を入れる部分になんとか収めることができました。
ハノイからムーカンチャイへ
10時10分、定刻で出発です!
そして数分後、ガソリン給油!
(先に入れときなさいよって思うんですが、タイでもわりとそういうことあるし、東南アジアあるあるかも)

後は一路ムーカンチャイへと向かって走ります。
この朝は3時起きだったので、私は毛布にくるまって爆睡しました。
途中、2回ほどトイレ休憩がありました。
1回目は11時50分頃で約20分の休憩タイム。
ランチ休憩も兼ねているようだったので我々もフォーを食べました。
35Kドン(約195円)でしたが、量はがっつり目でした。
というか、普段食べてるタイの麺類の量が少なすぎるのかも。
お土産コーナーで買ったゴマ団子を持って再びバスに乗り込みました。
2回目の休憩は15時過ぎで、ギアロー(Nghĩa Lộ)という町でした。
ここでは10分足らずのトイレ休憩だけ。
ギアローという町はこの辺りではわりと大きめの町らしく、ここで多くの人が降りていきました。
ギアローの町からムーカンチャイまで、地図上はたいした距離じゃなさそうですが、山道だからあと2時間くらいはかかるようです。
夕日にはギリギリ間に合うかな。
なんて思っていたんですが、数分行った場所で謎の停車。
エアコンも切ってドライバーさんも車掌さんも降りていきます。
Googleレンズで看板を翻訳したところ、どうやらここは洗車&車の修理屋さん。
タイヤに不具合があったのか、修理工が車体の下であれやこれやとやってます。
バスのスタッフがお茶を飲んだり寝転がったりし始めたので、これはそこそこ時間かかるなと思い、私たちもバスを降りて外で待機することに。(エアコンなしの車内はちょっと息苦しかったのです)
約30分の停車の後、ようやくバスは発車となりました。
ここからはずっと山道です。
次第に車窓に棚田が現れるようになり、テンションもあがります。
バイクのお迎えで宿へ
ムーカンチャイ滞在初日の宿は、町の中心部から5kmほど手前の小高い山の上にあるため、途中、宿へ続く坂道の入口あたりでバスを降ろしてもらいました。
(事前に宿からもらっていた下車場所の写真を、あらかじめドライバーさんに見せておきました)

18時20分、その頃にはすでに日は山に沈んで、辺りは薄暗くなっていました。
『あのタイヤ修理がなかったら、夕焼けに間に合ったのに…』と残念でしたが、安全第一ですから仕方ありません。
ちょうどバスを降りる直前に宿のオーナーさんから電話があり、バイクで迎えに来てくれました。
私たちはそれぞれ大きめのリュックも持っていたので、さすがに3人乗りは断って、2往復してもらうことになりました。
夕飯時の忙しいところ申し訳なかったのですが、宿手前のあの急坂とバイク1台がギリギリ通れるくらいの山肌の細いカーブ道を目にした時は、本当に3人乗りでなくてよかったとつくづく思いました。
というわけで、ハノイ出発から約8時間、無事ムーカンチャイの宿にたどり着きました。
続きは次回に。
ではまた。