ドナルド・キーン博士がお亡くなりになったというニュース。
アメリカ合衆国出身で晩年は日本に帰化するほど日本をこよなく愛し、日本文学及び日本文化の研究・紹介に生涯をかけて尽力なさった方。
私が初めてお名前を知ったのは、大学一年生の時に英語のテキストとしてドナルド・キーン氏の著書を読んだのがきっかけでした。
「この人、なんで日本人の自分よりこんなに日本文化のこと知っているんだろ?」というのが私の率直な印象でした。
日本のことを深く愛してくださったことに心からお礼を申し上げ、キーン ドナルド(鬼怒鳴門)さんのご冥福をお祈りいたします。
さて。今日は、意外と教科書では習わないけど実生活やビジネスシーンではよく使うタイ語という観点で、รบกวน~ [róp kuan]「お手数ですが~」という言い回しを紹介したいと思います。
「รบกวน」は迷惑
รบกวน [róp kuan] というのは、もともと「迷惑な」「邪魔をする」「支障をきたす」という意味があります。
例えば、
- รบกวนคนอื่น [róp kuan khon ʉ̀ʉn] 他人の邪魔をする/他人に迷惑をかける
- เสียงรบกวน [sǐaŋ róp kuan] (音)+(迷惑)= 雑音/ノイズ
- รบกวนหรือเปล่า [róp kuan rʉ̌ʉ plàao] お邪魔ですか/ご迷惑ですか
- ขอโทษด้วยที่มารบกวนคุณตอนดึก [khɔ̌ɔ thôot dûay thîi maa róp kuan khun tɔɔn dʉ̀k] 遅くにお邪魔してすみません
お手数ですが…、お手数をおかけしますが…
รบกวน [róp kuan] の「邪魔をする、迷惑をかける」という意味から派生して、人に何かを頼むときに「お手数ですが」「すみませんが」という意味合いで文の前に付けて言うことが多々あります。
- (ขอ) รบกวนช่วยถือกระเป๋าให้หน่อยค่ะ [róp kuan chûay thʉ̌ʉ kràpǎo hâi nɔ̀ɔy khâ]
お手数ですが、カバンを持っていただけますか? -
(ขอ) รบกวนฝากเอกสารให้ผู้จัดการหน่อยได้ไหมคะ [róp kuan fàak èekkasǎan hâi phûu càt kaan nɔ̀ɔy dâai mǎi khá]
お手数ですが、書類をマネージャーに渡していただけますか?
※ขอ [khɔ̌ɔ] は、付けても付けなくてもいいです。
本来は「私が相手に手数をかけさせる」ので、「させてください」という意味合いの ขอ [khɔ̌ɔ] が付くのが正しいのかも知れませんが、実際の会話では省略されることが多いです。
人に何かを依頼するときの表現として、教科書的には、ช่วย ~ ให้หน่อย [chûay ~ hâi nɔ̀ɔy] や、丁寧で文語的な言い方の、กรุณา ~ [karúnaa] が紹介されることが多いのですが、実際の日常生活やビジネスシーンではこの รบกวน ~ [róp kuan ~] もよく使われます。
恐れ入りますが…
同じような使い方で、場合によっては「お手数ですが」よりも「恐れ入りますが」という訳のほうがしっくりくることもあります。
いずれにしても、一種のクッション言葉のような用法であると言えるのではないでしょうか。
- รบกวนเดินชิดซ้ายด้วยนะคะ [róp kuan dəən chít sáay dûay ná khá]
恐れ入りますが、左側をお歩きください - รบกวนพูดอีกครั้งหน่อยได้ไหมครับ [róp kuan phûut ìik khráŋ nɔ̀ɔy dâai mǎi khráp]
恐れ入りますが、もう一度言っていただけますか?
悪いけど…、すまないけど…
それほど改まったシーンでなく、親しい間柄でも รบกวน ~ [róp kuan ~] は使えます。
-
รบกวนเปิดประตูให้หน่อย มือไม่ว่าง [róp kuan pə̀ət pràtuu hâi nɔ̀ɔy mʉʉ mâi wâaŋ]
悪いけど、ドア開けて。手がふさがってるの - เฮ้ย รบกวนหน่อยดิ [hə̂əy róp kuan nɔ̀ɔy dì]
なあ、ちょっと頼むわ!
職場仲間や友達から「รบกวนหน่อย」[róp kuan nɔ̀ɔy] (ロップクワンノーイ)って言われたときは、その後に何か頼まれごとをするんだと思って間違いないですよ。(笑)
まとめ
以上、รบกวน~ [róp kuan]「お手数ですが~」の用法、なんとなくわかっていただけたでしょうか。
「お手数ですが~」「恐れ入りますが~」「すみませんが~」「申し訳ないけど~」「悪いけど~」などの意味合いで、何かを依頼するときのクッション言葉的によく使われますので、ぜひ観察して自分でも使ってみてください。
タイ人っぽい話し方に近づきますよ。
ではまた。