時々、タイ人が話しているタイ語がわからない方が幸せな場合もあると感じたりするまなおです。こんにちは。
いや、もちろんタイ人との距離を縮めるためにはスラングを含めていろんなタイ語を吸収していくことは大事だと思います。
ただ、やはり外国人である私たちが踏み込めない領域があるというか踏み込むにはそれ相応の覚悟や努力が必要だと感じることがあるわけです。
まあ、小難しいことは後にして、まず今日はタイ語の「うわさ話」に関するスラングを紹介したいと思います。
タイ人は噂好き?
タイ人の方って、けっこうおしゃべりというか噂話が好きですよね?
私が外国人だから余計にそうなのかも知れませんが、私に関するうわさ話や私自身の言動があっという間に社内に広がっていて驚くことがあります。
逆に、頼んでもいないのに他部署スタッフのプライベートな話をいろんな人から聞かされることもあります。
こういった、おしゃべりしたり噂話をしたりする行為をタイ人はよくเม้าท์ [máo](マオ)と言います。
これは英語の “mouth(マウス)” が由来のスラングです。
マオモーイ เม้าท์มอย / マオ เม้าท์ = (うわさする/おしゃべりする/話す)
「เม้าท์มอย [máo mɔɔi] (マオモーイ)」または、単に「เม้าท์ [máo] (マオ)」だけでも基本的にはOKです。
「เม้าท์ [máo] (マオ)」は、おしゃべりに関するいくつかの言葉をカバーする便利な言葉ですので用法を紹介しておきます。
<人物に関するうわさ・陰口= นินทา ニンター>
例えば、職場のドアを開けた瞬間に、同僚二人が私の顔をみるなり慌てて話を止めたとします。そんな時に…
เม้าท์ฉันเหรอ
[máo chán rə̌ə]
(マオ チャン ロー)
「私のうわさしてたの~?」
噂好きの誰かのことをいう時に…
เขาชอบเม้าท์เรื่องคนอื่น
[kháo chɔ̂ɔp máo rʉ̂aŋ khon ʉ̀ʉn]
(カオ チョープ マオ ルアン コンウーン)
「彼女は他人の噂話をするのが好きなんです」
※ นินทา(ニンター)と置き換え可
<おしゃべりする= คุย クイ>
例えば、久しぶりに会う友達といろいろつもる話をしたい場合…
พรุ่งนี้ไปเม้าท์มอยกันที่ร้านกาแฟนะ
[phrûŋ níi pai máo mɔɔi kan thîi ráan kaafɛɛ ná]
(プルンニー パイ マオモーイ カン ティー ラーンカーフェー ナ)
「明日、喫茶店に行っておしゃべりしましょうね」
今は時間が取れないから…
เดี๋ยวค่อยเม้าท์กัน
[dǐao khɔ̂ɔi máo kan]
(ディアオ コーイ マオ カン)
「また後で話しましょう」
※ คุย(クイ)と置き換え可
<話し聞かせる = เล่า ラオ>
例えば、友達から報告を聞かせてほしい時に…
เมื่อคืนนี้ไปเที่ยวที่ไหนมา เม้าท์ให้ฟังหน่อยสิ
[mʉ̂ʉa khʉʉn níi pai thîaw thîi nǎi maa máo hâi faŋ nɔ̀ɔi sì]
(ムアクーンニー パイティアオ ティーナイ マー マオ ハイ ファン ノーイ スィ)
「昨夜どこに遊びに行ってきたの?話聞かせてよ」
※เม้าท์มอยとは言わない
※ เล่า(ラオ)と置き換え可
<事件や事象に関するうわさ = ลือ ルー>
例えば、新規事業の落札に関するよくない話を聞いた時…
ฉันได้ยินคนเค้าเม้าท์กันว่า…
[chán dâiyin khon kháo máo kan wâa...]
(チャン ダイイン コン カオ マオ カン ワー…)
「私、…という噂が出ているのを聞いたんだけど」
※ ลือ(ルー)と置き換え可
いかがでしょうか。「マオ」は「話す」「噂する」「伝える」などいろんな言葉の代用となれる便利な言葉ですよね。
ただ、タイ人の口 (mouth) はあまり秘密を留めてはくれませんので、ご注意ください。(笑)
スラングに関する私の基本姿勢
今日は、タイ人と日常付き合う中でよく使われるスラングのひとつを紹介したのですが、せっかくなのでこのブログでこれからも時々取り上げるかもしれないタイ語のスラングについて、私なりの捉え方というか基本的なスタンスをお伝えさせていただきたく思います。
あくまで個人的な見解ですので、「そんなの関係ないや」「そうは思わない」と思われる方もいらっしゃるかと思いますがご容赦ください。
・外国人である私たちは基本的に丁寧な言葉を使う
・スラングは聞いて理解できる程度でいい
・汚い言葉は、自分では使わない
以下、その理由を私なりに書いておきますが、興味ない方は、スルーしていただいてけっこうです。
タイ人社会は思うほど単純じゃない
外国人である日本人がタイにやってきて生活をはじめる場合、そもそもお互いに育った環境や文化的背景が異なる者同士がいきなり同じ土俵でものを考えたり理解しあったりすることは非常に難しいと思います。
もちろん、人間の本質的な部分で言葉とか文化とか関係なく共感し合える部分もあるでしょうが、タイで生活していると、やはり自分の中の常識と違ったり納得できないことや理不尽だと思ったりすることもたくさん出てくるものです。だからこそ、その度に失敗したり凹んだりしながらその違いを認識して、なんとか折り合いをつけていこうと努力するわけですが、これがなかなか難しいわけです。
タイ人にしたって、タイ人社会のルールの中で育ってきたわけで、同じように外国人である私たちのことを理解できなかったり相容れないと思うことだってあったりするわけです。
もっとも、基本的にタイ人の方は寛容であるとは思います。
ただ、我々のことを一時滞在の外国人という枠の中で接してくれている場合と、そうでない場合とでは彼らの対応も微妙に変わってくると私は感じています。
タイに来て間もない頃やまだタイの生活に慣れていない頃は、私たちがタイ人に対して知らず知らずのうちにしてしまっている失礼な発言や振る舞いも、タイ人は笑って許してくれていることが多いです。
ただ、私たちがタイ人社会の中で(意識の上で)彼らと同等の立場や権利、あるいはそれ以上を求めて踏み込んでいくようになると、タイ人側も急にシビアにみてくるようになる気がします。
ある程度タイ生活に慣れてくると、自分はタイ人を理解しておりタイの社会に十分馴染んでいると勘違いしがちですが、そこには十分に注意が必要です。
何が言いたいかというと、本当にタイ人とタイの社会を理解していると思い込んでいるのは自分だけで、タイ人からはそのように見られていない場合があるということです。
タイの社会には多様な民族や階層、グループ、職業などがあり、それぞれに異なった考え方や意識があります。それを理解してその場その場のTPOに相応しい振る舞いや言動をすることは、タイ人にとっても難しいことなのに、ましてや外国人である私たちにとっては至難の業と言えると思います(中には、できる方もいらっしゃるかもしれませんが)。
スラングを多用しないほうがいいと思う理由
だから、言葉やスラングの使い方には十分気をつけたほうがいいんじゃないかと思うんです。
例えば、タイに来て間もない日本人が、飲み屋で教えてもらったスラングや品のない言葉を会社や飲み仲間のタイ人の間で使ってみたら大ウケしたとします。
これはいけると思って、スラングや罵倒語をさらに研究してドギツイ表現も含めて使い続けるとします。
もしかしたら、その時所属しているそのグループの中では受け入れられて人気者になるかも知れません。でも、それは彼らがその日本人のことを、(タイ語なんてロクに話せないと思っていた)外国人がスラングを話したという意外性を最初に面白がってくれてたからに過ぎません。
もしその彼がある程度タイ語を話せるようになってから、他の会社や他のグループで同じようにスラングを連発した場合、受け入れられるかどうかは別の問題です。
そのスラングがくすっと笑える程度のものであれば同じように受け入れられるかもしれませんが、中には鼻につくと思われたりTPOに合っていなかった場合には軽蔑の対象となる場合もあります。
これは日本語を話す外国人を想像してもらえればわかると思いますが、「昨日食べたウニがちょっときもかった」くらいの発言はかわいらしくもありますが、いつも「これ、クソうまい。オレ、スゲー好き」という話し方ばかりするような外国人には、嫌悪感を抱く日本人も出てくると思います。(むろんキャラクターにもよるでしょうが)
一方で、仲のいい日本人同士があまりにも丁寧な言葉使いをしていると他人行儀に感じることがあったとしても、外国人が丁寧語を使っているからといって奇妙に感じるということはあまりないのではないでしょうか。
まとめ
話がだらだら長くなりましたが、要は、外国人はスラングを使うことで失敗したり嫌われたりすることがあっても、丁寧に話すことがマイナス要因になることはないので、あえてスラングを使わなくてもいいと私は思っています。
特に下品な言葉や罵倒語などは、よく知らないタイ人の前では絶対に使ってはいけないし、仲間内でも使わない方が無難です。なぜなら、口調やその時の状況によってTPO判断を誤ると友達同士でも険悪な雰囲気になることがあるからです。
ただ、実際のコミュニケーション上ではタイ人が使っているスラングを理解することがどうしても必要になってきます。聞いてわからなければ会話が続かないからです。
なので、基本的にスラングは自ら使う必要はないと思っていますが、そのスラングを十分に理解したうえで、それが汚い言葉ではない場合においては、気心の知れた仲間内で使ってみるのはありだと思っています。
よって、このブログで紹介するスラングは、タイ人が話しているリアルな会話の内容を理解できるようにということを念頭に置いています。ご自分が使うかどうかはそれぞれの判断にお任せしたいと思っています。(うまくスラングを取り込むことで表現の幅が広がり相手との距離が縮まる可能性があることも確かです)
長々と失礼しました。
ではまた。